書評『何があっても、だから良かった』
(青木 擴憲/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
人間を磨き、「格」を高める経営の基本
先見力の向上
技術力の向上
徹底継続力の向上
発想力の向上
問題解決力の向上
人脈力の向上…ほか
著者:青木 擴憲
 株式会社AOKIホールディングス代表取締役会長。1938年、長野市生まれ。’58年「洋服の青木」を長野市で創業。’76年8月、現・AOKIホールディングスを設立。’79年、全国にチェーン展開スタート。’91年9月、東証一部上場。以後、ブライダル、エンターテイメントと事業を拡大。2010年6月、代表取締役会長に就任。ファッション事業「AOKI」「ORIHICA」、結婚式場「アニヴェルセル」、カラオケ「コート・ダジュール」、複合カフェ「快活CLUB」、あわせて約1,000店舗を全国に展開するグループのCEOを務め

書評レビュー

紳士服のAOKIを一代で築いた男の経営哲学

本書は、紳士服のAOKIのチェーンを一代で築き上げた著者が、AOKIの歴史と経営・人生ついての教えを100にまとめたものです。

紳士服の青木(現AOKIホールディングス)といえば、今や全国どこの都市にいっても見ないことはない規模までひろがっていますが、もともとは著者が店舗を持たない「行商」から始めたものです。

著者は、父の質屋の倒産を機に行商をはじめ、以後7年間資金繰りがギリギリのなか行商を続け、店舗を持つようになり、のちにドミナントチェーンの拡大、東証一部上場とつきすすみます。

こうした成功にいたるまでに相当な苦労を重ねられており、精神的な訓示が多い内容ですが、「人格を磨き、徳を高める」王道的で普遍的な内容が書かれています。この書評ではそれらの言葉の中からいくつか印象に残ったものを紹介します

1:生きる基本を踏まえる

まさに王道的な内容ですが、中国古典の「道徳」に沿った生き方をすることが1つ目に挙げられています。

『「生きる基本」とは、肉体(衣食住と生活)を整え、精神においては、人間の守るべき道徳(仁義礼智信忠孝悌恭譲倹)を理解し、行動の指標とすることです。』

それぞれの徳目は以下のようにわかりやすく説明されています。ぜひ参考にしてみてください。

仁……礼に基づく自己抑制や他者への思いやり。
義……物事の理にかなったこと。筋道を通すこと。
礼……社会の秩序を保つための生活規範。けじめをもって行動すること。
智……物事を理解し、賢いこと。知恵を磨き続けること。
信……約束を守ること。守れないときは事前にお詫びし、了解をいただくこと。
忠……心がこもっていて誠実なこと。所属する組織に対しても忠誠心を持つこと。
孝……親子や師弟、上司と部下などの縦の関係を大切にすること。親孝行をするこ・
悌……兄弟姉妹仲良くすること。友人、同僚などの横の関係を大切にすること。
恭……謙虚で、かつ、うやうやしいこと。駈
譲……相手を敬って自分を控えめにすること。「おかげさまで」の心をもつこと。

2:先を行っている人と、先を見抜く人に学ぶ

本書には「学習を継続する」、「他人から謙虚に学ぶ」という「学び」について多く言及されていますが、特に経営については、2パターンの人から学ぶことが挙げられています。

『将来を見通すために、先輩や、先を予測するプロに教えていただくことは最も大切です。先進的な活動をされている優れた方々を指標として、自らに役立つ点を見つけ生かします。』

具体的には、著者も労をいとわず専門家のセミナーなどに通い、「先生」と呼べる人間を見つけて継続参加するなど、地道とも思える努力を続けられています。

3:何事も腹一杯にしない、常に八分から四分に抑える

本書ではまた、心と体の健康を保つことの重要性も強調されていますが、その簡単で効果的な秘訣として、いわゆる「腹八分目」が挙げられています。

『食べたい、飲みたい、眠りたいなどの欲求は、完全に満たすのではなく、あと一歩というところで我慢します。飽きるまで食べない、酔うまで飲まないことです。

もう食べ物を見たくもないというほど食べたり、酔ってこれ以上飲めないというほどお酒を飲むことは、体にも心にも良くありません。適度なハングリー精神を持つことで、心も体も軽快になり、いきいきと過ごすことができます。』

まとめと感想

本書では上記のように、著者が苦労を乗り越えてきた際に大切にしてきたことが、いくつかのテーマ(先見力、人脈力、決断力、リーダーシップなど)で100挙げられています。

タイトルの「何があっても、だから良かった」とは、様々な苦労も、最終的には、「あれがあったから良かった」とポジティブに捉えられるように努力し続けることであると説かれています。叩き上げの経営者ならではの、情熱と行動力のエピソードも豊富に描かれていますので、そちらもぜひ読んでみてください。

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