- 著者プロフィール
第1章 ツルンとわかる、起業の話。
第2章 質問!実際、やってみたらどうだった?
1978年福岡県生まれ。中学2年から高校3年まで引きこもりを経験し、その後深夜バイトや新聞奨学生を経て起業。国内最大手のレンタルサーバー「ロリポップ! 」をはじめ、「ブクログ」「CAMPFIRE」「BASE」など、数々のトップサービスを立ち上げる。2007年、JASDAQに当時最年少上場。現在はベンチャー企業へ投資を行うかたわら、起業集団「Liverty」代表として活動している。著書に『新装版こんな僕でも社長になれた』(イースト・プレス)『お金が教えてくれること』(大和書房)などがある。
書評レビュー
15歳でもわかる、できる起業論
本書はロリポップ(paperboy&co)を最年少上場させ、現在もBASEなど多くの事業やサービスに携わりつつ時折ネットで炎上などもしている家入一真氏が語る「起業」について語った一冊。
タイトルの「15歳から社長になれる」とは、日本では15歳から印鑑登録が可能で、会社設立登記も可能になる(=社長になれる)ところから来ています。
その内容は「起業」の知識と心構えが、文字通り15歳に向けて書かれたもので、中・高・大学生には必要十分な内容です。
とはいえ重要なことがサラリと書かれていたりしますので、会社、株、M&Aなどについていわゆる「起業本」や独立開業系の本をあまり読まない方には参考になる内容だと思います。たとえば以下のようなものです。
ちなみに、僕が若い子の企業に投資したり応援したりするときは、10%から20%くらいの株をもらうことにしている。これなら3分の1以下だから大した役割もないし、だいたいのことは本人の好きにできる。
でも、さっき触れたM&Aで『会社が1億で売れました』みたいなことになったときには、僕にも1千万から2千万円くらいが配当されるから、僕自身もやる気を出して応援するのにもちょうどいい。」
では、社会人が本書を読む意味は何かというと、著者が15歳前後の若者に向けた「起業=リスクではない」というメッセージは年齢問わず通用するという点と、今の10代の考えを間接的ながら知れるということではないでしょうか。
特に後半に若者起業家との対談集がのっているのですが、彼らの淡々としていながらもグローバルな視野は、30代40代の人間にとっては正直脅威だと思います。
家入氏自身も「若者を見て学んでいる部分がすごくある」と述べているように、彼らに投資家として身近に接しているからこそ書けた著書だと思います。この書評では彼らと家入氏の対談から、印象に残った彼らのメッセージを紹介します。
金持ちになりたいではなく、結果的にお金が入ってくる
中2でiPhoneアプリをヒットさせた「スーパーIT灘高生」Tefu君(18歳)のインタビューからです。
そもそもお金っていうのは、『金持ちになりたい』って思って稼ぐものじゃなくて、人に喜んでもらえたら、結果的にお金が入ってくるってことだと思うんです。だから将来的にも、たくさん人に喜んでもらえたら、ある程度のお金持ちにはなれるんじゃないかなと。」
「使えるものは使う」
こちらは15歳で起業し10代のネット議事選挙サイト「teen’s opinion」などを運営するタクミ君へのインタビューからです。
それに社会は結構健全だから、ちゃんと面白いものをつくったときには、みんな見てくれるんですよね、ちゃんと。だから、本当に面白いものを作りたいって思えるんですよ」
まとめと感想
10代の彼らの飄々としつつも芯の通った視点に驚く方が多いと思います。かつて「WEB2.0」(梅田望夫)という本で、その中で将棋の羽生善治名人の「インターネットによって学習の高速道路」ができているという話がありましたが、実際そのような世界になりつつあると感じます。
著者のいうとおり、中高生に「起業」が身近なものになれば(制度的にはすでに整っており、あとはマインドと教育の問題ではないでしょうか)、ドロップアウト→不良、だったものがドロップアウト→起業のような世界も訪れそうな感想を持ちました。初等教育や義務教育など「教育」に関心がある方にもお薦めできる一冊です。
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