書評『ゼロ―なにもない自分に小さなイチを足していく』
(堀江 貴文/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
第0章 それでも僕は働きたい
第1章 働きなさい、と母は言った──仕事との出会い
第2章 仕事を選び、自分を選ぶ──迷い、そして選択
第3章 カネのために働くのか?──「もらう」から「稼ぐ」へ
第4章 自立の先にあるつながり──孤独と向き合う強さ
第5章 僕が働くほんとうの理由──未来には希望しかない
おわりに
著者:堀江貴文
1972年福岡県八女市生まれ。実業家。元・株式会社ライブドア代表取締役CEO。民間でのロケット開発を行うSNS株式会社ファウンダー。東京大学在学中の1996年、23歳のときに、インターネット関連会社の有限会社オン・ザ・エッヂ(後のライブドア)を起業。2000年、東証マザーズ上場。2004年から05年にかけて、近鉄バファローズやニッポン放送の買収、衆議院総選挙への立候補などといった世間を賑わせる行動で、一気に時代の寵児となる。既得権益者と徹底的に戦う姿が若者から支持を集め、『稼ぐが勝ち』(光文社)がベストセラーに。しかし2006年1月、33歳のときに、証券取引法違反で東京地検特捜部に逮捕され、懲役2年6カ月の実刑判決を下される。2011年6月に収監され、長野刑務所にて服役。介護衛生係としての仕事に励みつつ、メールマガジンなどで情報発信も続け、獄中で40歳の誕生日を迎える。2013年3月27日に仮釈放。本書が刊行される直後の11月10日0時に刑期を終了し、ふたたび自由の身となって、「ゼロ」からの新たなスタートを切る。

書評レビュー

「堀江貴文」の半生から「働く」を考える

本書は、ホリエモンこと堀江貴文氏の、出所後書下ろし第一弾となる新刊。基本的には堀江氏の「自叙伝」的内容ですが、刑期中つねに「出所したら早く働きたいと思っていた」と語っているように「働く」や「仕事」についての堀江氏の想いがつづられています。

「働く」についての堀江氏の考えは非常にまっとうで、一貫して「悩んでいる暇があれば働こう」というスタンスです。

資本主義の申し子のような捉え方もされる著者ですが、逆に日本的な勤勉さや、勤労の美徳を感じた点が新鮮でした。目新しくはないものの、それゆえ普遍的な内容で、ご存じの通りジェットコースターのような毀誉褒貶を経験した堀江氏だからこその説得力を持っています。

一冊を通して、彼が成功した理由(と失敗した理由)、そしてなぜ堀江氏がここまで働きたいと思っているのか、何を実現しようとしているのか、が見えてくると思います。この書評では特に、「働く」ことについて書かれた部分をいくつか紹介します。

ゼロに地道なイチを足してゆく

まず、タイトルともなっている「ゼロ」について、堀江氏はよく若者から、「成功へのショートカット」や「掛け算」で成果が出せるものはないのか?という質問を受けるといいます。

堀江氏は、もちろんノウハウや知識などで「掛け算」は可能なものの、まず「足し算」(地道な努力で少しずつ積み重ねる)が必要であると強調しています。

「人が新しい一歩を踏み出そうとするとき、次のステップに進もうとするとき、そのスタートラインにおいては、誰もが等しくゼロなのだ。つまり、『掛け算の答え』を求めているあなたなはいま、「ゼロ」なのである。

そしてゼロになにをかけたところで、ゼロのままだ。物事の出発点は『掛け算』ではなく、必ず『足し算』でなければならない。まずはゼロとしての自分に、小さなイチを足す。小さく地道な一歩を踏み出す。ほんとうの成功とはそこから始まるのだ。」

仕事を好きになるたったひとつの方法

では、いかにして「イチ」を積み重ねていくのか?堀江氏は対象に「没頭」することの重要性を説いています。そしてそれが仕事を好きになることにつながっていきます。

「仕事でも勉強でも、あるいは趣味の分野でも、人が物事を好きになっていくプロセスはいつも同じだ。人はなにかに「没頭」することができたとき、その対象を好きになることができる。(中略)人は「仕事が好きだから、営業に没頭する」のではない。順番は逆で、「営業に没頭したから、仕事が好きになる」のだ。」

自叙伝部分を読んでいただくと、堀江氏はこの「没頭」する能力が子供の頃からずば抜けて高かったことがわかります。

「没頭」するために有効なこととして、堀江氏は「自分の手でルールをつくること」を挙げています。たとえば受験勉強であれば「1日2ページ」というノルマをつくる、など来る日も来る日も「今日の目標」を達成することだけを考える、というものです。

時間とは「命そのもの」

また、堀江氏は、営業マンの挨拶トーク(天気など)すら我慢できなかった(現在ではそれほどでもないそうですが)と述べています。その理由として、以下のような「時間」に対する強烈な意識が書かれています。

「時間とは、『命そのもの』だからだ。なんの実りもない無駄話に付き合わされることは、命を削られているに等しい。タイム・イズ・マネーという言葉は間違っている。お金なら増やすことも可能だ。しかし、時間だけは誰にも増やすことはできない。」

前述の「没頭」にも通じることですが、堀江氏は実は8時間睡眠を徹底しており、ぼんやり「10時間」働くよりも、極限まで集中力を高め「2時間」働くほうがいい仕事ができる、とまで言っています。

まとめと感想

本書ではほかにも「依存するな自立せよ」「お金ではなく、信頼」「自由と責任はセット」など、働くことを切り口に、多くの本質的な考えが述べられています。自伝としても読みやすいですが、起業などにに興味がある方だけでなく、「働く」ことを見直してみたいビジネスパーソンにお薦めできる一冊です。

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