書評『東京を変える、日本が変わる』
(舛添 要一/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
序章 東京が変われば日本が変わる――世界都市・東京への熱い思い
第1章 なぜ「東京世界一宣言」なのか――東京を日本変革の起爆剤に
第2章 東京都政への基本姿勢――政治の原点に立ち返る
第3章 限りなく人にやさしい街――社会保障と女性・高齢者・介護
第4章 万全の備えを有する街――防災・危機管理
第5章 世界の人々をおもてなしする街――都市計画とオリンピック・パラリンピック
第6章 エネルギー問題にどう対処するか――原発についての私の考え方
第7章 姉妹友好都市・東京として――東京だからこそできる外交アプローチ
巻末資料 知事就任挨拶全文
著者:舛添要一
 第19代東京都知事。1948年福岡県北九州市生まれ。1971年東京大学法学部政治学科卒業。東京大学法学部助手、パリ大学現代国際関係史研究所客員研究員、ジュネーブ高等国際政治研究所客員研究員、東京大学教養学部政治学助教授などを経て、1989年舛添政治経済研究所を設立。2001年参議院議員(自民党)に初当選し、厚生労働大臣(安倍内閣、福田内閣、麻生内閣)等を歴任。年金問題、薬害C型肝炎問題などの解決に奔走する。2010年~2013年新党改革代表を務める。2014年2月、東京都知事選で211万票を獲得し、都知事に就任。著書に『憲法改正のオモテとウラ』『日本政府のメルトダウン』『よくわかる政治』(以上、講談社)、『孫文』(角川書店)、『厚生労働省戦記』(中央公論新社)、『舛添メモ』(小学館)など多数。

書評レビュー

「世界一の都市」と「2020年五輪」

本書は東京都知事選で圧勝し、都知事に就任した舛添要一氏の書き下ろし政策論。「東京を世界一の都市にする」と語った都知事戦での言葉が有名ですが、では具体的にどのような政策を想定しているのか、その背景とともに語られた一冊です。

舛添氏の経歴を簡単に振り返ると、東大法学部政治学科卒業、東京大学、パリ大学、ジュネーブ高等国際政治研究所などでの教授職を経て2001年に参議院議員、厚生労働大臣などを歴任し、2014年2月東京都知事に就任しています。

このように見ると一貫して「政治」畑を歩いてきた人物です。本書ではそんな政治の専門家でもある舛添氏の政策が具体的に述べられ、また政治理念や思想的背景など自伝的要素も語られていきます。著者は「東京を世界一の都市に」の真意を、次のように説明しています。

「すべての東京都民に、『東京に生まれてよかったな、ここで生活できてよかったな、ここで働いていてよかったな、ここで老後を過ごせてよかったな』と思ってもらえる都市にする」

そしてその政策の柱のひとつとして、「史上最高のオリンピック・パラリンピック実施の環境整備」を挙げています。そこで「成熟国である日本」が表現すべきは、もはや「国威発揚」効果ではないとして、以下のように述べています。

「国内外からの来客にお目にかける『世界一』は、大きさでも量でもない。むしろコンパクトで、クリーンで、スマートな東京を表象するものがいいのではないか。そこに東京ならではの知性と伝統を加えられればと、私自身はそんなコンセプトを思い描いている。それとともに、日本が誇るべき文化や最新の技術が、街のそこかしこに息づく東京を、全世界に向けてアピールしたい。」

そして2020年を見据え、具体的な都市計画にも多く言及されているのですが、一例をご紹介します。

パーク&ライドを取り入れたスマートシティ

ヨーロッパなどの都市で取り入れられている「パーク&ライド」という交通方式があります。これは『郊外から都市周辺までは車で来て駐車し、そこからは地下鉄、バスなどの公共交通機関を利用して移動する』というものです。

著者はこの方式を東京で推進する計画について、以下のように述べています。

「都心への車の流入が抑制できれば車と路線を異にする新しい公共交通機関として、BRT(バス高速輸送システムの利用域を増やし、都民の足としての利便性をさらに高めていきたい。(中略)

パーク&ライドには、郊外と都心を接続するエリアでの駐車スペースの確保など、解決しなければならない問題は多々あるが、長期的スパンでこれを実行していきたい。もしこのようなシステムが、2020年までに構築できれば、五輪の成功に大きく寄与することはまちがいない」

また、ロンドンオリンピックが「エコ五輪」というテーマで大成功を収めたことに触れ、「自転車専用道路」の実現にも触れています。

まとめと感想

いかがでしょうか、政策の賛成反対にはここでは触れませんが、舛添都知事が目指す方向性の一端は感じていただけると思います。本書ではほかにも女性・高齢者・介護などの社会保障問題、防災と危機管理などのテーマで著者の政策指針と具体策が多く挙げられています。

また、著者も述べていますが、2020年(東京オリンピック・パラリンピック)という一つのわかりやすいスケジュールが切られていることでで、実際にさまざまな施策が動き始めるのではないかと感じます。

行政に携わる人間に向けたメッセージも多いですが、施策が直接かかってくる都民の方はもちろん、ビジネス観点(どの分野が行政の「後押し」を受けて伸びるのか)、それを見定めるためにも使える一冊です。

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