書評『ハウスワイフ2.0』
(エミリー・マッチャー/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
はじめに キャリアウーマンから新しい主婦へ
第1章 企業社会で燃えつきた母親を反面教師にする
第2章 会社を選択的に離脱する
第3章 ブログで主張する
第4章 編んで稼ぐ―起業家への道
第5章 オーガニックである
第6章 自給自足する
第7章 多様である
第8章 ハウスワイフ2.0の四条件
著者:エミリー マッチャー
ノースカロライナ州チャペルヒル出身。ハーバード大学卒業。不況で就職が厳しかったため、地元へ戻りノースカロライナ大学の疫学研究室へ就職するが、やがて離職。同世代の若い女性たちがエリート職を捨てて、次々と主婦になる現象に注目して、『ハウスワイフ2.0』を発表。ニューヨーク・タイムズ紙、ニューヨーカー誌が絶賛すると全米のメディアで議論が起こる。著者自身も、ノースカロライナの田舎で夫とともに手作りライフを楽しむ「ハウスワイフ2.0」である。

書評レビュー

「女性の社会進出」とは異なる潮流が生まれ始めている

本書は、ハーバード大学を卒業しながら企業を離れ、専業主婦として暮らすエミリー・マッチャー氏が、同世代の若い女性たちがエリート職を捨てて次々と主婦になるトレンドに注目した一冊。

昨今、日本国内のみならず欧米をはじめとした各先進国において、「女性の社会進出」の促進は大きなテーマとして取り上げられてきました。なかでも米国では、FacebookのCOOであるシェリル・サンドバーグ氏が記憶に新しいほか、IBMやGMなどの伝統的な大企業でも初めての女性CEOが誕生するなど、本テーマについて他国を牽引する存在であるといえます。

その一方で、同国には、このような潮流とは異なる状況が同時多発的に生まれているといいます。すなわち、著者を始めとして、ハーバードやエール大学などの一流大学を卒業し、投資銀行、広告代理店、官庁などのエリート職に着きながら、それらを捨て続々と主婦になる若い世代がいるというのです。

「ハウスワイフ2.0」とは何か

本書では、この新たな潮流のことを「ハウスワイフ2.0」と呼んでおり、これを “これまでの主婦とはまったく違う、新しい「主婦の形」”としています。具体的には、何が新しいのでしょうか。「ハウスワイフ2.0」には、以下のような特長があると述べられています。

・会社を選択的に離脱する
・企業社会で燃え尽きた母親の世代を反面教師にする
・田舎生活を楽しみ、ジャムをつくり、編み物をする
・ストレスのある高報酬より、ほっとできる暮らしをする
・ウェブ、SNSを使いワークシェアを利用する
・ブログで発信し、起業する
・家事を夫と分担し余裕をもった子育てをする

この中の1つをピックアップしますと、彼女達はインターネットを駆使し、ブログで人々と繋がり、サイドビジネスを行っているという点がかつての専業主婦との大きな違いとしています。

現在、米国では多くの専業主婦がブログにはまっており、主婦ブログにはファッションカタログのような「素敵な家庭生活」が公開されているといいます。

かつては、地元の編み物サークル等の場に集まって雑談をしていたように、現代の主婦はブログを通じてコミュニケーションをとることで、精神的に支え合っているのです。そしてまた、主婦ブログは大きなビジネスチャンスにもなっており、大人気の主婦ブログには大勢のファンがいて、大金を稼いでいるとのことです。

洗濯機が壊れ、修理が来ないことをネットでつぶやき、それが次々と反響を呼び、メーカーの重役が謝罪する騒動まで発生したこともあるそうで、かつて何もできずにいた主婦たちは、いまやキーボードひとつで会社の重役よりも影響力を持つようになったとしています。

まとめと感想

本書では、現在の米国において発生している「ハウスワイフ2.0」という新たな潮流について、具体的な事例を用いながら詳細な分析が行われています。

そこでは、完全な自給自足を実現した主婦のケースや、一方で自身には合わないと社会復帰を果たした主婦のケースにも触れられており、決してこの状況について賛美するだけでなく、事実を冷静に、時に懐疑的に検証している点が特長となっています。

日本国内においても専業主婦を希望する学生が増加しているといいます。また、著者はこの現象は女性だけでなく、男性にも該当するものであり、実際に米国には相当数存在していると述べます。今後、この現象が日本においても一つの大きな潮流となるかもしれません。ぜひ手に取ってみてください。

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