書評『JENGA(ジェンガ)―世界で2番目に売れているゲームの果てなき挑戦』
(レスリー・スコット/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
事の起こり
思いがけないオックスフォードでの学び
インテル入ってる
リアルテニスとパタパタあひる
ゲームの名前
一目瞭然のわかりやすさ
ジェンガ、アメリカへ進出
学習曲線
グッド・ギフトとグレート・ウェスタン鉄道
上り詰めていくジェンガ
ギフト市場でゲームを売る
強力なブランドづくり
ブランドはアートか?
比喩としてのジェンガ
著者:レスリー スコット
起業家、ゲームデザイナー
アフリカ生まれのアフリカ育ちで、ケニア、シエラレオネ、英国で教育を受ける。プロのゲームデザイナーとして、業界最高峰といわれるTAGIEアワードの2012年最優秀ゲーム・デザイン賞やワンダー・ウィメン・トーイズ・インベンター賞などに輝く。大ヒット玩具「ジェンガ」の生みの親であり、オックスフォード・ゲーム社の創業社長。動物学者である夫と家族とともに広く世界を旅するが、英国オックスフォードシャーの農場とアフリカ・ケニア山麓の牧場を拠点に活動している。

書評レビュー

「販売実績 5,000万個」、「世界で2番目に売れているゲーム」として有名な「JENGA(ジェンガ)」…本書は、このジェンガを開発した「レスリー・スコット」による、ジェンガ開発から成功までの軌跡を自伝的に描いた一冊となっています。

ジェンガといえば、皆さんもよくご存じのとおり、積み木型ゲームとして超有名なゲームであり、世界での販売実績 5,000万個を誇るモンスターゲームです。

世界で2番目に売れているゲームとしても有名なジェンガを開発したのは、アフリカ生まれのレスリー・スコットという女性英国人でした。

本書では、このジェンガの開発秘話や販売実績 5,000万個に至るまでの軌跡を、レスリー・スコットの半生を交えながら、自伝的に紹介した一冊となっています。

ジェンガが売れた理由 ~一目瞭然の分かりやすさ~

レスリー・スコットは、ジェンガが世界的に売れた理由として「わかりやすさ」を挙げています。これについて、玩具業界の実力者アラン・ハッセルフェルドは、このように持論を展開したそうです。

『何よりもまずシンプルかつおもしろい。遊び方を知るのに、時間をかける必要もない。シンプルでありながら、イライラしたり、興奮したり、切迫感も爽快感も味わったり、何でもある。それでちゃんと勝者も決まる。これは重要なことだ。』

他の関係者も、「ジェンガは素朴だった。その素朴さがよかった」と口をそろえて言っているそうです。

さらに、詳細は本書に譲りますが、レスリー・スコットは、歴史文学者であるヨハン・ホイジンガの「遊びに特有な7つの要素」になぞらえながら、「ジェンガ成功の7つの要素」として、その「素朴さ」を深堀りしています。

ブランドを生み出す

また、本書後半では「ブランド」について踏み込んだ考察がなされています。著者は、「ブランドづくりは一種のアートだと思っている」と語っています。

その理由は、芸術と同じく、人がつくりだしたモノや画像に象徴的に意味を持たせ、それをコミュニケーション手段として使っているからです。

そして、「それをうまくやるには単に事実やデーを利用するだけではなく、ブランドの訴求先である顧客の道徳観や伝統といた文化を熟知しなてはならない」と述べているのです。

さらに、ブランディングやマーケティング観点は、生物界(動植物)から多くのことが学べる、という持論が展開されます。

たとえば、ある種の花が、蜜で昆虫を呼びよせ花粉を媒介してもらう関係(動物と植物が相互依存しながら進化する共進化)を、トイザらスなどの大手小売りチェーンと連携して新商品を開発する相互依存関係になぞらえたりと、興味深い内容でした。

現在のデータをもとに厳しく費用対効果が追求される現在の主流からは外れてしまうかもしれませんが、マーケティングや新製品、新事業開発に携わる方には一読をお薦めします。

まとめと感想

上記に加えて、ジェンガのネーミングやブランディングについても開発者であるレスリー・スコット自身が戦略的に解説するなど、本書は単なる自伝とは異なり、ジェンガというキラーコンテンツの開発から流通までを幅広くカバーし、販売実績5000万個という成功へのプロセスを解説した一冊と言えます。

なお、本書の帯にある「ジェジェジェ ジェンガ」は、実際にアメリカのTVCMで放送されていたキャッチフレーズであり、この独特の音の強さが、ジェンガの認知度の向上につながったと解説されています(帯の作成者は、NHKの朝の連ドラで有名な「じぇじぇじぇ」ともかけたようです)。

「世界で2番目に売れているゲーム」を開発したレスリー・スコットの、起業家、そしてゲーム開発者としての考え方や矜持が等身大で語られていますので、読み物としても大変おもしろい一冊だと思います。

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