- 著者プロフィール
第2章 近代日本から未来を知る
第3章 世界観を広げる読書
第4章 新しい時代の価値観に触れる本
第5章 「災害」と「地方」から現代ニッポンを考える
第6章 人間の能力を引き出すインテリジェンス
第7章 官僚の速読術
元内閣府参事官補佐。1976年静岡県掛川市生まれ。京都大学総合人間学部卒業後、2001年内閣府入り。ニート対策を内容とする「子ども・若者育成支援推進法」の制定などに携わる。
年間300冊ほど読むフォトリーダー。英国ケンブリッジ大学経営学修士(MBA)。NPO法人プロジェクトK(新しい霞ヶ関を創る若手の会)スタッフ。日本心理カウンセラー協会正会員。
NHKスペシャル『日本新生 生み出せ! “危機の時代”のリーダー』、フジテレビ『新報道2001』などに出演。
主な著書は『官僚に学ぶ仕事術』(マイナビ)『キャリア官僚の交渉術』(アスコム)など。2011年8月より岩手県陸前高田市副市長。
書評レビュー
キャリア官僚が語る読書術と必読書籍
本書は、元内閣府参事官補佐である著者が、世界に伍すための教養を磨くための読書のコツや、ひとつの法案を作るのに100冊以上の関連書籍を読まなければならない中で習得した速読術、そして100冊以上の推薦書籍など、キャリア官僚の著者ならではの「読書術」を解説した一冊。
国家公務員採用I~Ⅲ種試験(現在の総合職・一般職試験)を受けて、I種試験(総合職試験)をパスして採用された約600人が、いわゆるキャリア官僚と呼ばれます。
このキャリア官僚出身である著者は、「キャリア官僚なのにそんなことも知らないのか」と馬鹿にされたくない一心で、当時年間平均で300冊の本をガムシャラに読んできたといいます。
本書では、著者が実際に役立ったという書籍を厳選して紹介しています。また、著者はフォトリーディングという速読術をマスターしており、本書ではその読書術についても説明がなされています。
なぜ官僚は歴史ものを読むのか
本書では、著者が調べた官僚の愛読書というものも挙げられていますが、城山三郎、司馬遼太郎などの「歴史もの」「衰亡もの」が高位にランクインしています。
なぜでしょうか?著者もはじめはあまり「歴史もの」を好んで読んでいなかったいいますが、歴史を深く学びたいと思うようになったきっかけを次のように語っています。
ここで著者は歴史の周期説を紹介し、歴史を学ぶことは単に「うんちく」が増えるだけでなく、現実に応用が可能であると語っています。納得感がある考え方ではないでしょうか。
「多読」すべきか「精読」すべきか
日々業務上大量の資料(本を含む)を読み、さらにプライベートでも本を読み漁っていた著者は、どのような速読術と、本の選び方をしていたのでしょうか?
著者ははじめに、「多読」か「精読」か、という問題を取り上げています。これは人によりさまざまな主張や立ち位置があると思いますが、著者がお勧めしているのは、「多読」と「精読」を組み合わせる方法です。
多読により精読すべき本をスクリーニングするとも言い換えることができますが、著者は具体的には次の3種類に本を分類しているといいます。
B:つまみ食いすべき本(気になったところだけ読む)
C:読まない本(「はじめに」と目次だけ読んでおわりとする)
そのスクリーニング規準は次のようなものです。
「はじめに」、と「目次」は出版社や著者が最大のエネルギーを注いている部分なので(「はじめに」を立ち読みする読者が多いため)、ここで著者がメリットを提示できているかどうかが重要な判断軸としているのです。
本書ではほかにも上記Bのつまみ食い読書の方法、そしてAの頭に残りやすい「精読」をする方法が述べられています。
まとめと感想
本書では、「近代日本から未来を知る」「新たな時代の価値観に触れる」「災害と地方から現代ニッポンを考える」など、様々なテーマについて、推薦書籍とそのテーマについての考察がなされていますが、それを可能にしているのが著者の豊富な読書歴であることが明確に伝わって来ます。
読書家の方々にとってはもちろん、日々の業務においてより効果的な情報のインプットを求めるビジネスパーソンの方々にとっても、参考になる内容だと思います。ぜひ手に取ってみて下さい。
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