書評『第五の権力―Googleには見えている未来』
(エリック・シュミット、ジャレッド・コーエン/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
序章 自由な表現と自由な情報の流れを可能にする新しい力・インターネット
第3章 未来の私たち
第2章 アイデンティティ、報道、プライバシーの未来
第3章 国家の未来
第4章 革命の未来
第5章 テロリズムの未来
第6章 紛争、戦争の未来
第7章 復興の未来
終章 私たちの結論

著者:エリック・シュミット(Eric Schmidt)
Google会長。1955年生まれ。2001年から2011年までGoogleの最高経営責任者(CEO)を務め、創設者のサーゲイ・ブリン、ラリー・ペイジとともにGoogleの技術や経営戦略を統括してきた。Google入社以前は、ノベルの会長兼CEOやサン・マイクロシステムズの最高技術責任者(CTO)を務めていた。それ以前は、ゼロックス Palo Alto Research Center(PARC)で研究員を務め、Bell Laboratoriesやザイログに勤務していた。プリンストン大学で電気工学学士号、カリフォルニア大学バークレー校でコンピュータ サイエンスの修士号と博士号を取得している。

著者:ジャレッド・コーエン(Jared Cohen)
GoogleのシンクタンクGoogle Ideas創設者兼ディレクター。1981年生まれ。史上最年少の24歳で米国国務省の政策企画部スタッフに採用され、2006年から2010年までコンドリーザ・ライス、ヒラリー・クリントン両国務長官の政策アドバイザーを務めていた。現在は米国外交問題評議会の非常勤シニア・フェローを務め、国家テロ対策センター所長諮問委員会のメンバーでもある。2013年には、雑誌TIME「世界で最も影響力がある100人」に選ばれた。

書評レビュー

Google会長「エリック・シュミット」が語る、人類の未来

本書は、全米ベストセラーに輝いた、Google会長「エリック・シュミット」の初の著書の翻訳版であり、インターネットという新たな「権力」を手にした「人間の未来」を様々な観点から考察した一冊です。

本書の著者の「エリック・シュミット」と言えば、皆さんご存知の通り、グローバル検索エンジン「Google」の元CEOにして、現在は会長を務める人物です。

また、以前は、アップルの取締役を務めていたなど、インターネットの最先端にいる、世界のトップリーダーの一人と言っても過言ではないでしょう。

それだけに、以前から著書執筆の依頼が多数あったそうですが、なかなか実現しませんでした。

そんな「エリック・シュミット」が、初めて執筆した著書の題材に選んだのは、インターネットという新しい「権力」を手に入れた我々人間が、これからどのような未来を描いていくのか、というものでした。

未来の人類に起こること

現在、世界のインターネット人口は約30億人なのですが、今後の技術革新による普及ペースの急激な上昇により、2025年には、なんとインターネット人口は、現在の2倍以上の80億人を突破すると推定されています。

つまり、今から10年余りの間に、文字通り、世界中のほぼすべての人間がオンラインで繋がる世界が到来するのです。

このコネクティビティの急拡大により、オンライン上の「仮想世界」はより「現実世界」と密接に関係するようになり、その結果、仕事の効率はもちろんのこと、健康、教育、生活の質が大きく向上すると言われています。

また、スマートフォンのような携帯端末が安価に手に入ることで、いわゆる「経済ピラミッドの底辺」と呼ばれている層の人たちもこの恩恵を享受し、様々なシーンで新たなチャンスをつかみ始めるとまで言われています。

ビジネスシーンにおいても、このコネクティビティの急拡大を受け、グローバリゼーションがより一層進むと著者は解説しています。

例えば、インスタント翻訳機能とバーチャルリアリティ技術を利用した交流により、もはや言語や人種による弊害はなくなり、世界各国の企業とスムーズに取引を行うことができるようになるでしょう。

また、これをうけ、容易にリモートワークができる環境が整備されることで、世界各国の優秀な人材を採用しやくすなり、より一層の企業内における人材の多様化が進むことになるかもしれません。これらは、日本企業にとっても大きな影響を与えることになりそうですよね。

『私たちは現実世界で、これからも難しい問題に悩まされるだろう。しかし、仮想世界が拡大し、オンラインでできることが増えていけば、そして新たにつながる50億人の知恵を借りられれば、新しい方法で情報を入手し、資源を動員して、問題を解決とまではいかないまでも改善することはできる。(中略)コネクティビティの拡大は、個人のレベルをはるかに超えた、壮大な影響を私たちに及ぼす。』

このように、オンライン上の「仮想世界」が「現実世界」に与える影響は、大きくなりこそすれ小さくなる可能性はほとんどなく、この「仮想世界」をいかに有効に活用するかが、コネクティビティが拡大した世界において、企業が生き残るカギになりそうです。

まとめと感想

本書では、インターネットが我々の生活にどのような影響を与えていくかが、個人、国家、メディア、戦争など、様々な切り口から考察されているのですが、難解な専門用語が
使われていませんので、非常に理解しやすい内容になっています。

加えて、インターネットの最先端企業のトップリーダーとして、インターネットの影響を受けた現実世界の変遷を誰よりも身近に見てきた著者だけに、その言葉には経験と実証に裏打ちされた重みがありました。

また、本書は、インターネットの技術的なトレンドを紹介したものではなく、われわれ人間と技術の関わり方を大所高所から解説した一冊であり、400ページにわたってエリック・シュミットの言葉に触れられる大変貴重な一冊でもあります。

ビジネスパーソンとしても示唆に富む内容も多数掲載されていますので、一度手に取ってご覧になることをお薦めします。

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