書評『ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り』
(ニック・ビルトン/著)

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  • 著者プロフィール
著者おぼえがき
#スタート
1 #創業者たち
2 #ノア
3 #ジャック
4 #エブ
5 #ディック
謝辞
著者:ニック・ビルトン(Nick Bilton)
 ニューヨーク・タイムズの記者、コラムニスト。同紙のBits Blogを主管している。テクノロジーがビジネスや文化にもたらす破壊的な影響、テクノロジーやプライバシーの未来、ウェブの社会的影響などについてブログを執筆している。全米ネットのテレビやラジオに定期的に出演している。サンフランシスコ在住。

書評レビュー

3人のCEOをめぐるTwitter 創業メンバーの確執

本書は、昨年の上場も話題を呼んだ「Twitter」について、『金と権力、友情、そして裏切り』というタイトル通り、その創業秘話が余すところなく描かれたビジネス・ノンフィクションです。

Twitterといえば、今や3億人のユーザーに使われ、IT業界では大成功をしたサービスの一つですが、その道のりは生易しいものではありませんでした。

いかに多くのトラブルを抱えていたのかが、端的にわかるのが、Twitterは2006年のサービス開始から、3年間で3人のCEOを迎えているということではないでしょうか。これは、会社の成長フェーズに応じてふさわしい人物が経営を行ったという話ではなく、より複雑な事情が原因となっています。

そのCEO達とはジャック・ドーシー(初代)、エヴァン・ウィリアムズ(2代目)、ディック・コステロ(3代目:現CEO)で、ジャック・ドーシー、エヴァン・ウィリアムズにビズ・ストーン、ノア・グラスの2人を加えた創業メンバー4人の人間模様を軸に本書は展開されていきます。

著者は、テクノロジーやウェブの未来といったテーマを得意とし、ニューヨーク・タイムズの記者、コラムニストとして活躍するニック・ビルトン氏。本書では膨大な取材と資料をもとに、華やかなスタートアップの裏で渦巻いていた、サービスやシステム、そして人間関係などの、組織で起こり得るさまざまなトラブルが赤裸々に描かれています。

ジャック・ドーシーとエブ・ウィリアムズ

初代のCEOを務めたジャック・ドーシーは、ツイッターの創業者として、そしてまた決済サービスのスクエアの創業して成功させたシリアル・アントレプレナー(連続起業家)として、スタートアップ界隈では非常に有名な存在です。

「次世代のスティーブ・ジョブス」という言われ方で紹介されることもありますが、本書で描かれるドーシーの姿は意外なものです。

一言でいうとCEOという職責には全く向いておらず、同じく創業メンバーのエヴァン・ウィリアムズとの確執を経て、最終的にツイッターを「追放」されてしまいます(この解任劇に至るまでの様子も非常に生々しいものです)。

一方の2代目CEOである、エブ・ウィリアムズはブログ・サービスのBloggerを創業し、のちにGoogleに売却するなど、Twitterの創業時からすでに連続起業家として著名な存在でした。

そもそものTwitterの前身となったオデオというポッドキャスティング・サービスを共同創業したのも彼で、ビジネスマンとしても非常に優秀な人物です。

140文字のつぶやきというサービスコンセプトをつくりあげたジャックをCEOに抜擢したエブでしたが、二人のサービスに対する方向性の違いは日を追うごとに増していき、機能からデザインまで「二人の意見が一致しているのは、二人の意見がほとんど一致しないということだけ」という状況だったとのこと。

まとめと感想

その後のドーシーの活躍は世間的にも有名なので、まさにこういった失敗経験を経て、経営者として成長していったということだと思いますが、なかなかメディアには出ない真実の人間模様だと思います。

本書ではまた、上記のような混乱の渦中に絡んでくるFacebook(当時Twitterの買収を目論んでいた)のザッカーバーグなども登場し、映画的ですらあるスリリングな展開を迎えていきます。

本書の内容はノンフィクションの読み物としても面白いものですが、スタートアップで起こり得る失敗の教科書としても有意義だと思います。

その意味で、読後「組織」というもののあり方について考えさせられる一冊として、特にスタートアップを目指す方には必読の内容です。ぜひ手取ってみてください。

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