書評『IT幸福論』
(岩本 敏男/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
第1章 ITの力が社会を変える
第2章 革命をもたらす技術は進化を続ける
第3章 未来を予見する力が競争優位をもたらす
IT、インターネットによって形成される「もうひとつの地球」 ほか)
第4章 IT生産技術の革新がもたらす恩恵
終章 経営者とITの関わり方を考える
著者:岩本 敏男
NTTデータ代表取締役社長
1953年長野県生まれ。76年東京大学工学部卒業、同年日本電信電話公社入社。中央省庁システム、日本銀行、東京証券取引所など、社会インフラとなるビッグプロジェクトをシステムエンジニア、プロジェクトマネージャーとして数多く手掛け、日本のIT高度化に大きく貢献。社内資格として最上位のプリンシパルPMを有する。
2004年取締役決済ソリューション事業本部長 兼金融ビジネス副事業本部長、
2005年執行役員 金融ビジネス事業本部長、
2007年取締役常務執行役員 金融ビジネス事業本部長、
2009年代表取締役副社長執行役員、
2012年6月より現職。

書評レビュー

現代は、「情報通信革命」真っ只中

本書は進化する情報社会の中における、企業リーダーのITの活用方法とITへの向き合い方について、NTTデータ代表取締役社長が提言した一冊です。

著者であるNTTデータ代表取締役社長の岩本敏男氏は、インフラ系システムを中心に、長年に渡りITビジネス業界に身を置いてきた人物。手掛けたプロジェクトには、中央省庁システム、日本銀行、東京証券取引所といった、まさに日本を代表する企業が名を連ねています。

このように、IT業界で長年にわたり活躍してきた著者ですが、現代のIT技術の進化を、農業革命、産業革命に続く「第三の革命期」、つまり「情報通信革命」であると述べています。

『私は現在も人類はこの情報通信革命の真っ只中に置かれていると考えている。情報通信革命により、われわれは、大きな生活の変化を経験した。いつでも、どこからでも、求められる情報へ瞬時にアクセスすることが可能となり、また、手軽に世界中の人びととコミュニケーションがとれるようにもなった。』

以前はアナログの媒体で取り扱われてきた情報が急速にデジタル化し、企業の業務プロセスも、ITをより駆使することができるようになっています。

また、IT技術の進歩は日進月歩であり、iPhoneやFacebookといった従来では考えもつかなかったようなアイデアが、どんどん世の中に生み出されています。そして、この進歩は今後も止まることなく続くでしょう。

このような状況の中で、非IT企業においても、以前にもましてITの重要性は高まっており、ITを駆使できなければ、IT化した社会からあっという間に置いて行かれてしまうことを、企業のリーダーはしっかりと認識しなければならないと著者は述べています。

経営者とITの関わり方を考える

この「情報通信革命」の真っ只中で、企業のリーダーはどのような心構えをもち経営にあたらねばならないのでしょうか。

これに対して著者は、『自分たちが「やりたいこと」を起点に“手段”を選べばいい』と述べています。

ITの進歩によって新しい技術が次々に生まれていることで、「どの技術に自分たちの事業を合わせていくか」、つまり、新しい技術に自社の事業を「合わせなくてはならない」と考える企業も多いようです。

しかし、ITはあくまでも自分たちのビジネスを実現するための手段に過ぎない、という点を忘れてはいけません。

『まず、自分たちのやりたいことがある。一方で、“人びと”の日常生活におけるIT化は進んでいるし、“自分たち”もIT化でやりたいことをやれるようになった。そのような状況の変化に合わせながら、本来のやりたいことを発展させていくのが、本質的な企業のあるべき姿だと考える。』

また、著者が出会った高い価値を生み出している企業の経営者の方々は、みなITに対する苦手意識(バリア)を持っていないとのことです。

この姿勢さえ持っていれば、ITで囲まれた現代ビジネスシーンにおいて、目的を実現する最も効果的な手段を選ぶことが可能になることから、すべての企業のリーダーが見習うべきだと著者は提言しています。

まとめと感想

著者は、ITの専門的な話はシステム部門の担当者に頼ればいいので、企業のリーダーはITが自分たちの会社経営にどのような影響をもたらすのかを考える知見をもっておけばよいと述べています。

本書の内容は、専門的な用語などを解説するというよりは、最近のITのトレンドに言及しつつ、どのような心構えでビジネスに臨むべきかを重点的に解説したものとなっていますので、企業のリーダーの皆さんにぴったりの一冊と言えるのではないでしょうか。

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