- 著者プロフィール
Chapter2 「大人の殻」を脱ぎ捨てる
Chapter3 「あたりまえ」を挑発する
Chapter4 直感力を研ぎ澄ます
Chapter5 自分の信念に従う
Chapter6 スピーディに結果を出す
Chapter7 考えずに動く
Chapter8 やりたいことを夢中でやる
Chapter9 自分らしい自分を表現する
Chapter10 自分のピカソを見つける
画家、企業講演家。アートの創造性とビジネスの論理性を組み合わせた「考えない・とらわれない働き方」を提唱。「グラフティー・アーティスト(Graffiti Artist)」として活動する彼は、講演の際には人々の創造性を刺激するために即興で絵を描き上げ、自分のメッセージを目に見えるかたちで伝えている2012年にTEDに登場、その類を見ないアプローチで話題をさらった。クライアントにはAT&T、ディズニー、マイクロソフト、FedEx、エクソン モービルなどが名を連ねる。ビジネスパーソンが企業で創造性を発揮するためのヒントがちりばめられた本書は、彼の待望の処女作である。南カリフォルニアに、妻と三人の息子とともに住む。
書評レビュー
芸術界の巨匠たちと、ビジネス界の巨人たちの行動哲学は同じ
本書は、マイクロソフトやディズニーをクライアントに持つアーティストのエリック・ウォール氏が、ビジネスパーソンが企業で創造性を発揮するためのヒントを解説した一冊。
著者エリック・ウォール氏は、「とらわれない・考えない(UNthink)働き方」の提唱者であり、2012年に登壇したTEDでは、講演中に即興で絵を描き上げるという類を見ないアプローチで話題を呼んだ人物です。
そんな氏ですが、かつては優秀な会社員でありながら、退屈な日々を繰り返していたといいます。ある時、手を出した株の暴落をきっかけに内省の機会に直面した氏は、絵を描くことに夢中になりました。しかしここでも、アートの世界だけでは限界があることに気づかされることになります。
このような気づきを得た著者は調査研究を続け、「ピカソのような芸術界の巨匠たちの行動哲学は、ジョブスのようなビジネス界の巨人たちの行動哲学と同じだ」という結論に到達したのです。
創造力は誰もが持っている
著者は、「創造力」は詩人や画家などのアーティストだけに恵まれたものではなく、誰もが持っているものであると強調します。
“大人が子どもの心に戻って、創造力の源泉を完全に活用することができたなら、私たちは仕事でも仕事以外のことでも、強力な力を前向きに発揮できます。”
詳細は本書に譲りますが、子ども時代に誰もが持っていたという「創造力」を、大人である私たちがいかに取り戻し、それを生活やビジネスにどのように活用していくのかについて、具体的なアプローチが詳細に描かれています。
その一つとして、ビジネスにおいて創造的な仕事をするために、著者は『「あたりまえ」を挑発する』ことを挙げています。
多くの人は現状のシステムを受け入れ、「問題がなければそのまま続行せよ」が暗黙の了解になっています。
しかし状況とは常に変化するものであり、不測の事態が起こった時のために、成長への障害とチャンスの両方にたえず目を光らせておく「挑発できる社員」でいることが大切だとしています。
まとめと感想
本書の特長は、アートで用いられる「創造力」がより良いビジネスや人生に必要であること、そして本来は誰もが持っている「創造力」をいかに取り戻すかについての実践方法までが解説されている点です。
また、アーティストとは新しい可能性をたえず思い描き、まず自分を奮い立たせ、次に周囲の人にも刺激を与えていく存在であり、それはまさに、ガンジーなどの歴史的なリーダー達にそのまま当てはまるという分析は興味深いものでした。
このことからも、アートとビジネスが決して相反するものでないことがおわかり頂けるのではないでしょうか。
既存のシステムが置き換えられ、時代はより『個』の時代に向かっていると言われています。本書は、私たちひとりひとりが価値を創造する為のカギこそが、アートの感覚であり、それはビジネスだけでなく人生全体をより豊かなものにしてくれる、そんな気づきを与えてくれる一冊となっています。
ビジネスパーソンとしてより創造的な価値を生み出したい方、そして、より自分らしく、刺激的で充実した人生を送りたいという皆さんに、是非読んで頂きたい一冊となっています。
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