- 著者プロフィール
第1章 第一の技術―ネガティブ感情の悪循環から脱出する!
第2章 第二の技術―役に立たない「思いこみ」をてなずける
第3章 第三の技術―「やればできる!」という自信を科学的に身につける
第4章 第四の技術―自分の「強み」を活かす
第5章 第5の技術―こころの支えとなる「サポーター」をつくる
第6章 第六の技術―「感謝」のポジティブ感情を高める
第7章 第七の技術―痛い体験から意味を学ぶ
ポジティブサイコロジースクール代表。1972年岐阜県大垣市生まれ。慶應義塾大学卒業後、世界最大の消費材企業P&Gに入社。化粧品事業のマーケティング責任者としてブランド経営の商品開発に国内と海外で携わる。国内初のポジティブ心理学の社会人向けスクールを設立、代表として就任。ポジティブ心理学をビジネスの現場で活かす人材の育成に関わる。専門はレジリエンス。応用ポジティブ心理学準修士課程修了、日本ポジティブ教育協会代表理事、認定ポジティブ心理学コーチ。
書評レビュー
レジリエンスとは何か?
本書は「人材輩出工場」といわれるP&G出身の著者が、ビジネスパーソンとして長いキャリアで成功を収めるためのカギとなる「レジリエンス」について解説した一冊。
著者は、多くのエリートと呼ばれる人達と関わってくる中で、彼らにはたくましいエリートと脆いエリートの二種類が存在すると気づきました。継続的に成果をあげることで成功を収める人がいる一方、仕事を任せると精神的な脆さを見せる人がおり、彼らはキャリアのどこかで挫折してしまうといいます。
そして、その差は「レジリエンス」の違いであると述べています。レジリエンスとは何かというと、著者は「失敗を怖れて行動回避する癖を直し、失敗をして落ち込んだ気持ちから抜け出し、そこから目標に向かって前に進むことのできる力」であるとしています。
著者は、レジリエンスは鍛えることができるとし、本書ではその具体的な7つの技術を紹介しています。それぞれはピラミッドのような関係となっており、最初から順に身につけていくことで大きな効果を得られるものとしています。
2)役に立たない思い込みをてなずける
3)「やればできる!」という自信を科学的に身につける
4)自分の「強み」を活かす
5)心の支えとなる「サポーター」をつくる
6)「感謝」のポジティブ感情を高める
7)痛い体験から意味を学ぶ
「やればできる!」という自信を科学的に身につける
本書評では、中でも特に大切な要素として、“「やればできる!」という自信を科学的に身につける”を紹介します。この前2つの技術によってネガティブな感情の悪循環から脱出した後、いかに再起するかということが主題となっています。
著者は、この再起に必要な心理的な筋肉を「レジリエンス・マッスル」と呼び、
これを鍛えるために最も重要な要素のひとつが「自己効力感」というものだと述べています。
そして、この自己効力感は養うことができるとし、詳細は本書に譲りますが、その具体的な方法が4つ紹介されています。
2) うまくいっている他人の行動を観察すること(代理体験)→「お手本」
3) 他者からの説得的な暗示を受けること(言語的説得)→「励まし」
4) 高揚感を体験すること(生理的・情動的喚起)→「ムード」」
たとえば「実体験」ついて、自己効力感を高めるためには、自分で設定した目標に向かって必要な「実体験」を繰り返し行うことが最も有効であるとしており、このような直接的な体験が多ければ多いほど効果的であると、著者自身の語学のエピソード等を通して述べられています。
まとめと感想
本書が取り扱っている「レジリエンス・トレーニング」の源流は、リーマンショック以降の金融業界や米陸軍兵士たちに導入され高い評価を受けているものです。
企業間における国際競争が激しさを増す一方、うつ病などメンタルヘルスについての課題は世界中で深刻さを増しています。
今後は、競争に勝ち抜くための方法論と表裏をなす形で、失敗から立ち直る為のメンタルケアの重要性が一層高まっていくとされており、その観点からもとても有用な技術を提示してくれています。ぜひご一読下さい。
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