- 著者プロフィール
1章 グーグルで知った、挑戦のために大切な「ルール」
2章 多様な価値観がチャレンジ精神を生んだ
3章 米国企業の就職活動で生きたこと
4章 最先端ベンチャーで学んだこと–「常識のワナ」を意識しよう
5章 ITバブル崩壊、35歳のレイオフ–最悪の状況でも、人生は自分でコントロールしよう
6章 最終面接はラリー・ペイジ–「下の中」からでも巻き返せる
7章 モバイルと地図の成功が教えてくれたこと–グローバルこそローカルに考えよう
8章 日本法人幹部に託された”使命”–任せること、人を生かすこと
終章 「正しいこと」をするということ、新しいものを創るということ
1966年、兵庫県生まれ。89年、早稲田大学商学部卒。アパレルメーカーのワールド、リクルート・グループを経て、95年よりフリー。雑誌等の取材記事、書籍などを手がける。著書に、『職業、ブックライター。毎月1冊10万字書く私の方法』(講談社、2013年)『成功者3000人の言葉 人生をひらく99の基本』(飛鳥新社、2013年)『リブセンス(生きる意味)』(日経BP社、2012年)など。
インタビュー集に『プロ論。』シリーズ(B-ing編集部編、徳間書店)『外資系トップの仕事力』シリーズ(ISSコンサルティング編、ダイヤモンド社)ほか多数。
書評レビュー
グーグル日本法人の“顔”と呼ばれる人物の半生
本書は、現在、グーグル日本法人の“顔”と呼ばれている「徳生健太郎」氏の半生を通じて、グーグルのビジョンや社内でのキャリアなど、グーグルの実態に迫った一冊。著者はグーグル日本法人で製品開発本部長を務めています。
徳生氏は、グーグルの収益源であるメインサービス「検索連動型広告」を世界各国に普及させ、当時グーグルで一人しかいなかった「インターナショナル・プロダクトマネージャー」に任命されたことなどから、その功績が認められ、現在グーグル日本法人の“顔”と呼ばれている人物です。
そんな徳生氏ですが、これまで順風満帆な人生を送ってきたわけではありません。氏は日本の大学受験制度への不満から超有名進学高校を中退し渡米。スタンフォード大学院を卒業し、まずシリコンバレーのベンチャー企業にエンジニアとして就職しています。その後、シリコンバレーで転職を経験するのですが、会社の業績不振からレイオフ(解雇)されてしまいます。
そんな苦境の中、徳生氏が出会ったのが、当時全世界の社員を合わせて1,500人にすぎず、日本でもほとんど知名度がなかったグーグルだったのです。
そんなグーグルが徳生氏を惹き付けた理由、それは、グーグルの「挑戦」することに対するスケールの大きさでした。
グーグルで知った、挑戦のために大切な「ルール」
グーグルCEOのラリー・ペイジと言えば、「ムーン・ショット」という言葉をよく口にすることで有名ですが、これは、「アポロ計画の月面着陸のような偉業」を成し遂げることこそがグーグルのミッションである、という社内外へのメッセージに他なりません。
そのため、社内では自然と、「挑戦」し、世の中に付加価値をもたらさないと自分たちの存在意義はない、という雰囲気が作られているとのことです。
そんなグーグルで、徳生氏が学んだ大切なルール、それは、「目標の大きさに萎縮してしまったり、自分のゴール設定に最初から枠をはめるのではなく、大きなスケールで達成すべきことは何なのか、に集中すること」でした。
また、グーグル社内では、日本企業に見られるヒエラルキー型のマネジメントシステムではなく、プロジェクトやアイデアの面白さに人が集まる「インフルエンス(感化)」型のマネジメントシステムが導入されているため、誰もが心地よく、楽しみながら「挑戦」できることも大きな特徴と言えそうです。
まとめと感想
本書では、徳生氏が携わった検索連動型広告プロジェクトやモバイル向けサービス開始の裏側なども紹介されており、その中では、ビジネスパーソンのみなさんにも参考となる、グーグル内での意思決定やマネジメントの様子にも言及されています。
また、グーグルの人事採用の様子が垣間見られる、CEOのラリー・ペイジとの就職面接に関するエピソードは、読み物としても非常に楽しめると思います。
本書は、グーグルで働くことの意味というよりも、イノベーティブに働くことの意味や重要性、そして楽しさに気が付ける、そんな一冊だという印象を受けました、
転職などでキャリアアップを考えている方、イノベーションを起こそうと起業を目指されている方、そして、モチベーション溢れる企業を作りたいというリーダーの皆さんに、是非読んでいただきたい一冊となっています。
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