書評『ジャスト・スタート』
(レオナード・A・シュレシンジャー ほか/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
[序] 不確実な時代を生き抜く
Part I 未知の状況に直面したら
 [1] 未来を予測できない場合にどうするか
 [2] 何はさておき欲求
Part II 不確実なことにチャレンジする
 [3] 手近な手段で行動開始
 [4] 許容損害を決める
 [5] 学んだことを活かす
 [6] 協力者を作る
Part III クリアクションを実践する
 [7] 現在の結果としての未来――プレディクションとクリアクションの使い分け
 [8] 不確実に備える――仕事でのクリアクション活用法
 [9] 日常生活におけるクリアクション
 [10] クリアクションで世界を変える
[終] 興味深いコメントや質問への回答
著者:レオナード・A・シュレシンジャー Leonard A. Schlesinger
ハーバード・ビジネススクールで20年間教鞭をとった後、アパレル大手のLimited Brands Inc.副会長兼営業部長を経て、2008年7月、バブソン大学第12代学長に就任。現在は同学名誉学長およびハーバード・ビジネススクール(ベイカー財団記念講座)教授。ハーバード大学で博士号、コロンビア大学でMBA、ブラウン大学で文学士号を取得。著書も多く、邦訳に『バリュー・プロフィット・チェーン』『カスタマー・ロイヤルティの経営』(いずれも共著、日本経済新聞社)などがある。

著者:チャールズ・F・キーファー Charles F. Kiefer
マサチューセッツ工科大学で物理学および経営学を専攻。米上院やマサチューセッツ工科大学などの職員を経て、「組織学習」と呼ばれる概念および手法を提唱する企業経営コンサルティング会社Innovation Associates Inc.を設立、現在も会長を務める。グローバル企業の経営陣に対して、人材の活用を最優先するためのアドバイスを行なっている。

著者:ポール・B・ブラウン Paul B. Brown
ニュージャージー州立ラトガース大学で文学士号および法学博士号を取得。「ビジネス・ウィーク」「フィナンシャル・ワールド」「フォーブス」などの経済誌の記者・編集者を経て、現在は「ニューヨーク・タイムズ」にコラム“What’s Offline”を執筆中。

書評レビュー
起業したい!とまではいかなくても、仕事でもプライベートでも起業家のような思い切った行動ができれば…と考える人は多いのではないでしょうか?

本書は、タイトル通り、予測不可能な状況の中で、どうすれば一歩踏み出し行動できるようになるのか、起業家を研究することにより科学した一冊です。著者はアントレプレナーシップ(起業家精神)教育において、全米ナンバーワンの評価を受けるバブソン大学の学長をつとめたレオナード・A・シュレシンジャー氏。

起業家の行動パターン「クリアクション(Creaction)」とは何か

決断において、起業家(および起業家のように決断できる人)と、一般の人の考え方はどこに違いがあるのでしょうか。著者はそれを、プレディクション(予測)とクリアクション(想像+行動※Creation+actionをあわせた造語)の違いであると述べています。ひとことで両者の考え方を説明すると、以下のようになります。

プレディクション:予測に基づいて推論する。たとえば「人口動態」などでは、現状から推測すれば、*年後の世界の人口は*であるとほぼ確実に推測できる。

クリアクション:未来は過去と同じかもしれないし、違うかもしれないが、自分で未来を築けば、未来がどうなるかを考えることに時間を費やさずに済む。

つまり、起業家はまず行動し、リスクを(極少化したうえで)受け入れ、未来を創造するのです。そして、クリアクションの具体的なステップとして説明されているのが、以下の3ステップになります。そして、このステップを、目標を達成するか、達成できずもはや続けられないと判断するまで繰り返すのです。

1.欲求
・まず自分のやりたい事を見つける

2.できるだけ早く賢い一歩を踏み出す
・手近な手段で素早く行動する(自分の知識、人脈、そのほかなんでも利用できるものを活用する)
・許容損害の範囲内にとどめる(コストは失っても構わないと思える程度に抑える)
・協力者を増やす(利用できるリソースを増やしつつ、リスク分散する)

3.踏み出した一歩から学んだ事を活かす
・行動するたびに状況は変化するので、注意を払っていれば、必ず学ぶべきことは見つかる。

すぐにアクション(行動)を起こすべき13の理由

将来のことがはっきり予測できない場合には、クリアクションの要であるアクション(行動)を起こす、というのが本書の趣旨です。しかし、なかなか行動に移れない、不安だ…という人は当然多いのではないでしょうか。

本書ではその点についても『「思い立ったら即行動」を実践すべき13の理由』というのが挙げられています。詳細は本書に譲りますが、まず最初の一歩を踏み出すための参考までに紹介していきます。

・行動すれば、何がうまくいくかがわかる
・うまくいかないこともわかる
・行動しなければ、何ができて何ができないのかがわからない。
・行動すれば、「それ」が好きかどうかがわかる(「それ」=新たな行為はなんでも)
・「それ」が嫌いかどうかがわかる
・行動は市場の反応を引き出すので、新たな視点を得られる
・行動をおこすうちに協力者が見つかる
・行動を起こすうちに、もっと手早く、安く、上手な方法が見つかる。
・行動を起こせば、残りの人生で「もし~を始めていたらどうなっただろう」と無駄に考えずにすむ
・考えてばかりいたら、人間としての魅力がなくなるかもしれない。
・考えてばかりいても、知識は増えるかもしれないが、具体的なものは何も得られない。
・行動は必ず形になる
・行動すれば、現実がわかる。
p.39~42

いかがでしょうか?これだけ挙げられている中で、自分なりに行動が起こせない理由も明らかになり、潰していくことができるはずです。本書は大学の教科書ということを意識して書かれたのか、非常にわかりやすい内容となっています。

特にウェブサービスのコストが劇的にさがっている現在においてあてはまる起業家の思考様式ではないかと思います。ウェブサービスの世界でいわれている「小さく始めて、大きく育てる」や、「リーン・スタートアップ」などと相性がいい考え方のようでs。起業を志す方はもちろんですが、日常生活にも応用できると思いますので、決断力や意思決定などに興味がある方にはおすすめできる一冊です。

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