書評『SONYとマッキンゼーとDeNAとシリコンバレーで学んだ グローバル・リーダーの流儀』
(森本 作也/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
まえがき
プロローグ
Part1 労働観の谷
Part2 組織の谷
Part3 人材育成の谷
Part4 コミュニケーションの谷
Part5 リーダーシップの谷
エピローグ 融合
著者:森本 作也
神戸大学経済学部卒業、米国スタンフォード大学経営大学院(MBA)修了。大学卒業後ソニーに入社、サウジアラビア、アラブ首長国連邦に駐在。業務用機器の中近東営業本部立ち上げに携わり、中近東全域の市場開拓を担当したのち、休職し米国スタンフォード大学経営大学院(MBA)に自費留学。修了後マッキンゼー&カンパニー東京オフィスに入社し、モバイルを含むハイテク関係のプロジェクトに従事。約1年のフィンランド駐在を経験した後、シリコンバレーに本拠を持つベンチャー、カネスタに入社。

書評レビュー

グローバルリーダーを目指すために知っておくべき「ギャップ」

本書はソニー、マッキンゼー、そしてシリコンバレーのベンチャー企業などでキャリアを積んだ著者による、日本人が「グローバル・リーダー」になるために必要なノウハウを解説した一冊です。

昨今、日本企業による海外ベンチャー企業の買収など、日本企業の海外進出は珍しいものではなくなってきましたが、一方で、全ての案件が順調に進んでいるわけではないようです。

やはりそこで障壁となっているのは、日本と諸外国との文化や考え方の違いからくる、さまざまな「ギャップ」なのではないか?というのが本書の出発点になっています。

著者である森本氏は、ソニー入社後、スタンフォード大学のMBAを取得し、マッキンゼー、シリコンバレーのベンチャー企業カネスタ、DeNAで着実に実績を積んできた人物。今なおベンチャーや社会起業にも携わっているようです。

この経歴からわかるように、著者は、日米両方の企業風土を熟知し、上述の日本企業と海外企業との間に生じている様々な文化「ギャップ」の正体を知る人物と言っても過言ではないでしょう。

本書では、筆者の実体験に基づいて、日本企業が海外展開する際に陥りがちな文化の「ギャップ」を解説し、日本人がグローバル・リーダーとなる上で必要な素養を明らかにしていきます。

5つの文化の「ギャップ」とは何か?

本書で筆者が紹介している、日本人がグローバル・リーダーになる上で乗り越えなければならない文化の「ギャップ」とは次の5つです。

①労働観のギャップ
「働く」ことに対する認識はどう違うのか?

②組織のギャップ
組織の成り立ち方や構造はどう違うのか?

③人材育成のギャップ
人と育てるための考え方はどう違うのか?

④コミュニケーションのギャップ
メッセージの伝え方はどう違うのか?

⑤リーダーシップのギャップ
理想的なリーダーのあり方はどう違うのか?

筆者は、この5つのポイントで、日本企業と海外企業との間に大きなギャップがあると述べているのですが、特に印象に残ったのは、5つめの「リーダーシップのギャップ」でした。

なぜなら、多くの著名な経営者が主張しているように、経営者の「リーダーシップ」(本書では、ビジョンやミッションという形で表現されています)こそが、従業員をモチベートし、パフォーマンスを最大化する最も重要なファクターと言えるからです。

リーダーシップのギャップ

筆者はこのように解説しています。

『全社ビジョンを、事業本部、部、課とあらゆる階層のリーダーが、それぞれの組織や目的や役割に合わせて、細分化、具現化されたビジョンを持つことが必要です。(中略)欧米の組織ではビジョンを持たないリーダーはリーダーとはみなされないのです。』

日本企業では、一般的にリーダーに求められるのは、人的リソースやスケジュールの「管理能力」だといえます。

一方で、欧米を中心とした海外企業では、将来を見通し、行く先を決定する、つまり、「ビジョン」を作る能力(センスといった方がいいかもしれません)が求められているのではないでしょうか。

まとめと感想

本書では、簡潔に分かりやすく、日本人がグローバル・リーダーとして乗り越えなければならない文化の「ギャップ」が解説されています。

著者と同じくマッキンゼー出身で、ベストセラー「採用基準」の著者でもある伊賀泰代さんが本書を『「世界の仕事のお作法の違い」を分かりやすく解説してくれる良書』と評価していますが、言いえて妙だと思います。

内容も、それぞれの文化「ギャップ」ごとに、実際に筆者が体験したことをベースにした臨場感あるストーリーと解説を交互に交えながら進めていくのですが、読み物としても最後まで飽きずに読むことができました。

海外でのビジネス展開を考えられている、もしくは、すでに展開しているビジネスパーソンにとっても参考になる良書だと思います。

海外の企業風土と比較することで、日本の企業風土の特性や良い点にも気づくことができる一冊でもありますので、是非手に取ってみてください。

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