- 著者プロフィール
第2章 2度目の挫折―信頼していた役員の裏切り
第3章 再起、そしてクラウドワークス始動へ
第4章 クラウドソーシングがもたらす、働き方革命
第5章 クラウドワークスが提唱する、これからの働き方
第6章 ベンチャー立ち上げを通じて学んだ仕事術
株式会社クラウドワークス代表取締役社長兼CEO。1974年兵庫県神戸市生まれ。東京学芸大学卒業後、パイオニア、リードエグジビジョンジャパンなどを経て、ドリコム執行役員として東証マザーズ上場を経験した後に独立。ベトナムへ事業展開し、日本とベトナムを行き来する中で、インターネットを活用した時間と場所にこだわらない働き方に着目、2011年11月株式会社クラウドワークスを創業する。
書評レビュー
クラウドソーシングで話題の起業家の自伝的経営論
今回ご紹介する一冊は、昨今話題のクラウドソーシング業界をけん引する「クラウドワークス」CEO 吉田浩一郎氏の自伝的経営論です。
「クラウドワークス」と言えば、日経新聞やTV東京のワールドビジネスサテライトなど数多くのメディアで取り上げられるなど、「Lancers」などとともにクラウドソーシング業界を代表する企業。
2012年3月のサービススタートから約1年半という短期間で、発注予算総額40億円、クライアント15,000社を突破するなどその成長スピードが注目を浴びています。
本書は、吉田氏のクラウドワークス設立時のエピソードから今後の展開、そしてクラウドソーシングビジネスの概要や業界の世界的なトレンドなども幅広く紹介された一冊。まず簡単にクラウドソーシング(Crowd Sourcing)の意味を説明します。
クラウドソーシングが求められる3つの理由
このクラウドソーシングビジネスは、主に欧米で先んじて発展してきました。簡単にいえば、「インターネット上で不特定多数の人々を募り、仕事を発注するサービス」です。
その背景には、企業(発注側)とデザイナー・エンジニアと中心とする被雇用側(受注側)のそれぞれのニーズを正確にマッチングできるプラットフォームが求められていたからのようです。
①企業が仕事を発注したくても、どんなスキルを持つフリーランスが、どこいるのか探せない
②企業のルールや商習慣が、フリーランスに仕事を発注しづらくさせている
③そもそも従来の会社の枠組みでは、エンジニアやデザイナーの業務効率が最大化できていないところがある
筆者は、クラウドソーシングにはこの3つを解決し、企業とデザイナー・エンジニアのニーズをマッチングさせることができると考えたとのことです。
サービス開始後1年半という短期間でクライアント企業が15,000社を超えたことこそ、この筆者の狙いが、企業とエンジニア・デザイナーのニーズに合致したことの証左と言えると思います。
ミッション~新しいワークスタイルを提供する~
本書では起業やスタート・アップに際し、創業者が大きな「夢」や「ビジョン」を描き続けることの重要性が強調されています。
ではクラウドワークス社ののビジョンやミッション(社会的使命)はどのようなものなのでしょうか。
現在、日本の就業人口のうち、企業で正社員として働く人の比率が低下傾向にあり、遅くとも2020年には正社員は就業人口の半分を下回ってしまうと予測されています。
そうなれば、現在よりも多様な働き方が求められる時代になる。そう考えた吉田氏は、クラウドワークスのミッションは、働く人たちの新しい「受け皿」を創り出すことだと定義しました。
ここ最近「未来の働き方」として、組織に依存しない働き方が注目されています。この働き方が主流になるには、個人の意識と能力、そしてこのような仕事マッチングプラットフォームの整備が必須なので、「受け皿」としての社会的意義は非常に高いのではないでしょうか。
まとめと感想
本書ではほかにも、VC(ベンチャー・キャピタル)であるサイバーエージェント・ベンチャーズからの出資や、藤田晋氏に経営メンターを依頼する際のエピソードなど、起業家としての体験談も多数紹介されており、また、巻末にはライフネット生命の岩瀬大輔氏との対談も掲載されています。
加えて、多くの人の「働き方」に影響を与え、今後一層の広がりを見せるであろうクラウドソーシングの現状も把握できる内容なので、ビジネスパーソンの皆さんに参考となる一冊です。
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