書評『1万円起業』
(クリス・ギレボー/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
第1章 自分を再発見しよう
第2章 「魚」を与えよ!
第3章 情熱だけでは成功しない
第4章 ノマド起業の真実
第5章 顧客の年齢層を調べるな
第6章 ビジネスプランはA4用紙1枚に
第7章 断れないオファー
第8章 本日発売!
第9章 売り込みは穏やかに
第10章 儲かり続けなければ仕事じゃない
第11章 収入を倍増させる微調整
第12章 自分をフランチャイズしよう
第13章 大きくなるのはいいこと?
第14章 あなたはもう、いちばんの専門家!
著者:クリス・ギレボー
作家、起業家、トラベラー。オンライン出版から西アフリカでの社会起業に至るまで、さまざまな場所であらゆる形のビジネスを生み出し続ける

書評レビュー

「マイクロ起業家」1,500人から導かれた成功法則

本書は原著タイトルが「THE $100 STARTUP」とあるように、元手1万円程度でビジネスを始め、年間数百万円の収入をあげるアイデア・方法を解説した、スモールビジネスの教科書的一冊。

特長としては、成功しているマイクロ起業家(500万以上の収入)1,500人の事例調査をもとに、成功法則を導いている点ではないでしょうか。取り上げられる事例は、マイレージの活用コンサルからヨガ教室まで多岐にわたります。

「情熱だけでは成功しない」、「顧客の年齢層を調べるな」「ビジネスプランはA41枚にまとめる」など面白いテーマが書かれているのですが、この書評では、実際に「売り出す」局面をピックアップして紹介します。

売り出しを実行するときの5つのルール

実際にビジネスをはじめるにあたって、著者は、下記の観点が一番重要だと言っています。

すばやくスタートし、反応を見てから考える、だ。計画するのは悪いことではないが、下手すると実行されなかった計画だけを残して人生は終わってしまう

ルール1:市場性の高いアイデアを選ぶ

市場性の高いアイデアとは、壮大で画期的なそれという意味ではない。問題を解決するもの、あるいは他人がお金を払ってでもほしがるような有益なものでありさえすればいいのだ。革新性を考えてはならない、有用性を考えよう。

つまり、斬新なアイデアや「世界初!」のような言葉に人は目が向きがちですが、誰か他人の問題を解決するからビジネスになるのであり、ひとりよがりになってはいけないということです。そして、実際に市場性があるかどうかは確実にわかる方法はありません。だからこそ、とにかく早くスタートすることが重要だと強調しています。

ルール2:費用を抑える

これについて、下記のようにのべています。

プロジェクトにおカネではなく、労力をつぎ込めば、借金を抱えずにすむし、うまくいかなかったときの影響が最小限に抑えられる。

当然のことのようですが、実際にビジネス立ち上げにかかった総費用のいくつかの例があげられています。大体の規模感がわかるのではないでしょうか。

・NYのオリジナル地図ビジネス→500ドル(約5万円)
・手作りおもちゃの会社→300ドル(約3万円)
・ドキュメンタリー制作ビジネス→2,500ドル(約25万円)

ルール3:まず売ってみる

なぜ、なかなかビジネスを立ち上げられないのか、その理由を著者は「心の迷い」や恐怖だと断言します。

あなたが知る必要があるのは・・・どうすればはじめての販売ができるのか、だ。ほかのビジネスとの競争は後で考えればいい。いちばんの大敵は、心の迷いにほかならない。

ルール4:つくる前に市場をたしかめる

とにかく早くスタートすべし、というのが基本ではありますが、最初に多大な労力がかかるビジネスの場合、市場にニーズがあるかは知っておかなければなりません。

つまり、フィジビリ(FS)を行うということなのですが、それを確かめる方法として、以下のような例が紹介されています。少し強引ですが、かしこいやり方だと思います。

彼は、高級自動車の専門的ガイドブックを900ドル(9万円)で売り出した・・・・といっても、雑誌にその告知広告を載せたときは、まだ実際にそのガイドブックをつくっていなかったのだが。(中略)

彼にとっても意外だったが、2件の注文が入った。広告費用はちょうど300ドル(3万円)だったので、もし本当にガイドブックをつくれれば、1,500ドル(15万円)の利益が得られる。(中略)このガイドブックは売れるとわかったので(そして今では実際に製品が手元にあるので)、彼はもう一度広告を出し、その後の数か月間でさらに10冊を売った。

ルール5:最初の結果によって、変えるべきところは変える

著者は、最初の成功をおさめたら、状況を整理して、次に何をすればいいのかを決めるべきだと説きます。そして、例としてオリジナル地図販売ビジネスの例をあげています。

最初のステップに成功し、地図の種類を増やしていった結果、自分経ちでやっていた発送作業がふくらみ、手が回らなくなったのです。そこで、地元の倉庫業者に委託することをして、これを解決しました。

著者は、このようなことはこれは簡単にみえて、意外と面倒で後回しにしがちであると指摘しています。例えば上記の例だと、発送代行をお願いする場合、オンライン・ショッピングのカートを出荷サービスに同期させる作業も発生します。

しかし、これらを放置しておくと、多忙にかまけ混乱状態の中でビジネスの成長を止めてしまうことになります。それゆえ、最初の方法(習慣)を変えるちょっとした勇気が必要となってくるのです。

ほかにも、本書ではアイデアの導き方から販売手法、安定期を迎えたビジネスを成長させるツイーク(微調整)、キャッチコピーやビジネスプランのフォーマットまで、実際にスモール・ビジネスをはじめるという人が使える実践的な本だと思います。また、実際に多くのマイクロ起業成功事例が掲載されていますので、アイデア発想のもととしても使える一冊です。

新刊ビジネス書を「要約」でチェックできるプレミアム版も人気です

book-smartとは