書評『君に友だちはいらない』
(瀧本 哲史/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
第1章 秘密結社をつくれ
第2章 本当の「よいチーム」とはなにか
第3章 ビジョンをぶち上げろ、ストーリーを語れ
第4章 よき仲間との出会いのために
第5章 チームアプローチはあなたと世界をどう変えるか
著者:瀧本 哲史
 京都大学産官学連携本部イノベーション・マネジメント・サイエンス研究部門客員准教授。エンジェル投資家。東京大学法学部卒業。東京大学大学院法学政治学研究科助手を経て、マッキンゼー&カンパニーで、おもにエレクトロニクス業界のコンサルティングに従事。内外の半導体、通信、エレクトロニクスメーカーの新規事業立ち上げ、投資プログラムの策定を行う。独立後は、「日本交通」の再建に携わり、エンジェル投資家として活動しながら、京都大学で教育、研究、産官学連携活動を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

書評レビュー

あなたが成功するために必要なのは、「友だち」ではなく「仲間」だ

ショッキングな題名の『君に友だちはいらない』ですが、本書は、ビジネスを行う際の「チームアプローチ」の重要性を説いた一冊です。筆者は、グローバル化が進み、ビジネスモデルの耐用年数、つまりは、「企業の寿命」がどんどん短くなっている現状を踏まえ、ビジネスパーソン一人一人が同じ職場に留まって働くことが難しくなってきたと述べています。

また、次々に変わるビジネスモデルに対応するために、単価の安い外部へのアウトソーシングが進んだ結果、「人間のコモディティ化」が進んでしまったと解説しています。

つまり、世の中の傾向として、もはやビジネスパーソンは、「人材」ではなく、「商品」として捉えられている、と筆者は述べているのです。そのような状況の中、この「コモディティ化」から逃れ、人々が幸福に暮らすためにはどうすればいいのか。

筆者の回答は、ずばり以下のようなものです。

「常に複数の緩やかなつながりを持った組織に身を置き、解決すべき課題を見つけて、共通の目標に仲間とともに向かっていくこと。」

筆者はこれを「武器としてのチーム」づくりと解説しています。本書では、この「武器としてのチーム」づくりの重要性とその方法が、様々な事例を交えながら説明されています。この書評では、本書より「チームアプローチ」と「よいチームのつくり方」を紹介していきます。

成果を上げるチームに共通する5つの共通点

筆者は、マッキンゼー時代に様々な業務を経験していますが、やはり「チームアプローチによる問題解決」が非常に重要であったと述懐します。

この「チームアプローチ」について、筆者は、「よいチーム」を継続的に、システマチックに何度でも再現するために考え出された組織づくりの概念と定義しています。

マッキンゼーのパートナーであった「ジョン・R・カッツェンバック」と「ダグラス・K・スミス」が『「好業績チーム」の知恵―企業を革新する自己実現型組織』で解説しているように、この「チームアプローチ」こそが、企業、ひいては、ビジネスパーソンが成功を収める秘訣のようです。

筆者は、様々なプロジェクトを通じて確認した、このチームアプローチを実践し、「抜きんでた」成果を上げたチームに共通する5つ特徴を紹介しています。

成果を上げたチームに共通する5つの特徴
①少人数である
小さいコミットから必要性が実証された人を選別。少数のコアメンバーと多数の周辺メンバー

②メンバーが互いに補完的なスキルを有する
流動的。互いに補完しようとする結果、学習により獲得される

③共通の目的とその達成に責任を持つ
否定形的で達成可能だがとても高い目的。負けたら解散。痛いカネを張る。

④問題解決のためのアプローチの方法を有している
バックグラウンドの違うメンバーの共通言語

⑤メンバーの相互責任がある
ひとりの失敗が即全員の失敗

なお、「チームアプローチ」を実践する際に注意しなければならないこととして、「チームアプローチ」は「チームワーク」とは似て非なるものであることを挙げています。「チームワーク」は所属するメンバーが互いに協力しあうという定義も基準も曖昧としたものだからです。

まとめと感想

他にも、よい仲間に出会うための方法やイノベーションを起こすチームのつくり方から、ビジョンとストーリーの重要性など、マネジメントに必要な要素もしっかり紹介されていますので、起業された方(される方)や、現在企業でマネジメントクラスにいる方にとっても、読み応えのある、お薦めの一冊です。

また、筆者が実際に交流のある起業家、NPO団体、時にはドラマのエピソードなどが事例として紹介され、読者を飽きさせないように工夫された内容となっています。

『夢を語りあうだけの「友だち」はあなたにはいらない。あなたに今必要なのは、ともに試練を乗り越え、ひとつの目的に向かって突き進んでいく「仲間」だ。』という著者の熱いメッセージをぜひ味わってみてください。

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