書評『グーグル、アップルに負けない著作権法』
(角川歴彦/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
第一章 コンテンツのクラウド型流通と情報端末が変える著作権
第2章 スマートテレビと著作権
第3章 エコシステムと著作
著者:角川歴彦
 株式会社KADOKAWA取締役会長。1943年、東京生まれ。早稲田大学第一政経学部卒業。1966年、角川書店入社。情報誌「ザテレビジョン」「東京ウォーカー」、ライトノベル「電撃文庫」「角川スニーカー文庫」など新規事業を立ち上げ、メディアミックスと呼ばれる手法で日本のサブカルチャー文化を牽引する。日本雑誌協会理事長、日本映像ソフト協会(JVA)会長、コンテンツ海外流通促進機構(CODA)代表幹事、不正商品対策協議会代表幹事、東京国際映画祭チェアマンなどを歴任。
 現在、内閣官房知的財産戦略本部本部員、一般社団法人デジタルメディア協会(AMD)副理事長、東京大学大学院情報学環特任教授、MITメディアラボ特別研究員、神戸芸術工科大学客員教授、財団法人角川文化振興財団理事長、株式会社角川アスキー総合研究所代表取締役社長なども務める。著書に『クラウド時代と〈クール革命〉』(角川書店)がある。

書評レビュー

KADOKAWA会長が語るコンテンツビジネスの未来

2013年10月に連結子会社を合併し、さらに巨大なコンテンツグループとなったKADOKAWA会長の角川歴彦市が、グーグル、アップル、アマゾンなどの海外勢に日本のコンテンツ産業がどう戦うか、を論じた一冊。

いまコンテンツビジネスの現場で何が起こっているのか、これから何が起こるのか、あらゆる端末や媒体(TV、書籍、電子書籍、ソーシャル、クラウドなど)を絡めながら語っています。

本書の構成は大きく二つで、①著者がここ数年のコンテンツビジネス界の動向から未来を展望するもの、②同じテーマでドワンゴ代表川上量生氏や、MITメディアラボの伊藤穰一氏などと対談したもの、となっています。

この書評ではその中から、MITメディアラボ所長の伊藤氏が、今後の著作権について端的に述べている部分を引用します。

著作権はどうなるのか

伊藤氏はまず”ギャング4”と呼ばれる、すべてのコンテンツの流通プラットフォームを暴力的に奪おうとしている4企業(Google、Apple、Amazon、Facebook)の脅威を語っています。

「彼らは、ものすごく器用にプラットフォームのモノポリーをお互いにとろうとして
いる。他の人の権利を奪って自分だけ稼ごうというのは、もう当たり前で、だからこそ、
著作権や法律は、ビジネスをきちっと理解した人たちがポリシーを作らないといけない。(中略)

アップルデバイスの中には、アップルのものではない特許がたくさん入っている。で
も、アップルが凄いのは、彼らが一番儲けている。なぜかというと、ブランドとエコシステムのコントロールを牛耳っているから。その力でいろんな相手に対して、「この特許を入れてやろうか」とコントールできる。」

著作権の持つ意味も変化している

そして、これからの著作権の未来像についてはこのように述べています。「勝つのは知的財産を持っている側じゃないんだよね。ブランドと、ネットワークと、エコシステム、プラットフォームを持っている側。(中略)

トラフィックとブランドを持っている人が強い。そこを多分みんな見誤っていて、権利にしがみついている。ただ権利があっても、誰も見に来なかったら意味がない。結局、いくら特許や著作権を持っていても、ディストリビューションできなかったら全く価値がない。」

SEOやウェブマーケティングの世界では”Contents is King.”と言われたりしますが、SEOという概念すらGoogleやYahooのプラットフォームの上での話です。

そして、いま猛威を振るっている彼ら”ギャング4”の未来を少し紹介すると、実は彼らはデジタルコンテンツという集客装置を巡り、同じ土俵で戦っている明確な敵同士(善きライバルではなく)です。

それゆえ、近い将来に、いまだ「リビングの主役」である「スマートTV」の分野で雌雄を決するであろうことが予測されています。

彼らが何を目指しどのような戦略をとってくるのかが、電子書籍事業などを通じて彼らとじかに交渉してきた角川氏ならではの視点で描写されています。

まとめと感想

では、コンテンツホルダーはどうすればよいのか、という詳細は本書に譲りますが、著作権法や特許法を、各国独自体制から国際法へと展開し、新たな知財法で規制しなければ、”ギャング4″に国家という概念すら脅かされるであろうことが語られています。

コンテンツビジネス界隈の方だけでなく、現在進行形で急速に変化しているコンテンツ業界を大きく捉えられる一冊なので、他業界の人にもおすすめです。

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