
入山章栄/野間幹治

『ブラックスワンの経営学』
(井上達彦/著)
経営学におけるブラックスワン(ありえないような発見)は、「統計分析」による研究よりも、「事例分析」によって明らかになることが多い。本書では、『アカデミー・オブ・マネジメント・ジャーナル(AMJ)』最優秀論文賞受賞作の解説を通じて、事例研究やケーススタディがいかに経営学の「通説」を覆し、実務的にも有益な示唆が得られるかを明らかにする。
経営学におけるブラックスワン(ありえないような発見)は、「統計分析」による研究よりも、「事例分析」によって明らかになることが多い。本書では、『アカデミー・オブ・マネジメント・ジャーナル(AMJ)』最優秀論文賞受賞作の解説を通じて、事例研究やケーススタディがいかに経営学の「通説」を覆し、実務的にも有益な示唆が得られるかを明らかにする。
2008年の世界金融危機で、不沈艦と呼ばれた日立製作所グループも巨額の赤字を計上し、経営陣刷新でこの難局を乗り切った。本書は川村改革と呼ばれた構造改革の指揮をとった川村隆新社長と経営陣の約5年間、2000日を追ったドキュメンタリーである。興味深いのは、この経営陣刷新がいわゆる「若返り」ではなかったことだ。
本書は「どうすれば大学生が勉強するようになるか」という問題を深く掘り下げた一冊である。著者の辻太一朗氏は、リクルートなどで人材ビジネスの要職を歴任し、NPO法人「大学教育と就職活動のねじれを直し、大学生の就業力を向上させる会」(略称DSS)を立ち上げて同問題に取り組む人物。
毛沢東になろうとして、それゆえに中国の権力中枢に駆け上がることに失敗した男、薄煕来。暴力団への接近、盗聴、5000億円ともいわれる不正蓄財といった手段を選ばぬ方法で「第2の毛沢東になる」野望をとげようとしていた。しかし2012年、薄煕来に「チャイナ・ジャッジ」が下され、事実上失脚する。中国、そして薄一家に何が起きていたのか?中国高官と太いパイプを持つ著者が薄煕来事件とチャイナ・ジャッジの真相に迫る。
本書は、大東亜戦争(太平洋戦争)における作戦の失敗を日本軍の“組織的失敗”として社会科学的アプローチによって分析し、現代の組織に活かすことを目的とした、学際的な組織論である。合理的・近代的な組織であったはずの日本軍は、合理性や効率性とは反するふるまいをみせ、それが敗戦へとつながっていった。
本書は、心と社会の関係を幅広い視点から探る社会心理学者、山岸俊男氏と、長年にわたり日本社会を研究してきたハーバード大学の社会学者、メアリー・C・ブリントン氏による、ユニークな視点での日本人論である。議論の中心となるのは、世界一高いとされる日本人の「リスク回避傾向」である。