- 著者プロフィール
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1865‐1929。アメリカの画家・教師。20世紀初頭、都市のリアルな現実を描くムーブメントを創りだした“ジ・エイト”のメンバーとして活躍。美術学校の教師としての名声も高く、教え子にエドワード・ホッパー、マン・レイなどがいた。1923年、講義や書簡をまとめた『アート・スピリット』を刊行。以後、若き芸術家のバイブルとして、現在も版を重ねている
書評レビュー
「ロバート・ヘンライ」の芸術論と自己啓発的思考法
本書は20世紀初頭に活躍した前衛的芸術家「ロバート・ヘンライ」の芸術論と、新しいものごとを創造するための思考法をまとめた一冊。本書はTwitterの創業者で、Squre創業者でもある起業家ジャック・ドーシーが傾倒する本としても注目を浴びました。(参考:ハフィントン・ポスト「自分が見たいものを世の中に生み出せ」)
ヘンライは、20世紀初頭に活躍した画家であり、反アカデミズムの観点から前衛的な活動を行っていたことで有名な人物です。また、画家としての活動の傍ら教壇に立ち、何人もの高名な画家を育て上げたことでも知られています。
本書は、そんなヘンライの芸術論をヘンライのメモや覚書を元にまとめたものなのですが、単に芸術論のみを紹介しているものではありません。
前衛的芸術家として挑戦し続けたヘンライの芸術にかける情熱やアーティストとして世の中に新しい価値を問うための自己啓発的思考法が、ヘンライ自身のアツい言葉で紹介されている一冊になっています。
芸術論に関する著書ながら、その内容にはビジネスパーソンにも参考になる内容が多数紹介されています。
「ロバート・ヘンライ」の言葉
今回は、ヘンライが教鞭をとっていた大学の講義において、学生に向けた言葉のうち、特に印象に残った言葉を紹介します。
『すべての芸術における偉大な巨匠たちは、半分だけの人間だけではなく、丸ごとの人間である。人間のあらゆる方面において、驚くほどの充足ぶりを示し、自分自身と興味の対象には人間味あふれた熱い情熱を注ぐ。』
『しなければならないのは、一人ひとりの人間が目を覚ますことである。自分が一人の人間であることに気づくこと、自分自身の欲求を見出すことである。
周囲を見渡し、あらゆる原典から学び、自分の内面を見つめ、そしてできるならば、自己表現のための手段を自分自身のために発見すること。
まず、既存の世界から一歩を踏みだし、自分の視野の狭さを思い知ること。そうすれば、より多くのものが見つかるだろう。じっと固まっていないで、もっと動き回ろう。自分の欲するものに情熱を傾けよう。』
このように、ヘンライの芸術家としての情熱は、我々ビジネスパーソンから見ても示唆に富み、ビジネスシーンにおいて活かすことができるものばかりです。
まとめと感想
著者は、20世紀初頭に前衛的な活動をしていただけに、当時はさまざまな新しい試みに挑戦し、時には様々な困難にぶつかることも多かったのではないでしょうか。
本書は芸術論に関するバイブルとして長年に渡り愛されてきた一冊ですが、そんな著者の、新しいことに挑戦する姿勢や困難に立ち向かう際の思考やスタンスは、ビジネスシーンにおいても非常に参考になると感じました。
また冒頭でも紹介したように、Twitter創業者のジャックドーシーはシリコンバレーでもカリスマ的影響力がありますが、スティーブ・ジョブス同様、プロダクトのデザインに対するこだわりが強く「一流の戦略家であり、一流のデザイナーであり、一流のテクノロジスト」とも評されます。
芸術やアート・デザインという新しい切り口からビジネスを見てみることは、ビジネスパーソンとしての視野を広げる機会にもなると思いますので、ぜひ一度手に取ってみてください。
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