- 著者プロフィール
Ⅱ情熱
Ⅲ信念
Ⅳ知恵
東京生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大手電器メーカー海外事業部に勤務。
1万冊を超える読書によって培われた膨大な知識をもとに、独自の研究を重ね、難解とされる古典を現代漫画をもとに読み解いていく手法を確立。
著書に『スラムダンク武士道』『スラムダンク論語』『スラムダンク孫子』『スラムダンク葉隠』『ワンピースの言葉』『ゾロの言葉』『ウソップの言葉』『桜木花道に学ぶ“超”非常識な成功のルール48』『人を動かす! 安西先生の言葉』『20代のうちに知っておきたい読書のルール23』『世界の名言100』(すべて総合法令出版)がある。
書評レビュー
ビジネスパーソンの心を震わせる「名言」
本書は、多くの方々の共感を呼び話題となっているキリンの缶コーヒー「FIRE(ファイア)」の特別企画「365日日替わり名言CM」とのタイアップし、ビジネスパーソンの心を震わせる世界の偉人の名言をまとめた一冊です。
キリンの缶コーヒーファイアの特別企画として放映されている「365日日替わり名言CM」をご存知でしょうか。
こちらは、「毎日、あなたの心に火をつけたい」というキャッチフレーズのもと、忙しい日々に追われ働く方々の支えとなるような世界の先人・偉人の名言を日替わりで紹介する企画であり、ビジネスパーソンを中心に、非常に注目を集めているCMとなっています。
CMで放送されている日々の名言を紹介する「まとめサイト」やブログが多数存在することからもひそかに注目度が高いことが見て取れます。
そんなビジネスパーソンの心を震わせる名言を選別し、CMに提供している人物が、著者である「遠越段」氏です。著者は、「世界の名言100」など、人を感動させ、奮い立たせる「言葉」を集めた名言集を多数執筆しており、先人や偉人たちの「言葉の持つ力」を分析・評価している人物です。
本書では、ファイアのCMで放送されている名言のうち、約200個が紹介されており、その一つ一つに著者が解説を加えるという構成になっており、先人・偉人たちも、リンカーンのような政治家からヘンリー・フォードのような実業家まで多岐に渡っています。
名言は、「行動」、「情熱」、「信念」、「知恵」の4つにカテゴライズされていますが、この書評ではうち3つほど印象に残った名言をご紹介します。
「信念」に関する名言
「成功したいなら簡単だ」と言い切ったウィル・ロジャースは、コメディアンとして大成功した人物です。
しかし、最初からコメディアンとして順風満帆なキャリアをすごしていたわけではありません。テキサスのサーカス小屋でロープ使いを務めていたこともありました。
しかし、自分の才能を信じ込んだ結果、アメリカでは知らないものはいないほどのコメディアンとなり、さらには評論家や文筆家という畑違いのジャンルでも大成功を収めています。
「行動」に関する名言
エイブラハム・リンカーンと言えば、ゲティスバーグ演説の「人民の人民による人民のための政治」という名言で知られ、アメリカ史上最も偉大な大統領の一人に数えられる人物です。
非常に悲惨な内戦であった南北戦争を、大統領として率いた人物でもありますので、その背景もあわせ、非常に重みのある言葉だと思います。
「知恵」に関する名言
オスカー・ワイルドは、19世紀を代表する作家であり、日本の文豪たちにも影響を与えたという人物です。
この言葉を読み替えると、失敗がないということは経験を積んでいない、ということになります。
ビジネスシーンでも、すべての失敗を避けることは、実際問題不可能です。そして、上司などからその失敗をとがめられ、委縮してしまうことも多いと思います。
しかし、それでも、失敗を恐れるのではなく、経験という名の財産を得た、と思えば、前向きに成長していけるのではないでしょうか。
まとめと感想
本書では、名言とその解説、その名言を残した人物の人生もダイジェストされています。そしてそれを読むと、やはり名言を残すような先人たちは、密度の濃い人生を送り、様々な経験をしていることに改めて気づかされます(月並みな感想で恐縮ですが)。
特に大きな苦悩や問題を乗り越えた先に出てきた言葉が、人々の心を動かす力が大きい名言のように思います。
名言という短いフレーズの中に、経験に裏打ちされた物事の本質が見事に濃縮されており、私たちが悩んだ時や勇気を出したい時に必要な「心に火がつく言葉」がきっと見つかるのではないでしょうか。
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