西洋哲学・思想

『人工知能のための哲学塾』
(三宅陽一郎/著)

現在世界中で人工知能(AI)の開発競争が繰り広げられており、その進化には様々な期待と不安が寄せられている。だが現在のAIは、人間に近い形を持ち、人間と会話ができるものであっても、生物と言うにはまだどこか違和感がある。著者でありゲームAI開発者として著名な三宅陽一郎氏によれば、それはAIが生物の持つ「主観的な世界」を再現できていないからだ。

推薦者 村上憲郎
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『ハイエクの政治思想―市場秩序にひそむ人間の苦境』
(山中 優/著)

社会主義、福祉国家……20世紀は、市場を自由放任するのではなく、政治が経済に介入して調整を図る時代であった。しかし、20世紀後半になってそれらの政治体制が行き詰まるにつれて、市場原理への信頼を解くネオ・リベラリズムが脚光を浴びるようになっていった。その中でも重要な位置を占めたのがハイエクの思想である。

推薦者 小山龍介
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『もういちど読む山川倫理』
(小寺聡/編)

高校教科書として使用されている山川の『現代の倫理(改訂版)』を、一般読者向けに編纂し直した一冊。「教科書」という形で、古代から現代までの東洋・西洋の主要な思想家たちの、思想・生涯・著書などが歴史を追ってわかりやすく解説されている。哲学的思想の起源、西洋の近現代哲学、日本の思想、現代の倫理的諸課題の4章で構成され、思想史の大きな流れをつかむことができる。

推薦者 村上憲郎
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『ハイエク 知識社会の自由主義』
(池田 信夫/著)

通常の金融理論では、すべての市場参加者が完全な知識に基づいて「合理的」に行動すると教える。しかし、現実の経済は、業績好調だったファンドが一夜にして破綻するような、不確実性に満ちたものだ。このような不確実な世界を正しく予測していたのが、オーストリア出身の経済学者ハイエクである。彼は「人々は不完全な知識のもとで慣習に従って行動する」と考え、「人間は合理的に行動する」と考える主流の経済学者から無視されてきた。しかし20世紀の最後の四半世紀は、ハイエクの思想が正しかったことを証明した。

推薦者 小山龍介
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『贈与の哲学―ジャン=リュック・マリオンの思想』
(岩野 卓司/著)

本書はフランスの哲学者ジャン=リュック・マリオンの「贈与論」について詳しく解説された一冊で、明治大学野生の科学研究所において全三回で講義された同名の講義がもとになっている。マリオンは日本ではまだあまり知られていないが、ヨーロッパ文明の根幹をなす、神学にも深く通じたフランス現代哲学界の重鎮と知られている。