ゴミ屋敷問題が深刻化し、所有者が自主的な改善をしない場合、最終手段として「行政代執行」が行われることがあります。しかし、行政代執行は、どのような法的根拠に基づいて行われるのでしょうか？今回は、行政代執行の法的根拠と、その手続きについて、詳しく解説します。行政代執行の法的根拠は、「行政代執行法」という法律です。この法律は、行政上の義務を履行しない者に対して、行政庁が自ら義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる、と定めています。ゴミ屋敷問題の場合、ゴミの撤去は、所有者の義務です。しかし、所有者がこの義務を履行しない場合、行政庁は、行政代執行法に基づいて、所有者に代わってゴミを撤去することができます。行政代執行の手続きは、以下の流れで進められます。指導・勧告、まず、自治体は、ゴミ屋敷の所有者に対して、ゴミの撤去などを求める指導や勧告を行います。措置命令、指導や勧告に従わない場合は、より強制力の強い「措置命令」が出されます。戒告、措置命令にも従わない場合は、「戒告」が行われます。これは、行政代執行を行う旨を、所有者に事前に文書で通知するものです。行政代執行、戒告で指定された期日までに所有者が自主的にゴミを撤去しない場合、行政代執行が実行されます。費用徴収、行政代執行にかかった費用は、所有者に請求されます。行政代執行は、所有者の財産権を制限する強力な手段であるため、法律で定められた厳格な手続きに従って行われます。しかし、ゴミ屋敷問題は、近隣住民の生活環境や安全を脅かすものであり、公共の利益を守るために、行政代執行はやむを得ない措置と言えます。