書評『外資の社長になって初めて知った「会社に頼らない」仕事力』
(岡村 進/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
第1章 これまでのビジネスモデルは破綻している!
第2章 世界から見た日本の現実
第3章 外資の社長はどこを見て人を採用するのか
第4章 世界標準の仕事の常識
第5章 それでも変われない組織とのつき合い方
第6章 さあ、これからあなたはどうする!
著者:岡村 進
1961年生まれ。前UBSグローバル・アセット・マネジメント代表取締役社長。1985年東京大学法学部卒。同年第一生命保険に入社し、20年間勤務。その間に、米国運用子会社DIAM USA社長兼CEOなどを歴任。2005年に、スイス系金融コングロマリットUBSグループの運用部門、UBSグローバル・アセット・マネジメント入社。2008年より日本法人の代表取締役社長を務める。2013年6月に巨額の報酬を自らの判断で投げ捨て退社。現在は大手金融機関、メーカーを中心に企業研修事業を行う。対象は経営層から若手層まで幅広い。若手ビジネス・パースンを対象としたグローバル人材を育てる予備校設立を準備中。

書評レビュー

外資系金融機関の元トップが語る、グローバル人材に必要な「会社に頼らない」仕事力

本書は、外資系金融機関のトップとして活躍し、現在は世界に通用するビジネスパーソンの育成に力を注ぐ著者による、グローバル人材に必要な「仕事術」と「ビジネスマインド」を紹介した一冊です。

著者は、スイスに本拠地があり全世界50拠点でビジネスを展開している、外資系金融機関UBSグループの資産運用部門「UBSグローバル・アセット・マネジメント」のCEOを務めた人物です。

また、それ以前は、20年間にわたり日系生保大手である「第一生命」にも在職していました。つまり、著者は、日系企業と外資系企業の「仕事術」や「ビジネスマインド」の違いを実際に肌で感じていた人物でもあります

そんな著者が本書を執筆するきっかけとなったのは、グローバリゼーションが進みビジネス環境がますます厳しいものになっていく中で、「外資の強さ」と「日本の弱さ」を実感し、日本企業の行く末に危機感を抱いたことだといいます。

『右肩上がりの経済がとうに終わり、もう会社に頼れる時代ではないのだ。(中略)いま必要なものは、過去の因習にとらわれず、(日本の美学でもある)和を乱してでも停滞した現状を変える力だ。それこそが「会社に頼らない」仕事力なのだ。それは、外国企業が、ビジネスパーソンに対して真っ先に求める資質だ。』

本書では、「日本人の弱さ」として、海外から日本のビジネスパーソンがどのように評価を受けているかを明らかにし、実際に外資系金融機関の元トップから見た「外資の強さ」、つまり、外資系ビジネスパーソンの仕事術やビジネスマインドが紹介されています。

世界標準の仕事の常識

企業の人事制度にもグローバルな観点が入ってきている昨今、日本企業においても終身雇用が守られることは、もはや幻想になりつつあります。

また、クロスボーダーが進む現代ビジネスシーンにおいて、日本に職場があろうとも外国人がカウンターパートとなることも多くなりました。

このような状況下において、日本のビジネスパーソンがグローバル人材として活躍するために欠けているものとして、ビジネスの場が真剣勝負だということに本当の意味で気が付いていない点を著者は挙げています。

そして、ビジネスパーソンの個人の価値を表す方程式として、このように述べています。

『個人の市場価値=(スキル)×(経験・実績)×(変革心)×(気合い)』

ここで重要なのは、外資の人材と言うと、「スキル」や「実績」にばかり目を奪われがちでが、グローバル人材として求められる要素の半分が「心構え」にある点です。

『価値ある人材は、周りを巻き込んで、物事を自分の狙った方向に動かしていく。つまり、自分の正しいと信じたことをやり切る精神、「変革心」と「気合い」があってこそ、スキルは生きてくると言えるのだ。』

グローバルなビジネスシーンにおいては、毎日が勝つか負けるかの真剣勝負であり、社内のミーティングであろうとも妥協は許されません。

そのため、「何が何でも勝負に勝つ」という気概こそがマストなのです。

これは、和を重んじ、調整で妥協点を探してしまいがちな日本人ビジネスパーソンが苦手としているポイントと言えるのではないでしょうか。

まとめと感想

他にも本書では、実際のエピソードを交えながら、外資系企業の人材採用の裏側として社長の観点から求める人材像を解説したり、外資系企業への「転職」にあたって求められる心構えなどが紹介されています。

外資系企業経験者による仕事術を紹介した著書は数多く執筆されていますが、そんな中でも本書の特徴は、著者の「アツさ」だと思います。

日本人ビジネスパーソンに対して時には厳しい言葉を投げかけているのも、日本人ビジネスパーソンの可能性を信じているからこそではないでしょうか。本書は、特に、これからの日本のビジネスシーンを支えていく若手から中堅ビジネスパーソンの方に参考となる一冊だと思います。

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