書評『一流の決断力 伝説のディール・メーカーが教える「粘る力」と「割り切る力」』
(植田 兼司/著)

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目次:
1章 決断の流儀
2章 「逆張りの哲学」で勝ち切る
3章 負けを克服し、逆転につなげる道
4章 感受性とストレス耐性を磨く
5章 異質の人を大切に
6章 変われるものだけが生き残る
著者:植田 兼司
いわかぜキャピタル株式会社。代表取締役CEO。1952年生まれ。
1974年に関西学院大学経済学部を首席で卒業し、同年東京海上火災保険(現東京海上日動火災保険)に入社。以降25年間、国内外の資産運用業務に携わる。
1987年には、同社における当時の最年少課長に抜擢される。その後、グローバル運用のヘッドとして約7,000億円のポートフォリオを運用。
1999年より「ハゲタカ」として名をはせた米系投資ファンドのリップルウッド・ジャパンに移り、8年間に渡ってマネージング・ディレクター、代表取締役として数々のM&A案件を手掛ける。
2008年に、いわかぜキャピタルを設立し現在に至る。東洋大学経済学部講師、法政大学大学院講師を歴任。
著書に『企業買収 Q&A』(共著、1987年・六法出版社)、『21世紀・日本の金融産業革命』(共著、1999年・東洋経済新報社)など。
日本証券アナリスト協会検定会員。広東省増城市開発区特別顧問。

書評レビュー

一流のビジネスパーソンがもつ決断力とは?

本書はライフネット生命の岩瀬大輔氏が「伝説の上司」と呼ぶ人物による、リーダーに必要な「決断思考」の身につけ方を紹介した一冊です。著者である植田氏は、ハイパフォーマンスをあげることで有名な米投資系ファンド「リップル・ウッド」の日本法人代表を務め、その後、自身でプライベート・エクイティファンド「いわかぜキャピタル」を立ちあげた人物です。

また、若手リーダーとして有名なライフネット生命の岩瀬大輔氏が、自身の著書「入社1年目の教科書」で「伝説の上司」と呼んでいたのは、この植田氏なのです。

著者は、主に「投資」というフィールドで長年活躍してきた人物ですが、特にM&Aのディールなどでは、買収金額を含む、タフな交渉を数多く経験してきました。

そのような、常に短時間で的確な決断を下さなければならないという厳しい状況で求められたものこそが「決断思考」なのです。

著者は、職業柄、多くの若手経営者、リーダー、マネジメントクラスと話す機会が多いそうなのですが、「決断」することを苦手とするビジネスパーソンが多いとのこと。

また、同時に、ますます競争が熾烈になるグローバルマーケットにおいて、若手リーダーの育成が急務であるとも感じたのでしょう。

そこで、著者は、自身が身につけてきた「決断思考」のエッセンスを「決断の流儀」として紹介することを決めたそうです。今回は、この「決断の流儀」から印象的だったものをご紹介します。

AかBか悩み抜いての決断であれば、どちらでも正しい

ビジネスシーンにおいて、何か決断を下す際、「どちらを選択すべきだろうか」、「どちらの選択が正しいのだろうか」と悩むことが多いのでないでしょうか。

決断を下す前もそうですが、決断を下した後も悶々としてしまった経験をお持ちの方も多数いらっしゃるのではないかと思います。

そうなると、どんどん考えすぎて、出口のない思考のスパイラルに入り込み、貴重な時間を無駄にしてしまうことに繋がりかねません。

これに対して著者は、決断を下す前に熟考をしたならば、その決断はいずれにおいても正しいものだと述べています。

『リーダーに求められることは、あらゆる選択肢を悩んで悩みぬくことです。そうすれば、最後に何を選んでも間違いではなく、これでよかったのかとそれ以上悩む必要はまったくありません。

そして、「こちらを選んで当然」と、すっと選択したときにミスが起こることを肝に銘じていてほしいのです。例え簡単な選択に見えるときであっても、本当にそれでよいかと深く自問自答してください。』

本書のサブタイトルには「粘る力」と「割り切る技術」とありますが、今回ご紹介したものは、この「割り切る技術」の一例と言えるでしょう。

まとめと感想

本書には、的確な決断をするための思考法の他にも、外資系投資ファンド時代のエピソードを交えながら、ビジネスの第一線で活躍してきた著者の仕事術・ビジネスマインドも多数紹介されています。

そのため、著者が述べているように、本書は、特に、これからのビジネスシーンを担っていく若手経営者やリーダーにピッタリの内容となっています。

ライフネット生命の岩瀬氏が植田氏の薫陶を受けたのは20代とのことですが、いまだに岩瀬氏はその時の著者の言葉をしっかりと覚えているそうです。

本書では、この岩瀬氏が感銘を受けた植田氏の教えのエッセンスがしっかりとまとめられていますので、ぜひ手に取ってみてください。

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