書評『人口が減り、教育レベルが落ち、仕事がなくなる日本』
(山田順/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
どんなビジネスも人口減に勝てない
日本・中国・韓国、ともに衰退する未来図
超高齢社会到来、老人しかいない街
老人の街でやる2020年東京五輪
あなたの街がデトロイトになる日
ものづくり国家・ニッポンの崩壊
「2020年、日本車消滅」という衝撃未来
仕事を機械に奪われ、失業者が増える
英語ができないだけで貧乏暮らし
さよならニッポン、続々出ていく富裕層
巨大債務があるかぎり給料は上がらない
増税で締め上げられ監視される市民生活
ポルトガルと同じ運命をたどるのか?
著者:山田順
1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年『光文社ペーパーバックス』を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースも手掛ける

書評レビュー

「悲観論」から日本を考える

本書は、長年メディア業界に身を置いていた著者による、人口減少、経済衰退、財政破綻といった「日本悲観論」の観点から日本の将来を考察した一冊です。著者は、雑誌編集者として30年以上もメディア業界に身を置いてきた方ですが、近年では「日本悲観論」の立場から様々な情報の発信を行っており、日本通貨である円の消滅や反アベノミクスなどに関する著書も執筆しています。

本書も、そんな「日本悲観論」の立場から著者が発行するメルマガ(「未来地図」)を元に書き下ろされた一冊で、「人口減少」と「教育レベルの低下」を大きなテーマとして、日本の将来を予測している点がポイントとなっています。

世界的な経済誌であるイギリスの「エコノミスト」誌において、日本の将来に関するとても悲観的な内容が掲載されました。

それは、2050年には、「日本は世界史上未踏の超高齢社会」となり、そして、日本のGDPの世界経済に占める割合は5.8%から1.9%にまで減少してしまうことで、世界における日本のプレゼンスは大きく低下する、というものでした。

もちろん、こちらはあくまでも一予測にすぎないのですが、1962年に発刊された同誌において日本経済の隆盛が予測され、その予測通りに日本経済は発展を遂げた事実もあることから、この内容を完全に無視するわけにはいかないのではないでしょうか。

人口減少が日本経済に与える影響

「エコノミスト」でも述べられているように、日本の将来、ひいては経済に大きな影響を与える要因として、やはり人口の減少は外せないようです。

シンガポールの建国の父とよばれ、世界的に著名な政治家であるリー・クアンユー氏も自身の著書で、「人口統計は人々の運命を左右する」とした上で、日本の将来について悲観的な見解を述べています。

『(リー・クアンユー氏の日本の将来に対する)見解は、ひと言でいうと、全く悲観的だ。リー氏は、日本経済の長期低迷の最大要因として「人口急減」を挙げ、移民受け入れ政策を取ろうとしない日本の将来に、「わたしは極めて悲観的だ」と結論付けているからだ。』

このように世界的な政治家からも指摘を受けている日本の人口減少ですが、首都圏の人口は2015年ごろを減少に向かい、日本全体では、2050年に人口が現在の約1.2億人から約8千万人にまで減少してしまうと予測されています。

著者は、このような状況を鑑み、簡潔に『いずれにしても、どんなビジネスも人口減には勝てない。集客力は落ちていくだけである。』と述べています。

本書では、特に鉄道会社、デパート・百貨店、外食産業などに言及して、今後のビジネス環境が厳しくなることが予測されていますが、その他の業界についても同様の課題として認識しなければならないと言えそうです。

まとめと感想

本書ではほかにも、超高齢社会の弊害、財政破綻、日本が誇る製造業の衰退など、現在の日本が抱える問題について著者の見解が述べられているのですが、「日本悲観論」に立つ著者だけにどれも厳しいものばかりです。

もっとも、著者もただ単に「日本悲観論」を唱えているのではなく、自分と国家を運命共同体と考えるよりも「日本がどうなろうと、自分は自分」という考え方で行動してほしい、という想いが、考え方の根底のあるようです。

「日本悲観論」の思想的な賛成/反対は別として、日本や自身が携わるビジネスの将来を考える上で、このような厳しい見方もインプットし、視野を広げるためには有用な一冊だと思います。

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