- 著者プロフィール
第1章 思考は現実化しようとする衝動を秘めている―成功のための基本的な考え方
第2章 願望の設定は、あらゆるものの達成の出発点である―成功のための第一のステップ
第3章 信念は願望実現の原動力である―成功のための第二のステップ
第4章 深層自己説得を活用する―成功のための第三のステップ
第5章 個人的経験と観察力を高める―成功のための第四のステップ
第6章 脳の中に浮かぶ森羅万象の世界を活用せよ―成功のための第五のステップ
第7章 体系的な行動計画を立てる―成功のための第六のステップ
第8章 速やかに決断せよ―成功のための第七のステップ
1908年、駆け出しの雑誌記者時代に、アンドリュー・カーネギーと出会う。カーネギーの要請で万人が活用できる成功の秘訣の体系化に着手。カーネギーの尽力もあり、著名な500名以上の各界成功者が共同作業に携わる。20年後の1928年、初期プログラム完成。
そして実践の場での有効性を調査し、再び検討を重ねて52年後の1960年に、遂にPMAプログラムを完成(80年後の1988年に新版完成。日本語版はこの新版による)。この間、ウッドロー・ウィルソン大統領の広報担当補佐官、フランクリン・ルーズベルト大統領の顧問官を務める。
また、講演家としても活躍。大富豪の一人としても、その名を残している。ナポレオン・ヒル財団設立後、1970年87歳で没。
書評レビュー
全世界で1億部以上読まれる自己啓発の古典中の古典
本書は、全世界で1億部以上という販売実績があるという自己啓発の古典的な一冊が文庫化された一冊です。近年の成功哲学ブームの元祖ともいえる、古典中の古典で、ナポレオン・ヒルが、実業家として「アメリカの鉄鋼王」とよばれ成功を収めた、「アンドリュー・カーネギー」からの要請により「成功哲学」の原理原則をまとめたものです。
本書を完成させるにあたり、著者は、カーネギーがこれはと見込んだ成功者500人に対してインタビューを行いました。
特徴的なのは、20年間に渡りそれらの人物を追跡調査していったことです。その中にはのちに自動車の大量生産で世界を席巻するヘンリー・フォードや、J・P・モルガンなども含まれています。
その結果、筆者は、成功者の「成功過程」や「意思決定」を最も分析した一人となりました。それらの成功者に共通する「考え方」や「行動」のエッセンスを抽出した1冊であり、参考にならないはずがありません。
ではそもそも「成功」とは何でしょうか?本書においては、まず「成功の定義」が次のように説かれています。
ここでいう「黄金律」とは、「自分がしてほしいと思うこと」は「まず人にしてあげる」というものです。反社会的な願望は当然歓迎されるものではないですが、そもそもそれは「成功」ではないといっているのです。
「紙に書く」ことの効用
そして、その目標(願望)を実現するための6か条を挙げています。端的にいえば「目標を明確に決め、期限を設定し、計画を立てて実行する」というものですが、たとえば特に興味深いものに、次のような項目が挙げられています。
これは成功者が共通して「明確な目標を設定してそれを紙に書き出していたこと」から来ていますが、目標設定の重要性と、それを実行するためにモチベーションをどう維持するかを端的に示されていると思います。
これは昨今のビジネス書でも奨励されている方法です。80年以上前にすでに同様のことが述べられているのを見ると、本書の内容は、色あせない本質をついたものであることが分かります。
また、「実現したいと望むものを得るために、あなたはその代わりになにを”差し出す”のかを決めること」という一説も、共感できる主張だと思います。多くの経営者が語る、「やらないことを決める」という経営戦略の基本とも共通する考え方ではないでしょうか。
まとめと感想
本書ではその他にも、「リーダーになるための11の条件」や「リーダーが失敗する10の原因」など、成功を願う方や組織を率いる方にとっても示唆に富んだ内容が数多く収められております。
「目標設定をしたいけれど、なかなかうまく設定できない方」や「目標を設定したものの、それをどう実行していいかわからない方」に特にお薦めの一冊です。
『道は開ける』『7つの習慣』『「原因」と「結果」の法則』などと並んで、自己啓発の古典的名著として知られる一冊ですので、「自己啓発」というジャンルに苦手意識がある方もぜひこの機会に手にとってみて下さい。
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