
『働く悩みは「経済学」で答えが見つかる―自分をすり減らさないための資本主義の授業』(丸山俊一/著)
現代社会において、「やりがい」搾取、慢性的な疲労、労働の無価値感など、「働く」ことに対して悩む人は多い。また、SDGs、ESG投資、パーパス経営などの標語にうさん臭さを感じている人も少なくないのではないだろうか。このような現代的課題に対し、過去の経済学者や哲学者の思想は今も新たな視点やヒントを与えてくれる。
現代社会において、「やりがい」搾取、慢性的な疲労、労働の無価値感など、「働く」ことに対して悩む人は多い。また、SDGs、ESG投資、パーパス経営などの標語にうさん臭さを感じている人も少なくないのではないだろうか。このような現代的課題に対し、過去の経済学者や哲学者の思想は今も新たな視点やヒントを与えてくれる。
過去のすべての時代、つねに幸福が倫理の中心問題であった。ギリシアの古典的な倫理学がそうであったし、ストアの厳粛主義の如きも幸福のために節欲を説いたのであり、キリスト教においても、人間はどこまでも幸福を求めるという事実を根本として宗教論や倫理学を出立したのである。
2018年度から、小学校でこれまで教科外活動とされた「道徳」が「教科」の1つに格上げされた。それに伴い、教授方法や評価方法、教えるべき価値観などについて議論が紛糾したのは記憶に新しい。だが、そもそも道徳とは何か、なぜ、そして何を学ぶべきか、なぜ学校で教わるのかなど、大人でも漠然としか理解できていないことも多い。
現在世界中で人工知能(AI)の開発競争が繰り広げられており、その進化には様々な期待と不安が寄せられている。だが現在のAIは、人間に近い形を持ち、人間と会話ができるものであっても、生物と言うにはまだどこか違和感がある。著者でありゲームAI開発者として著名な三宅陽一郎氏によれば、それはAIが生物の持つ「主観的な世界」を再現できていないからだ。
社会主義、福祉国家……20世紀は、市場を自由放任するのではなく、政治が経済に介入して調整を図る時代であった。しかし、20世紀後半になってそれらの政治体制が行き詰まるにつれて、市場原理への信頼を解くネオ・リベラリズムが脚光を浴びるようになっていった。その中でも重要な位置を占めたのがハイエクの思想である。
高校教科書として使用されている山川の『現代の倫理(改訂版)』を、一般読者向けに編纂し直した一冊。「教科書」という形で、古代から現代までの東洋・西洋の主要な思想家たちの、思想・生涯・著書などが歴史を追ってわかりやすく解説されている。哲学的思想の起源、西洋の近現代哲学、日本の思想、現代の倫理的諸課題の4章で構成され、思想史の大きな流れをつかむことができる。
通常の金融理論では、すべての市場参加者が完全な知識に基づいて「合理的」に行動すると教える。しかし、現実の経済は、業績好調だったファンドが一夜にして破綻するような、不確実性に満ちたものだ。このような不確実な世界を正しく予測していたのが、オーストリア出身の経済学者ハイエクである。彼は「人々は不完全な知識のもとで慣習に従って行動する」と考え、「人間は合理的に行動する」と考える主流の経済学者から無視されてきた。しかし20世紀の最後の四半世紀は、ハイエクの思想が正しかったことを証明した。
本書はフランスの哲学者ジャン=リュック・マリオンの「贈与論」について詳しく解説された一冊で、明治大学野生の科学研究所において全三回で講義された同名の講義がもとになっている。マリオンは日本ではまだあまり知られていないが、ヨーロッパ文明の根幹をなす、神学にも深く通じたフランス現代哲学界の重鎮と知られている。