書評『ウェルチ、ガースナー、ベスーンに学ぶ 「企業変革」入門』
(鈴木 博毅/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
はじめに 大企業病に罹った組織を革新するには
第1章 凋落という現実に向き合えているか
第2章 未来のマーケットを創出してきたか
第3章 人を変革するスイッチはあるか
第4章 危機の芽をきちんと摘んでいるか
第5章 「成長」と「生き残り」戦略を両立させているか
第6章 「管理」ではなく「率いる」ことができているか
第7章 「モノづくり」を超える企業文化を育てよう
第8章 次なる「再生」への準備を始めているか
おわりに 日本的組織のパラダイムシフトはこれからが本番
著者:鈴木 博毅
 1972年生まれ。慶応義塾大学総合政策学部卒。ビジネス戦略、マーケティングコンサルタント。MPS Consulting Company,Inc.代表。
大学卒業後、貿易商社にてカナダ・豪州の資源輸入業務に従事。その後、国内営業系コンサルティング会社に勤務し、2001年に独立。
独自の研究とデータ分析から、売上増加を求める企業への集客・戦略コンサルティング、営業部隊などの指導・研修を数多く手がける。
著書に『ガンダムが教えてくれたこと』『シャアに学ぶ”逆境”に克つ仕事術』(日本実業出版社)、『「超」入門 失敗の本質』『「超」入門 学問のすすめ』(ダイヤモンド社)、
『「空気」を変えて思いどおりに人を動かす方法』(マガジンハウス)など。

書評レビュー

世界的カリスマ経営者に学ぶ「企業変革」の方法

GE、IBM、コンチネンタル航空・・・、業績不振などで一時危機に瀕したグローバルカンパニーがいかにして「企業変革」を起こし、再度「勝ち組」企業に返り咲いたのか。

本書は、この「企業変革」にあたり、GE、IBM、コンチネンタル航空のカリスマ経営者が実際に採用した「問題発見・解決手法」を解説した一冊です。

GE、IBM、コンチネンタル航空と言えば、皆さんご存知の通り、各業界を牽引する世界的大企業として非常に有名です(コンチネンタル航空はユナイテッド航空と経営統合)。

特にGEと言えば、金融、エネルギー、メーカー、ソフトウェアなど、幅広いビジネス分野に進出しており、また、フォーブス誌が毎年発表する世界の公開会社上位2000社のランキングリストである「フォーブス・グローバル2000」でも常に上位にランクインすることから、「世界最大のコングロマリット」と呼ばれています。

これらグローバルカンパニー3社に共通する点、それは、業績不振による苦境を経験し、そこから業績のV字回復を果たした企業だということです。

20年前の状況を見てみると、IBMは約50億ドル(日本円で約5,000億円)の赤字を計上し、コンチネンタル航空に至っては、1994年までに二度の会社更生法の申請と10年連続赤字など、惨憺たる状況でした。GEについても、日本や韓国企業の台頭により、その地位が脅かされることが予想されていました。

そんな状況を打破したのが、本書で紹介されている、ジャック・ウェルチ(GE)、ルイス・ガースナー(IBM)、ゴードン・ベスーン(コンチネンタル航空)の3名のカリスマ経営者だったのです。

この3名は、小手先の改善ではなく抜本的な「企業変革」を行うことで会社を建て直し、「勝ち組」企業への道を切り開いたのです。

本書では、この3名が実際に行った経営手法を分析し、具体的な事例を交えながら「企業変革」に必要な「問題発見・解決手法」を解説しています。

組織を変革する4つのスイッチ

この書評では、「企業変革」の際に、最も重要な要素となりうる「人」の変革について、ご紹介します。

名門企業と言われた3社の凋落には、3つの共通点があるのですが、その中に、「責任をとらない上司、“自分の問題ではない”という病」というものがあります。

皆が目の前に差し迫っている危機を他人事のように捉え、誰も行動に移さない。そして、誰かがその危機を解決してくれるだろうと、まったく根拠のない、自分に都合のよい結論を出してしまう。

これは、実際に多くの企業で蔓延している空気(雰囲気)と言えるかもしれません。

また、このような考えを持っている従業員は、「企業変革」の必要性を感じていないので、新しくトップになったリーダーが「企業変革」を声高に叫んだとしても、自分のルーティンやワークスタイルが変化することを恐れ、協力しない、もしくは、反対に回ることが多いとのこと。

そこで必要となるのが、「組織を変革する4つのスイッチ」なのです。

組織を変革する4つのスイッチ
1.『リーダーが問題を正しく認めること』:自分が抱える問題を正しく認識して、全社の課題として打ち出すこと
2.『顧客からの評価を高めるプランの策定』:問題に対する効果的な対処法を見つけて、具体的な行動に移すこと。
3.『社員の意識変革』:「改革」の必要性を理解しない人たちに、メッセージを伝え続けること。
4.『社員の変化させる企業文化を創る』:「変革」に積極的な人材を高く評価し、古い企業文化を変えていくこと。

詳細は本書に譲りますが、この4つのスイッチに加え、企業のトップが本気で「企業変革」を行う意思表示として、自身の任期が「長期政権」であることを明確に示すことで、この変革は加速していくのです。

『4つのスイッチが押されつつ、変革を進めるトップが「長期政権である」ことが明らかな場合、社員は「この変化から逃れることはできない」と覚悟を決めます。古い抵抗勢力が、邪魔を諦めて従い始めるのは、これらの条件がすべて揃ったときなのです。』

まとめと感想

本書では、「企業変革」のキーとなる、新規ビジネス創出、マネジメント、戦略立案、企業文化醸成などについて、世界のカリスマ経営者と言われる3人が採用した実際の手法を交えながら、具体的に解説されています。

かつて、ソニーやパナソニックといった日本を支えた企業が、20年前のIBMと同じように数千億円の赤字を計上しています。日本人としては、この状況に忸怩たる思いを抱える方は多いのではないでしょうか。

本書には、日本企業が再び世界に羽ばたくためのヒントが各所にちりばめられていますので、「企業変革」のための入門書として、一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

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