書評『外国人投資家はいま何を考えているのか』
(宮島 秀直/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
第1章 すべては”スリー・アローズ”から始まった―外国人投資家が日本に魅力を感じた意外な理由
第2章 「グレート・ローテーション」を巡る大激論―日本株を80%押し上げた世界マネーの”連携プレー”
第3章 ヘッジファンドが「日本買い」を続ける条件
第4章 外国人投資家の正体―その実像と戦略パターン
第5章 外国人投資家が選好する銘柄と売買タイミング
第6章 今後数年間を射程に据えた二段構えの投資シナリオ
著者:宮島 秀直
パルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ代表取締役
1980年、早稲田大学理工学部卒。富士通北米営業部、日経マグロウヒル社記者、野村証券フランクフルト支店、野村證券金融研究所ストラテジスト、バークレーズキャピタル証券チーフストラテジストを経て、2009年よりパルナッソス株式会社代表。主な著書に、『ヘッジファンドの興亡』『常勝ファンドの投資戦略』(ともに東洋経済新報社)がある。2013年「日経ヴェリタス」人気アナリスト・ランキングの日本株ストラテジスト部門2位。

書評レビュー

「アベノミクス後」の日本株の行方を占う

 日本株を一番保有しているのは誰か、ご存知でしょうか?「外国人投資家」という回答はすぐに出てきそうですが、その保有比率についてはどうでしょうか?30%?40%?実は、60%超の株式を外国人投資家が保有しているのです。多い時には、70%近い比率を外国人投資家が保有していた時期もありました。

 つまり、日本株のトレンドを決めているのでは、外国人投資家といっても過言ではありません。この外国人投資家が何を考えているかを知ることこそが、今後の日本株の行方を知ることに繋がる、というのが本書の趣旨です。

 筆者は、野村證券金融研究所やバークレイズキャピタル証券といった国内外の金融機関でストラテジスト(分析官)を務め、「日経ヴェリタス」のアナリストランキング(日本株部門)で2位にランキングされたこともある売れっ子アナリスト。

 そんな筆者が、自身のネットワークを活かし、外国人投資家の現在の日本株への投資スタンスを明らかにしています。

外国人投資家の日本株に対する評価とは?

 筆者がニューヨークで開催された世界最大のヘッジファンドカンファレンス「アイラ・ソーン投資カンファレンス」で見た光景は、リーマンショック後、株価低迷にあえいでいた昨年までと様子が違っていたようです。どのような意見が見られたのか、本書から紹介していきます。

2014年以降日経平均は、1万8,000円に達する

 特に、かの有名な世界的投資ファンド「ソロス・ファンド」で、伝説の投資家ジョージ・ソロスの後継者とも目されていたスタンレー・ドラッケンミラー氏は、こう述べたそうです。

『日本で現在進められている経済改革は非常に興味深く、混乱期に入っている中国とは非常に対照的だ。日銀が行っている「異次元の金融緩和」は、日本の国債市場の特性(保有者の80%がもの言わぬ国内の投資家であり、世界の投資家たちのリスク回避先としての高い実績など)を考えれば、国債の大暴落にいたる現実的可能性は低い。(中略)(その結果)2014年を越えて、日経平均は1万8,000円に達する』

 日銀の「異次元の金融緩和」(いわゆるアベノミクス)に対する評価は分かれるところではあります。ただ、いずれにせよ、日本株の今後の上昇を見込んでいる著名外国人投資家がいることは間違いないようです。

日本は世界金融市場のゲームチェンジャーになれる

 2013年1月のダボス会議において、世界最大のヘッジファンド ブリッジウォーター社のCIOレイ・ダリオ氏は「2013年はゲームチェンジャーの年になる」と述べ、筆者が、とある機会にこの発言の意図を確認したところ、「今年は日本と米国の年になる」と回答したそうです。

 その根拠の主役となるのが、日米二つの中央銀行である、日銀とFRBです。

『米国では、「FRBのQE3(量的緩和策第三弾)は今しばらく続くし、続けなければ米国経済はまだ脆弱だ」とし、膨大な資金供給によって世界の投資家は守られ、「債権に逃げていた資金がまずは日本市場に還流してくる」と言う。FEBによるQE3の収束は「2014年半ばまでない」と認識を述べた。』

 つまり、ドラッケンミラー氏とダリオ氏は、表現の仕方こそ違え、「2014年」までは日本株式市場に資金が流入すると述べているのです。

 本書では、こうした今後の投資シナリオに加え、具体的に売買すべき銘柄や売買のタイミングまでが紹介されています。一方で、最新のヘッジファンドの類型とその投資戦略なども書かれ、昨今の日本の株式市場のトレンドを理解するには、最適な内容になっています。

 これ以上専門的な内容になると、金融業界以外の方にはちょっと持てあます内容になるかと思いますので、現在の日本の株式市場を手軽に考察したい方はぜひご一読ください。

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