- 本書の概要
- 著者プロフィール
例えば、事業戦略においてはニッチ戦略、多角化戦略といった手法がある。しかし、定石としてはコア事業で圧倒的トップシェアを目指すのが正解であるという。なぜなら、相対市場シェアと収益性は明確に相関しており、シェアトップを誇る企業は投資対効果で約10倍、顧客推奨度で2倍以上の差をつけて高い利益率を享受することができるからだ。本書ではこうした定石が多数のデータに基づいて次々と明らかにされる。
戦略の実行や企業変革には、最後は経営者の意志が成否を分ける。その意味で経営者やトップマネジメント層はもちろん、経営企画や戦略立案に携わる方など、社内の常識を打ち破りたい方にとって示唆が多い内容となっている。市場環境が目まぐるしく変化するなか、長く使える経営の王道を示す貴重な一冊である。ぜひご一読頂きたい。
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン会長 兼 パートナー。東京大学教養学部卒業、ハーバード大学経営大学院修士課程(MBA)修了。日本興業銀行を経てベインに参画。25 年以上にわたりさまざまな分野において、日米欧の企業に対するコンサルティング活動に携わる。直近では企業のM&Aに数多く関係し、企業の統合支援にも深く関与。主な著書に『リピータビリティ』(訳、プレジデント社)『M&A賢者の意思決定』(訳、ダイヤモンド社)『勇気あるトップが企業を変える』(共著、ダイヤモンド社)などがある。
著者:ベイン・アンド・カンパニー
1973年米国ボストンで創設、現在世界33ヵ国に 51 拠点のネットワークを展開している世界有数の戦略コンサルティングファーム。クライアントとの共同プロジェクトを通じた結果主義へのこだわりをコンサルティングの信条としており、結果主義の実現のために、高度なプロフェッショナリズムを追求するのみならず、きわめて緊密なグローバル・チームワーク・カルチャーを特徴としている。
第1章 正しい戦略で、大きな結果を出す
第2章 差別化と競争力で「どう勝つか」を定義する
第3章 戦略実行のためのM&A
第4章 「オペレーティングモデル」で結果を出す組織に
第5章 社員の心を奮い立たせる力を身につける
第6章 顧客ロイヤルティ向上で成長を実現する
第7章 コスト最適化と成長への集中投資による業績改善
第8章 創業者目線復活で再生を果たす
おわりに――「定石」なき時代の経営とは
要約ダイジェスト
正しい戦略で、大きな結果を出す
経営戦略とは企業が持続的に結果を出し成功するために必要な青写真だ。ベインでは、戦略とは「顧客に対して、競合より優れた価値提供をするための、自社固有のアクションの集合体」であり、かつ「希少な経営資源の配分についての意思決定の集合体」だと考えている。
調査によると、10年間、売上・利益ともに平均以上のペースで成長し、資本コストを上回るリターンをあげる企業は、10社に1社程度である。これらの企業の9割以上はコア事業で明確な市場リーダーシップを持ち、業界2位企業の2.5倍以上のシェアを持つ圧倒的リーダー企業は、業界平均資本コストの2倍のリターンを創出していた。
それは高い市場シェアが競合を上回る累積経験量をもたらし、