書評『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』
(ムーギー・キム/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
序章 世界のトップエリートに共通する7つの特徴―「業界のエース」は普通のエリートと何が違うか?
第1章 投資銀行のトップエリートに学ぶ「大量の仕事を瞬時に処理しつづける力」「部下の尊敬と支持を得る力」―投資銀行で学んだ仕事の極意
第2章 トップ・コンサルタントに学ぶ「人に好かれる『聞く力』」「問題を把握し構造化する力」「相手の期待値をコントロールする力」―コンサルで学んだ仕事の極意
第3章 資産運用会社のトップエリートに学ぶ「大局を読む力」「常識にとらわれない力」「自分の間違いを認める力」―資産運用会社で学んだ仕事の極意
第4章 プライベート・エクイティのトップエリートに学ぶ「相手の信頼を勝ち取る力」「『最強のチーム』をつくる力」―プライベート・エクイティで学んだ仕事の極意
第5章 エリートたちの恋愛・結婚事情―恋愛・結婚観と職業の不思議な関係!?
第6章 なぜエリートたちには離婚が多いのか?―プライベートの悲劇にも学ぶことはある
スペシャル付録 トップエリートがやっている「今日からマネできる!」12のスキル
著者:ムーギー・キム
グローバル機関投資家
1977年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。インシアード(INSEAD)にてMBA(経営学修士)取得。
大学卒業後、世界最大級の外資系金融機関の投資銀行部門にて、日本企業の上場および資金調達に従事。その後、世界で最も長い歴史を誇る大手グローバル・コンサルティングファームにて企業の戦略立案を担当し、韓国・欧州・北欧・米国ほか、多くの国際的なコンサルティングプロジェクトに参画。2005年より世界最大級の外資系資産運用会社にて、バイサイド・アナリストとして株式調査業務を担当したのち、香港に移住してプライベート・エクイティ投資業務に転身。アジア・太平洋地域での投資業務を歴任後、世界最高水準のビジネススクール、インシアードに留学。中国上海のMBA、CEIBS(中欧国際工商学院)にも交換留学。
インシアード留学中にフランス、香港、シンガポール、上海を拠点に執筆した「グローバルエリートは見た!」(東洋経済オンライン連載人気No.1コラム)は1年でPVが3000万を突破。幅広い層のビジネスパーソンから絶大な支持を得ている。

書評レビュー

グローバルエリートが見た世界トップの働き方

本書は、年間PVが3000万を超える東洋経済オンライン人気No.1コラムに大幅に加筆したもので、投資銀行などで働く「エリートビジネスパーソン」の仕事術や実態を紹介した一冊です。

著者である「ムーギー・キム」氏は、海外を中心に、投資銀行、戦略系コンサルティングファーム、資産運用会社、プライベート・エクイティファンドといった、いわゆる「エリート」(エリートの定義は人それぞれだと思いますが)と呼ばれるビジネスパーソンが所属する企業に勤めた経験をお持ちとのことです。

また、海外から優秀なビジネスパーソンが集まるINSEAD(インシアード)でMBAを取得するなど、グローバルエリートの存在を身近に感じてきた人物でもあります。

本書は、そんな著者が実際に見てきたグローバルエリートの共通項や業種ごとの特徴を、具体的なエピソードを交えながら紹介する、といった内容になっています。

また、ビジネスのエピソードだけではなく、恋愛事情などのプライベートエピソードにもページを割くなど、若干エンタメ色の強い内容であることも本書の特徴となっています。

投資銀行のトップエリートの仕事術 ~部下の尊敬と支持を得る力~

外資系の投資銀行といえば、成果至上主義で、ワンマン上司が部下をアゴで使うというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、実際の投資銀行では、部下の信頼を得られなかったことが自身のキャリアに大きな影響を及ぼすことがあるようです。

例えば、横暴な態度やパワハラを受けた部下は、アサインメント・オフィサー(各プロジェクトに人員配置をする担当者)に集団で訴え、上司のキャリアを追い詰めることもあるとのこと。

それだけに、他の業界にも共通するように、部下や周囲からの支持やサポートが自分自身のキャリアを決めるものになるのです。

著者が実際に見た、上司として部下の使い方がうまい人の共通項はこちらの6つです。

①部下の認知欲を満たして安心させ
②部下の成長を願っていることを言動で示して信頼を勝ち取り
③「役職上の権力」ではなく「人と人との信頼関係」で部下を動かし
④無駄な仕事をつくらず部下の仕事を減らし
⑤部下が失敗したときには盾になって守り
⑥自分の人脈やノウハウを積極的に部下とシェアする(人脈やノウハウを渡すと、いつか部下に抜かれてしまうなどとせこいことは考えない)

部下からの支持や信頼が自分自身の昇進・降格に直接影響するだけに、上司(マネージャー)として求められている要素をしっかりと網羅していると言えるのではないでしょうか。

仕事の話しかできない人は軽く見られる

グローバルエリートともなれば、会食などの社交の場にでなければならないこともしばしば。

その際、出席者に求められているのは、「仕事の話」ではありません。

むしろ、広い分野の知識や教養が意外に重要で、仕事とは関係のない、歴史や美術に対する造詣や趣味の話をいかにウィットに富んで話すことができるかが求められるのです。

グローバルエリートは、まずはプライベートな関係を構築できるかを確認した上で、ビジネスの関係を構築できるかを値踏みしているのです。

つまり、ビジネスの場では、その人の「人間性」が特に重要視されているということでしょう。ロンドンのビジネススクールの教授もこのように述べているようです。

『いまの先進国の教育は職業トレーニングの色彩が強すぎ、人間的な深みが欠如する一因になっている。20代前半まではリベラルアーツの教育課程で哲学や文学を深く学んだ方が自分自身や人間全般への理解も深まり、それがマネジメントの本当の基礎になる。』

ムーギー・キム氏と言えば、様々なメディアにも登場し、時にはお騒がせな言動をするイメージもあります。しかし本書で紹介されている内容は、マネジメントの本質をついた仕事術や良好な人間関係を構築するためのコミュニケーションスキルなど、参考になるものが多数紹介されています。ムーギー節も健在であり、読み物としても楽しめる内容になっています。

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