- 著者プロフィール
【CHAPTER 1】「アフリカ」のツボが、さっぱりわからない日本人のためにJICAの宍戸健一さんに聞きました。これだけ押さえておこう! 9つのポイント
【CHAPTER 2】日本が解く! アフリカの課題≪その1≫物流インフラの整備
【CHAPTER 3】日本が解く! アフリカの課題≪その2≫主食の自給自足
【CHAPTER 4】日本が解く! アフリカの課題≪その3≫地熱発電で電力の普及を
【CHAPTER 5】日本が解く! アフリカの課題≪その4≫商売の前に「市場の創造」
【CHAPTER 6】アフリカに好かれている日本だから援助もビジネスも、もっと〔JICA田中明彦理事長〕
【AFTERWORDS】とりあえず、アフリカに行ってみませんか?
ジャーナリスト・東京工業大学リベラルアーツセンター教授。1950年、長野県松本市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。地方記者から社会部、科学・文化部記者を経て、報道局記者主幹に。94年4月より11年間「週刊こどもニュース」の「お父さん」役として、子供から大人までが理解できるように、さまざまなニュースをわかりやすく解説、人気を博す。2005年3月、NHKを退局、以後フリージャーナリストとして、テレビ、新聞、雑誌、書籍など幅広いメディアで活躍中。2012年2月から東京工業大学リベラルアーツセンター教授に就任、理系の大学生に「教養」を教える。
書評レビュー
本書は「池上彰」氏が、アフリカにおける日本のビジネスチャンスを様々な観点から解説した一冊。池上氏といえば、TVや書籍で引っ張りだこの「池上彰の~」シリーズで有名ですが、その特徴は、やはり「物事の本質」を「分かりやすく」紹介する、という点ではないでしょうか。
本書でも、どこか縁遠く、とっつきにくいアフリカビジネスを身近に感じさせるために、アフリカビジネスのホットトピックスを分かりやすく解説しています。
アフリカの特徴~なぜアフリカを身近に感じられないのか~
最近になって、アフリカでのビジネスチャンスを紹介するメディアを見かけることが多くなってきました。けれど著者は以下の理由で、まだまだ日本人はアフリカを身近に感じることができていないと述べています。
多様な民族、多様な文化が災いして、宗教間や民族間の対立が起きやすい。(中略)大きすぎるがゆえにイメージをつかみにくい。遠すぎるがゆえに、渡航した人の数も限られ、親近感を持ちにくい。』
例えば、アフリカの大きさでいうと、北は日本の茨城、南はなんとオーストラリアのシドニーと同じ緯度というのですから、そのスケールの大きさには驚かされます。
また多様性の観点からいうと、なんとアフリカ大陸だけで、54か国がひしめいています。
私たちは、一言で「アフリカ」とくくってしまいがちですが、これだけ大きさと多様性をもった地域なのです。
アフリカビジネスを語る上で重要な「9つのポイント」
本書ではアフリカが、豊富な資源と10億人規模の市場をもち、日本企業にとって大きなビジネスチャンスの場であることが語られています。
また日本は、ヨーロッパやアメリカと異なり、アフリカに対して奴隷制度や植民地制度をとっていなかったため、現地からネガティブな感情を受けることなくアフリカビジネスに参入できると解説しています。
やはり、ヨーロッパやアメリカに対して、現地の方々は複雑な感情をいただいているようです。
そんなアフリカでビジネスを行う上で、著者が解説する重要な「9つのポイント」はこちらです。
①援助より投資
②政治安定で資源大陸に変身
③中国は要チェック
④日本の知恵は大人気
⑤10億人を手つかずのマーケットと、とらえろ
⑥地熱発電など日本の強みを生かせ
⑦アフリカ開発会議に着目しよう
⑧物流インフラがカギ
⑨学校教育がアフリカの未来を創る
詳細な説明は本書にゆずりますが、例えば、「①援助より投資」がポイントである理由を本書ではこう解説しています。
そしてこの経済成長の理由として「②政治安定で資源大陸に変身」で、豊富にあった地下資源の採掘と開発が急激に進んだことが解説されいます。
まとめと感想
タイトル通り、アフリカの現状と課題、ビジネスチャンスが、難解な言葉を使わずにわかりやすく解説された本書ですが、だからといって内容が薄いというわけではありません。
上記の他にも、アフリカ投資に熱心な中国の現状をその功罪の観点から解説したり、アフリカビジネスを行う上で乗り越えなければならない「4つの課題」などが紹介されています。
池上流の現地の関係者へのインタビューや取材が中心となっており、読み物としても読みごたえのある一冊だと思います。
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