書評『サロンはスタッフ育成で99%決まる 』
(榎戸 淳一/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
< ストーリー>
1 コンサルタント時代の出会い
2 エステティックサロン経営への挑戦
3 お客様が来ない日々
4 飛 躍
5 日本一のサロンに輝く
< サロン育成プログラム>
1 スタッフ育成プログラム
2 顧客倍増プログラム
3 エステティックグランプリの活用
著者:榎戸淳一
株式会社ES-ROOTS代表取締役社長 一般社団法人エステティックグランプリ理事長
新卒で船井総合研究所に入社し、様々な経験を積んだ後に「エステティック業界の健全化、イメージ回復」に使命を感じ、船井総研内で自らエステティック業界のコンサルティングを立ち上げ、業界内で多大な実績を残す。
現在では、株式会社ES-ROOTSを設立し、東京都目黒区に「fruitsroots(フルーツルーツ)」というオーガニックコスメ&エステティックサロンを経営している。
また、業界誌への連載、執筆、業界イベントでの講演なども多数行っており、現在ではエステティックグランプリの活動を通じて、「エステティック業界を尊敬される業界にする」ことを目指して日々奮闘している。

書評レビュー

本書は、コンサルティング業界から異業種であるエステ業界に転身し、エステティックグランプリで部門別全国1位を獲得したサロン経営者による「人材育成」の重要性とその方法を解説した一冊です。

著者である榎戸淳一氏は、船井総合研究所のコンサルタントとして、100を超えるエステティックサロンの案件を担当していた人物です。

そして、そのサロンの現場で目の当たりにしたのは「顧客満足度と業績が反比例している」という現実だったといいます。

これは、オーナーが売上獲得に比重を置きすぎるあまり、所属するエステティシャンが顧客満足度よりも高額なメニューの販売を重視してしまうことから生まれている現象とのことです。

そして、そういったサロンについては、やはり離職率も高く、サロンの存続も実は危ぶまれるような状況で、加えて、オーナーへのヒアリングなどの結果、大半のサロンでは、「スタッフの育成」がおざなりにされていることが分かりました。

そこで、「スタッフの育成」を重視したサロン経営を行おうと起業した著者の、「人材育成」のノウハウをまとめたのが、本書となっています。

このノウハウを元に、エステティックグランプリで、モデルサロンプレゼンテーション部門(「エステティックへの想い・理念・取り組み事例」を4,000人の観客が評価する)で全国1位を獲得しています。

本書は2部構成になっており、1部では、筆者のコンサル時代のエピソードに始まり、起業、サロン経営の危機、そしてエステティックグランプリで全国1位を獲得するまでが、2部では、筆者が実践している「人材育成プログラム」を中心としたマネジメント論について、紹介されています。

なぜ「サロンはスタッフ育成で99%決まる」のか

筆者は、スタッフ育成が疎かになっていることにより、顧客がサービスに満足できないためリピーターにならず、業績は伸び悩んでしまうと解説しています。

もしかしたら高額なメニューの販売で一時的に売上は増加するかもしれませんが、それが永続的に続くのは難しいでしょう。

また、そんなサロンでは、昨今のSNSを通じた口コミなどで新規顧客の獲得もままならなくなっていくのではないでしょうか。

そのため、著者はやはりサロン経営のキモは「人材育成」であると確信しました。

『(リピート顧客と新規顧客の獲得には)顧客視点に立った質の高いサービスを毎回続けることと、それを可能にするスタッフの存在と育成、さらにスタッフがいきいきと働くことのできる環境づくりが最重要である。』

こうすることで正のスパイラルが生まれ、結果、サロンの永続性に繋がると著者は解説しています。

スタッフ育成プログラム

著者は、コンサル時代から実際にサロンを経営してきた自身の経験を踏まえ、そのノウハウを「スタッフ育成プログラム」として取りまとめています。

詳細は本書に譲りますが、プログラムの一連の流れについて簡単にご紹介します。

①価値観を共有する(何のために働くのか、何を目指すのかを明確にする)
②お客様の喜びをスタッフに伝える(スタッフのモチベーションの源を形にする)
③評価制度を整える(曖昧な基準ではなく、明確な基準を示す)
④自主性を促す仕組みをつくる(役割を明確にし、当事者意識を高める)

筆者は、特にこのプログラムのキーワードとして、①の「価値観を共有する」を最も重視しているようです。

『最初に理念(何のために)やビジョン(何を目指すか)といった心の教育をし、価値観を共有してから働いた方がスタッフの成長は早い』

これは、著名な経営者の多くもマネジメントの重要事項として指摘していることですが、その苦難も描かれており、改めて参考になる内容でした。

まとめと感想

本書は、一見するとエステ業界に関する著書ですが、サロン経営、特に、サービス業において重要と呼ばれる「スタッフ(人材)」育成にフォーカスしたマネジメント論を紹介した一冊ということで、今回ご紹介しました。

また、「顧客倍増プログラム」として、新規顧客の獲得や休眠客を作らない(リピーターの作り方)ためのノウハウも紹介されており、こちらもサービス業に従事されている方にはとても参考になると思います。ぜひご一読ください。

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