書評『内向型人間のための伝える技術』
(望月実/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
第1章 内向型人間のコミュニケーション戦略
第2章 仕事を効率よく進めるコミュニケーション術
第3章 ロジカルシンキング
第4章 情報を整理して伝達力を高める
第5章 話が苦手な人のための話し方トレーニング
第6章 相手目線で企画力を鍛える
第7章 自分に合ったコミュニティを作りあげる
付録 コミュニケーションに役立つ10冊のお勧め本
著者:望月 実
1972年愛知県名古屋市生まれ。立教大学卒業後、大手監査法人に入社。監査、株式公開業務、会計コンサルティング等を担当。2002年独立、望月公認会計士事務所を設立。「他者との比較・競争にとらわれず、自身の分析・革新から強みやアイデアを引き出す生き方、働き方」を標榜。誠実さと効率が同時に求められる時代を分析し、「数字センス」と「伝える技術」を融合したビジネスコミュニケーションスキルをライフワークとして教えている。ビジネスパーソンや就活生が現場ですぐに応用できる内容とわかりやすい解説には定評があり、バランスの取れたプロフェッショナルの育成に貢献。
著書に『数字とストーリーでわかるあの会社のビジョンと戦略 ビジネスモデル分析術』『最小の努力で概略をつかむ! IFRS決算書読解術』『最小限の数字でビジネスを見抜く 決算書分析術』『有価証券報告書を使った 決算書速読術』『内定をもらえる人の会社研究術』『就活の新常識! 学生のうちに知っておきたい会計』(以上共著、阪急コミュニケーションズ)、『いいことが起こり続ける数字の習慣』(総合法令出版)、『「数字」は語る』(日本経済新聞出版社)、『問題は「数字センス」で8割解決する』(技術評論社)、『部下には数字で指示を出せ』『課長の会計力』『数字がダメな人用 会計のトリセツ』『会計を使って経済ニュースの謎を解く』(以上日本実業出版社)がある。

書評レビュー

“内向型人間”でも伝えたいことが伝えられる技法

本書は、内気、心配性、精神的に疲れやすいなどの特徴を持つ「内向型人間」が、どのようにコミュニケーションをとれば「伝えたいことが伝わる」のか、その具体的なスキルを解説した一冊。

著者はわかりやすい会計解説書の著者でもあり、「数字センス」と「伝える技術」を融合したビジネスコミュニケーションスキルを教える現役公認会計士の望月実氏。会計士に求められている能力は、著者によれば「自分の考えていることを短い時間で正確に伝える」技術です。

著者自身が「内向型」であったことから、人一倍コミュニケーションについては試行錯誤を繰り返し、そうして到達したノウハウが解説された一冊になっています。

内向型人間の特徴

では、「内向型人間」とはどのような特徴をもつのでしょうか、本書ではこのように述べられています。

「内向型人間は外向型人間よりも多くの情報を受け取ってしまうため、情報過多となり頭の中が混乱し、不安を感じやすいのです」

つまり外部環境から多くの刺激(情報)を受け取るため、結果として初対面の人との会話が苦手であったり、仕事でも細かい点が気になるなど、必要以上にエネルギーを消耗しやすいということです。

一方でそれは強みでもあり、以下のように書かれています。

「外向型人間よりも多くの情報を受け取れるということは、外向型人間よりも深く考える材料を手に入れることができるということです。その材料をうまく整理して自分の考えを的確に言語化する能力を身に着ければ、外向型人間に負けないパフォーマンスを発揮することができるのです。」

本書ではこの情報を整理して伝える能力を、以下のようにシンプルに分解しています。

コミュニケーションの満足度=相手が必要としている情報×相手が受け取りやすい形

この方程式をもとに本書では聞く力、相手目線、ロジカルシンキング、パラグラフ・ライティングなどの基本がそのトレーニング方法とともに説明されています。

ロジカルシンキングの本質

具体的な手法やトレーニング方法は本書に譲りますが、この書評では「ロジカルシンキング」に関して書かれていた印象的な内容を紹介します。

著者は前述の会計解説書を出版するにあたり、さまざまな出版社に原稿を持ち込み、この本が「入門書」や「専門書」ではなく、類書があまりない「中級者向け=仕事で実際に使えるレベル」の本なので売れる、ということをロジカルに説明して回ったそうです。

しかし出版社からは「内容が中途半端」「そもそも中級者向けのマーケットは存在しない」などの理由で相手にされなかったそうです。

その後運よく出版にこぎつけ、売上が好調になり、それらの解説書が売れた理由をさきほどのロジックで答えると、「ロジカルな戦略ですね」と評価されたといいます。

著者はこれこそがロジカルシンキングの本質であるとして、次のように語っています。

「相手の説明をロジカルに感じるのは『自分が知りたいと思っている情報をわかりやすく説明された時だけ』です。(中略)同じように話をしても、相手の見方によって『机上の空論』にも『ロジカル』にもなる、というのがロジカルシンキングの本質だと感じました」

まとめと感想

本書ではほかにも「外向型人間との付き合い方」から「相手目線の企画の作り方」「話し方自体のトレーニング」など、コミュニケーションの基本が丁寧に解説されています。

そのため、「内向型人間のための」と銘打たれた一冊ですが、内向型/外向型問わず使える内容だと思います。特に社内での仕事を効率よく進めるコミュニケーションへの言及も多いので、若手ビジネスパーソンやコミュニケーションに苦手意識を持つ方にお薦めできる一冊です。

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