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捨てると怒るのは病気のサイン?専門家が語る対処法
本日は、長年ゴミ屋敷問題のカウンセリングに携わってきた心理カウンセラーの鈴木先生に、家族が直面する「捨てると怒る」という深刻な問題についてお話を伺います。「ご家族がゴミ屋敷の片付けで最も苦労するのが、この『捨てると怒る』という反応です。多くの方は、これを単なる頑固さや性格の問題と捉えてしまいがちですが、その背景には治療が必要な精神疾患、特に『溜め込み症』が隠れている場合が非常に多いのです」と鈴木先生は指摘します。「溜め込み症の方は、モノとの間に非常に強い情緒的な結びつきを持っています。モノを捨てるという行為は、脳の意思決定や感情を司る部分に強い負荷をかけ、耐えがたい苦痛を引き起こします。その苦痛から逃れるための防衛反応が、家族に向けられる『怒り』なのです。つまり、その怒りは本心からの攻撃ではなく、病気の症状と捉えるべきです。ですから、ご家族が絶対にやってはいけないのが、本人を論破しようとすること、そして無断でモノを捨てることです。『こんなもの、どう考えたってゴミでしょ』という正論は、本人にとっては全く意味をなしません。むしろ、自分の気持ちを理解してもらえないという絶望感を深め、心を閉ざさせてしまいます。無断で捨てる行為は、信頼関係を根底から破壊し、問題をさらにこじらせる最悪の手段です。では、どうすればいいのか。まずは、片付けという目的を一旦脇に置き、信頼関係を再構築することから始めてください。『大変だったね』『つらい思いをしていたんだね』と、本人の気持ちに寄り添い、共感する姿勢を見せることが何よりも大切です。本人が『この人は自分の味方だ』と感じ、安心できる環境を作ることが第一歩です。その上で、『あなたの体が心配だから、一緒に専門の先生に相談してみない?』と、第三者の介入を促していく。家族だけで解決しようとせず、医療や福祉、片付けの専門業者といったチームで支える体制を作ることが、解決への唯一の道と言えるでしょう」。