書評『日本でいちばん大切にしたい会社4 』
(坂本 光司/著)

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  • 著者プロフィール
プロローグ 会社にとって「いちばん大切なこと」
大切にしたい会社1―衰退するせんべい業界でトップを独走する「ぬくもりの経営」の会社(株式会社小松製菓(岩手県二戸市))
大切にしたい会社2―「幸せ日本一」をめざして四世代から愛される、笑顔いっぱいのレストラン(株式会社坂東太郎(茨城県古河市))
大切にしたい会社3―限りない優しさがあるからみんなが嬉々として働くランドセルメーカー(株式会社協和(東京都千代田区))
大切にしたい会社4―たった1個の注文にも応える町工場魂が日本のモノづくりを支える(東海バネ工業株式会社(大阪府大阪市))
大切にしたい会社5―逆に健常者が差別される!?障がい者雇用率102.6%の奇跡の株式会社(株式会社障がい者つくし更生会(福岡県大野城市))
著者:坂本 光司
 浜松大学教授、静岡文化芸術大学教授を経て、2008年4月より法政大学大学院政策創造研究科(地域づくり大学院)イノベーションマネジメント研究科(MBA)兼担教授法政大学大学院静岡サテライトキャンパス長。全国7000社以上の企業訪問をし、「現場で中小企業研究をし、頑張る会社の応援をする」ことをモットーにしている。著書に『日本でいちばん大切にしたい会社』シリーズ、『経営者の手帳』、共著に『どう生きる』『どう働く』(坂本光司・青木仁志 著)他、多数がある。

書評レビュー

企業経営の真の目的とは何か?

本書『日本で一番大切にしたい会社4』は、シリーズ累計65万部を誇り、村上龍氏をはじめとした著名人が絶賛するシリーズ本です。本書の筆者は、中小企業を対象とした経営学者であり、人材や働き方に関する著書を多数執筆している「坂本光司」氏。

本書は、中小企業の経営にまつわるエピソードを社長からのヒアリングベースで紹介するという一冊なのですが、著名人が絶賛する本書の特徴は、紹介される会社のとある共通項にあります。

企業経営の目的・目標と聞いて、皆さんはまず何を思い浮かべますか?売上高の増加、業界内でのシェアの拡大などを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、本書『日本でいちばん大切にしたい会社4』では、そういったことには一切触れられていません。

筆者は、企業経営の目的について、こう解説しています。

『(業績を高めることなどは)、企業経営の目的。目標にすべきことではなく、企業の真の使命と責任である「人」を本当に大切にした経営を実践してきたかどうかの結果現象にすぎないのです。』

つまり、本書で紹介されている企業に共通する、企業経営の目的の「キーワード」は、「人」を大切にしているか、なのです。

経営にとって大切な「5人の人」とは?

それでは、この「人」とは一体だれを指すのでしょうか。筆者は、企業が経営を進めていく上で、『経営にとって大切な「5人の人」』を知らなければならないと述べています。

経営にとって大切な「5人の人」
1人目:「社員とその家族」
2人目:「仕入先や協力工場棟で働く社外社員とその家族」
3人目:「現在顧客と未来顧客」
4人目:「地域住民、とりわけ障がい者や高齢者などの社会的弱者」
5人目:「株主・出資者・支援者」

昨今よく主張されている「株主第一」ではなく、「社員第一」を掲げているのも、本書の特徴の1つです。今回は、スカイツリーのバネも手掛ける従業員100人足らずの町工場「東海バネ工業」のエピソードをご紹介します。

顧客満足を支えるのは高い社員満足度

筆者は、ブレずに安定的に業績を上げている会社の共通項をあげるとすると、その最たるものが「社員満足度の高さ」だと断言しています。

『もちろんお客さまがいなければ商売は始まりませんが、そのお客さまを喜ばせ、感動させるのは誰かといえば、社員であり、その社員を支える家族です。』

そして、スカイツリーや宇宙ロケットのバネを手掛けるなど、その技術力が高く評価され値引きを一切行わないことでも有名な「東海バネ工業」においても、その考え方が浸透しているとのことです。

『経営者の仕事は、社員とその家族が満足できるような環境を整えてやることです。東海バネ工業はモノづくりの会社ですから、社員の喜びの根源はモノづくりにあります。だからこそ会社は、社員たちがもつ技術を大切にしているのです。』

社長が環境を整えることで、社員がこぞって高い技術力を身につけ、その高い技術力こそが高品質なバネを作り、その結果、値引きを一切行うことなく高い利益率を確保できている、ということなのでしょう。

まとめと感想

「人材」を「人財」という筆者だけあり、本書で紹介される企業は、すべて「人」を大切にしている企業ばかりです。

そんなきれいごとばかりで企業経営ができるのか?という声も聞こえてきそうですが、それでも実際に収益を上げている企業を見ると、1つの企業経営の在り方として参考に
すべき点は多々あるのではないかと、考えさせられる一冊だと思います。

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