書評『ムダを利益に料理する マテリアルフローコスト経営』
(古川 芳邦ほか/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
第1章 本当のエコはお金になる!?
第2章 日本で最初にMFCAをはじめた日東電工の場合
第3章 あなたがむいているのは、リンゴの実? それとも皮?
第4章 90個のリンゴで100個のリンゴと同じ「美味しい」を得る
第5章 日本発の「ムダ・ゴミ削減国際ルール」
第6章 世界に広がるMFCA
第7章 MFCAは「時短テクニック」にも応用できる?
第8章 MFCAの研究開発への応用
第9章 [事例研究]日東電工のMFCA
著者:古川 芳邦(ふるかわ よしくに)
日東電工株式会社サステナブル・マネジメント推進部長。1949年生まれ。上智大学経済学部卒。2007年よりISO/TC207/WG8(MFCA)国際幹事。2011年工業標準化事業表彰・経済産業大臣賞を受賞。2002年~2005年、上智大学経済学部非常勤講師。環境経営学会理事などを歴任。

著者:立川 博巳(たちかわ ひろし)
プロファームジャパン代表取締役社長。1977年生まれ。東京大学大学院新領域創成科学研究科修士課程修了。大手コンサルティングファーム勤務の後、2006年、国内外でコスト削減等企業の競争力強化を中心としてサステナビリティ分野でのコンサルティングを手がけるプロファームジャパン設立。ISO/TC207/WG8(MFCA)国際幹事補佐、日本代表エキスパート。

著者:古川 英潤(ふるかわ えいじゅん)
株式会社カシワバラ・コーポレーション 経営管理本部 コーポレートデザイン部 ヒューマンリソースPR課 課長。1973年生まれ。上智大学外国語学部卒。(株)博報堂勤務を経て、ブランドコンサルタントとして独立後、慶応義塾大学大学院経営管理研究科(慶応ビジネススクール)MBA取得。マーケティング戦略立案、事業戦略立案、企業ブランド構築、人的資源管理、経営管理を得意とする。2013年kashiwabara Hotai Taiwan Co.,Ltd.監査役就任。

書評レビュー

企業評価の新しい基準

今回ご紹介するのは、「モノづくり」大国日本が世界をリードしている、環境に配慮した利益効率化経営手法「マテリアルフローコスト経営(Material Flow Cost Accounting)」のエッセンスを解説した一冊です。

以前の企業評価の基準と言えば、収益至上主義のもと、「いかに収益をあげるのか」が主な企業の評価基準でした。

しかし、「サステナビリティ(持続可能性)」に表されるように、環境意識などへの高まりから、現在は、世界的な流れとして、環境や社会への配慮・貢献の観点が企業経営にも求められるようになりました。著者はこれを以下のように説明しています。

『「どれだけ儲けたか」、だけではなく、「どれだけ環境や社会に呼応軒したか」という評価が重視されるようになるにつれ、企業の経済的な側面に、環境的な側面(環境配慮、環境経営など)や社会的な側面(福利厚生、労働問題など)を加えた、3つの側面(トリプルボトムライン)で、企業の活動が評価されるようになってきています。』

「マテリアルフローコスト経営(MFCA)」は、このような企業評価に関する国際的な潮流の中で評価を受けているマネジメント手法として、世界の様々な企業で採用されています。

そして、このMFCAはドイツで生まれた手法なのですが、じつは、日本の「モノづくり」をベースに、日本で「育った」マネジメント手法とのこと。

日本も「モノづくり」は終わったと耳にすることが多くなりましたが、日本の「モノづくり」はこのように依然として世界的な評価を受けているのです。

「マテリアルフローコスト経営(MFCA)」とは?

著者は、MFCAをこのように説明しています。

M (Material):モノをつくっていく
F (Flow):過程の中で
C (Cost):かかってくるお金を、ドンブリ勘定ではなく、ちゃんとワリカンで
A (Accounting):お会計しましょう

つまり、トヨタをはじめとする日本の「モノづくり」企業が得意とする、ムダのない、効率的な生産手法がベースにあり、これは、生産のみならず、企業の貴重な経営資源であるヒト・モノ・カネ・チエを効果的に配分し、組織の競争力を向上させていく上でも非常に有効なマネジメント手法になりうると著者は解説しています。

そして、このMFCAのツボとして、著者はこちらの4点を掲げています。

①マテリアルフロー及びエネルギー消費の理解
②物量データと金額データとの関連づけ
③物量データの正確性、完全性、及び比較可能性の確認
④マテリアルロスのコストの見積及び配賦

詳細は本書に譲りますが、簡単言うと、「ムダ・ゴミ」をより正確に分析するために、より細かい「費目」で「コスト」を分析し、どこに何がかかっているのかを感覚ではなく「データ」で理解することで、経営の「効率化」を図る、というものです。

そして、その結果、「ムダ・ゴミ」が減少することで、企業経営と環境の両立を実現しようというのが、MFCAの基本的な考え方となっています。

まとめと感想

本書では、世界各国の企業における具体的な導入事例なども紹介されていますので、MFCAのエッセンスを理解するのにピッタリの一冊だと思います。

また、著者が以前所属していた日東電工における実際の業務フローも、実務で導入する上で参考になる内容だと思います。

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