書評『ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング』
(赤羽 雄二/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
第1章 「考える」ためのヒント
第2章 人はゼロ秒で考えられる
第3章 ゼロ秒思考をつくるメモの書き方
第4章 メモを使いつくす
第5章 メモの整理・活用法
著者:赤羽 雄二
東京大学工学部を1978年に卒業後、小松製作所で建設現場用ダンプトラックの設計・開発に携わる。1983年よりスタンフォード大学大学院に留学し、機械工学修士、修士上級課程を修了。1986年、マッキンゼーに入社。経営戦略の立案と実行支援、新組織の設計と導入、マーケティング、新事業立ち上げなど多数のプロジェクトをリード。1990年にはマッキンゼーソウルオフィスをゼロから立ち上げ、120名強に成長させる原動力となるとともに、韓国企業、特にLGグループの世界的な躍進を支えた。

書評レビュー

思考スピードを上げる思考術

本書は外資系コンサルティングファーム「マッキンゼー」出身の筆者が、「深く考える」、かつ、「思考スピードを上げる」という技術(スキル)を紹介した一冊です。

筆者は、マッキンゼーに14年間在籍し、グローバル案件を数多く手がけるなかで、クライアントを含め様々な人が「深く考えることを苦手としている」と感じたそうです。

言い換えると、物事の本質を把握し、整理し、アウトプットすることが苦手、と言えます。

本書で紹介されている「ゼロ秒思考」は、筆者が実際にクライアントに対して指導している思考法で、「メモ」という身近なツールを使い、深く考える技術を身につけ、「思考スピードを上げる」というものです。

本書は、大きく分けて、まずは「深く考える」ことと「思考スピードを上げる」ことの重要性を解説した上で、具体的な「ゼロ秒思考」のトレーニング方法を紹介する、という構成になっています。

考えが「浅く」「空回り」してしまう日本人

筆者は、多くの日本人が、能力はあるにも関わらず、「深く考える」ことが苦手であると述べており、これを『考えが「浅く」「空回り」している』と表現しています。

『『考えが浅い』というのは、文字通り深く考えておらず、表面的にしか考えていない状況だ。考えていないので、「それはどういう意味ですか?」と聞かれると、すぐ詰まってしまう。(中略)こういう場合、そもそも考え自体が間違っていることも多い。「空回り」というのは、一つの課題について深く考え、より質の高い問題解決をすることなく、表面をなでて終わってしまうことだ。』

そして浅く、空回りした思考からは、表面的でありきたりの案しか出てこなくなってしまうと指摘しています。もっとも筆者は、これは頭のいい/悪いではなく、幼少より考える訓練を受けていないためであると述べており、マッキンゼーにおいてでさえ個人差が大きかったと回想しています。

メモ書きの効能

そのため、筆者曰く、思考能力は訓練すれば向上するものであり、ウェイトトレーニングと同様に、毎日意識して継続していけば(1日10分程度)、早い人では3週間でその効果を実感できるとのことです。

この思考能力の強化トレーニングのキモとして挙げられているのが、「メモを書くこと」です。より具体的な方法は本書に譲りますが、この方法を簡単に説明すると、下記の通りになります。

『A4用紙を横置きにし、1件1ページで、左上にタイトルを書き、1ページに4~6行のみ、各行20~30字、毎日10ページ、1ページを1分以内に書く』

この「メモ書き」の効能として、筆者は『目の前の課題が可視化され、優先順も自ずと明確になる』などを挙げていますが、面白いものとして『メモを書くと、腹が立たなくなる』というものがあります。

『メモを書くと腹が立たなくなるのは、人目を気にせず遠慮なくはき出せ、はき出したものをしっかりと見ることができるからだと考えている。

その結果、自分の状況を客観視できるようになり、今起きたことが本当はどういう原因で起きたのか見えるようになり、それに対して何をすべきなのか、何をすべきではないのかが把握できるようになるからだ。』

一見奇抜な指摘ですが、経験上たしかに納得できるものではないでしょうか。

まとめと感想

本書では、具体的な「メモ書き」を使ったトレーニング方法に加え、ノートや日記ではなく「A4用紙にメモ形式」でなければならない理由や、メモをつかった思考のさらなる深堀りの方法なども紹介されています。

戦略コンサル系ビジネススキル本で多く紹介されている、MECE(ミッシー)などのロジカル・シンキングとは異なり、「メモ書き」という身近な形のトレーニングなのでより実践しやすいと思います。

思考力を向上させるための参考書として、ぜひ一度手に取ってみてください。

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