書評『キラー・クエスチョン 常識の壁を超え、イノベーションを生み出す質問のシステム』
(フィル・マッキニー/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
■第一部 イノベーションに備える
第一章 なぜ質問が大切なのか
第二章 思い込みを疑い、ジョルトを乗りきる
第三章 組織の抵抗勢力

■第二部 ブレークスルーを引き起こすイノベーションへの道を探る
第四章 イノベーションか、しからずんば死か
第五章 FIREメソッド
第六章 あなたにとっての「誰」は誰か
第七章 あなたにとっての「何」は?
第八章 「いかに」実行するか
第九章 ワークショップの上手なやり方
第十章 採用して修正せよ
エピローグ――イノベーションを始めよう

著者:フィル・マッキニー
 イノベーションの専門家。元ヒューレット・パッカード社パーソナル・システムズ・グループ上級副社長および最高技術責任者(CTO)。同社でイノベーション・プログラム・オフィスを創設し、そのリーダーとして長期的な戦略プランの立案と研究開発に携わる。そこでの数々のビジネスならびに製品サービスのイノベーション(HP社に在籍中の9年間に、読み書きができない人のためのパソコンなど12件のイノベーションを実現)の成功体験をもとにして、本書の独創的なアイデア開発実行システムが生まれる。数多くの一流企業のコンサルタントを務めるかたわら、ヴァニティ・フェア、ビジネスウィーク、ニューヨーク・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナルなどの紙誌、世界各地のワークショップや講演でも活躍。サンフランシスコ在住。

書評レビュー

イノベーションを起こすための「キラー・クエスチョン」

本書は、元HP(ヒューレット・パッカード)のCTO(最高技術責任者)による、イノベーションを起こすための思考システム「キラー・クエスチョン」を解説した一冊。

HPといえば、コンピューター関連製品でアップルやIBMと業界の盟主の座をかけて争っている世界有数のグローバル企業です。

アップルやIBMを相手に、いわゆるシリコンバレーで生存競争を勝ち抜いていくには、とてつもない速さでイノベーションを進めていかなければなりません。

筆者のフィル・マッキニー氏は、そんな状況の中、HPでCTOとして活躍し、様々なイノベーションプログラムを開発した人物。

そんな筆者が、イノベーションを進める過程において最も重要だと考えるもの、それこそが「質問」(キラー・クエスチョン)なのです。

『あなたのビジネスに関して、キラー・クエスチョンを使えば、適切な顧客やサービスや製品に集中して取組み、業務を円滑に進めていくことができる。』

本書では、キラー・クエスチョンの概要から具体例、そして正しくキラー・クエスチョンを使うための方法(FIREメソッド)まで、エピソードを交えながら紹介されています。

なぜ「キラー・クエスチョン」が大事なのか?

筆者は、新しいアウトプット(製品)を生み出すためには、新しいインプット(材料)が欠かせないと説きます。そして、この新しいインプットを生み出す方法について、以下のように述べています。

『新しいインプットを生み出す方法はいろいろあるが、もっとも効果的なのは質問を通じて重要な発見を引き出す方法だ。これは他人への質問にも自分への問いかけにも当てはまる。

さらに質問の適切な表現(中略)と、質問の基本的な組み立て(的確な質問をするためには、どのように、なぜ、いつという点を十分に理解しておかなければならない)にも当てはまる。』

そして、最善のアイデアを生み出す「質問」を「キラー・クエスチョン」として、以下の三つにカテゴライズしています。

1.あなたの顧客は誰か。
2.あなたは何を販売しているのか。
3.あなたの組織はどのように機能しているのか。

詳細な説明は本書に譲りますが、本書では、このカテゴライズに沿ったキラー・クエスチョンが具体的に多数紹介されており、また、実際のエピソードを通じて、その有効性が解説されています。

“FIRE”メソッド

また、本書では、イノベーションのプロセスにおいて、キラー・クエスチョンを有効に使いイノベーションを起こすためのアプローチ方法として、”FIRE”メソッドを紹介しています。これは次の4つの言葉の頭文字をとったものです。

①Focus(フォーカス)
イノベーションを欲する/必要とする分野(顧客。製品など)を特定する。

②Ideation(アイデアづくり)
キラー・クエスチョンによって素晴らしいアイデアを生み出す。

③Ranking(ランキング)
5つのシンプルな質問を使ってアイデアをランクづけし、ベストのものを特定する。

④Execution(実行)
質問を使った段階的なゲートプロセスによって、ベストのアイデアからキラー・イノベーションを創造する。

この順番で思考プロセスを進めることで、アイデアをキラー・イノベーションに発展させる確率が改善されると筆者は解説しています。

まとめと感想

本書では他にもイノベーションを起こすためのワークショップの方法なども紹介されていますので、HP流イノベーションの教科書といえる内容です。

製品開発・販売の観点のみならず、イノベーションを起こせる人材の育成観点からも参考になる一冊と言えるのではないでしょうか。

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