書評『人に強くなる極意』
(佐藤 優/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
第1章 怒らない
第2章 びびらない
第3章 飾らない
第4章 侮らない
第5章 断らない
第6章 お金に振り回されない
第7章 あきらめない
第8章 先送りしない
著者:佐藤 優
1960年東京都生まれ。作家、元外務省主任分析官。85年、同志社大学大学院神学研究科修了。外務省に入省し、在ロシア連邦日本国大使館に勤務。その後、本省国際情報局分析第一課で、主任分析官として対ロシア外交の最前線で活躍。2002年、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕、起訴され、09年6月有罪確定。『国家の罠』(新潮社)で第59回毎日出版文化賞特別賞受賞。『自壊する帝国』(新潮社)で新潮ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『交渉術』『読書の技法』など著書多数。

書評レビュー

図太く生きるための処世術

本書は、外務省においてロシア外交で活躍した後に背任で逮捕、現在は作家として活動している佐藤優氏が彼自身の経験から、「図太く生きる」ための「処世術」をまとめた一冊。

本書では、怒らない、びびらない、飾らない、侮らない、お金に振り回されない、あきらめない…などの項目で生き方の指南をしていくのですが、この書評では「びびらない」と「侮らない」について紹介します

人間はよくわからないもの、不可解なものに対して「びびる」

「びびる」つまり、怖じ気づいたり萎縮してしまう経験は誰にでもあると思いますが、著者はある神学者の言葉を引用して、なぜ「びびる」のかを説いています。

曰く「人間は限界のわからないものに対して恐れを抱く」ということ、つまり、対象や相手をよく知らないからこそびびると指摘されています。

よくわからない相手に対して働く想像力が、恐怖を招くということです。

それゆえ、「びびらない」ためにはは、裏返しとなりますが、相手をよく知ることが必要です。これを著者は「相手の内在的論理(どんな意図と論理で行動しているのか)を知る」と表現しています。

そのためには「経験」と「代理経験」つまり他人の経験を通して学ぶことと、対象を分類することの重要性を述べています。

『代理経験も含めてさまざまな経験をしておけば、何かびびるような場面に出くわした時でも、「この人は前に会ったあの人に言動が似ているな」とか、「いまの状況はあの本に書かれていたあの状況にそっくりだ」と対象を冷静に分析できます。

この分類とか類比、英語でいうアナロジーですが、これができるようになるとずいぶん違う。先ほども述べたように、相手がよくわからないから恐怖心が生まれてびびってしまうのです。

対象が自己の経験値の中で、何らかのカテゴリーに振り分けられていれば、そのような恐怖心に陥ることはありません。」

得意な分野にこそ落とし穴がある

「侮らない」という項目で一番はじめにあげられているのが、実は人間は「一番得意な分野にこそ落とし穴がある」という点です。その理由は簡単で、そこに「油断」や「侮り」が発生するからです。

では事前に自分の中にある「侮り」に気がつく方法はないのか?こちらは「正直なところ難しい」としながらも、前述した代理経験を積むこと。特につまり、侮って失敗した例を本で読むこと、そして人の忠告を受け入れるために「内省ノートをつける」ことを薦めています。

また、「侮って失敗した例をとりあげた本」を読むことも有効として、以下のようなジャンルが挙げらえています。ぜひ参考にしてみてください。

『たとえば戦史物。あとは企業ノンフィクションのようなもの。いずれも一時の勝利に驕り高ぶって、手痛い敗戦や失敗を食らった実例です。企業であれば雪印乳業の話とか、潰れてしまった山一証券の話とかそれこそ枚挙にいとまがない。貴重な実例が人の歴史の中にはたくさんあるのですから、それに学ばない手はありません。』

まとめと感想

本書ではほかにも、「借金の仕方」「突然のスローガンには要注意」、「夢や目標をただの執着と区別する」など、多様なテーマが展開されます。

多読家で著作も多い佐藤氏の、豊富な知識と興味の多様性が感じられるエッセイ的な一冊ですが、おそらくいくつも実生活に取り入れられる部分があるのではないでしょうか。

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