書評『子育てがプラスを生む「逆転」仕事術 』
(小室 淑恵/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
はじめに
プロローグ―もう、妊娠・出産をためらわない
Chapter1―妊娠中に、できること
Chapter2―産休・育休を投資期間に
Chapter3―育児とキャリアアップ
付録―妊娠・出産と仕事復帰をめぐる制度やサービス
著者:小室淑恵
株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役。1975年生まれ。資生堂に入社後、日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2004受賞。2006年、株式会社ワーク・ライフバランスを設立。生産性の高い組織を作るコンサルティングをこれまでに900社以上に提供し、年間250回を超える講演や研修で全国をまわる。2009年からはワーク・ライフバランスコンサルタント養成講座を主催。2011年に「介護と仕事の両立ナビ」をリリース。2012年、国会で「日本の長時間労働の問題点と解決策」をプレゼン。内閣府「子ども・子育て会議」委員など複数の公職を兼任。

書評レビュー

ワーキング・マザーが直面する「キャリア形成」と「育児と仕事の両立」

本書は、仕事と育児の両立の観点から、女性ビジネスパーソン(ワーキング・マザー)が新しいワーク・ライフ・バランスを実現するための考え方とスキルを解説した一冊です。

著者は、ワーキング・マザーのワーク・ライフ・バランスに関するコンサルタントとして活躍している小室淑恵氏。また、内閣府「子ども・子育て会議」委員やTVコメンテーターとしても、精力的に活動している人物でもあります。

「出産後、自身のキャリアをどう形成していけばいいのか分からない。」「仕事の育児の両立しようとしても結局は中途半場に終わるのだから、出産を機に退職した方がよいのではないか。」

このように、出産後のキャリア形成とワーク・ライフ・バランスについて、何らかの不安を抱いている女性ビジネスパーソンがとても多いのが現状のようです。

これは、欧米と比べ、日本国内ではまだワーキング・マザーの認知が進んでおらず、企業側のサポートを活用できる土壌が形成されていないことなどが理由として挙げられています。

本書では、そんなワーキング・マザーとその予備軍の皆さんを応援するために、出産後のキャリアをどう描いていくか、また、育児を含めたワーク・ライフ・バランスをどのように形成していくかを、新しい観点(本書では「逆転の常識」と紹介されています)から解説した一冊となっています。

コンサルティング会社の社長として多忙な毎日を送りながら、2人の子供を出産、子育てを経験してきた著者自身の経験も反映された、非常にきめ細やかなアドバイスが多数掲載されています。

企業に求められる人材になる

産休後、職場復帰をしても、子供の託児所へのお迎えなどで残業することができないこと、つまり、就業時間が制限されてしまうことを、自身のキャリアにとってマイナスと捉えてしまう方も多いのではないでしょうか。

これに対して、業務の生産性を挙げることで解決は可能なのだから、むしろ企業のロールモデルとして活躍できるチャンスが与えられている、と著者は述べています。

『日本の企業は、「長時間で成果を出す仕事人間」よりも、「生産性が高くて残業代がかからない、つまり、生活も仕事も充実させている人材」を活用する方が企業の競争力を高めることに繋がる、と気づき始めています。(中略)

「子育てと仕事の両立」というスタート地点にたったあなたは、より企業に求められる人材になれるかどうかの岐路に立っています。』

また、産休前の働き方に戻そうと思われる方も多いようですが、それよりも置かれている状況を受け入れ、子育てを通じて得られるものに目を向けて、それらをパワーに変えて働き方を進化させた方が、自身のキャリアアップにも繋がると著者は提案しています。

本書には、残業しないで退社するための具体的なテクニック、産休を取る際に気を付けること、そして、職場の同僚との良好な関係の構築方法など、ワーキング・マザーの方や予備軍の方が非常に気になるケースについて、著者の実際の経験を踏まえたアドバイスが掲載されています。

また、付録の「妊娠・出産と仕事復帰をめぐる制度やサービス」には、地域のサポートセンターの活用方法など実践的な情報も多数紹介されています。

本書は、ワーキング・マザーとその予備軍の皆さんに向けた一冊ですが、やはり、ワーキング・マザーの職場復帰には、それを支える夫の存在が不可欠だということに改めて気が付かされました。

男性の皆さんが、家庭をサポートする際のアドバイスも掲載されていますので、男性ビジネスパーソンにも手に取っていただきたい一冊です。

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