書評『桁外れの結果を出す人は、人が見ていないところで何をしているのか』
(鳩山玲人/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
第1章 桁外れの結果を出す人は、人が見ていないところで何をしているのか
第2章 不安をうまく利用するから、結果が出せる
第3章 人間関係をおろそかにすると、どんな努力も無駄になる
第4章 今の時間の使い方が、3カ月後の仕事の実績を左右する
第5章 現状に満足した瞬間、成長はストップする
第6章 私が新人の頃から徹底してきた仕事の基本
著者:鳩山 玲人
 1974年生まれ。(株)サンリオの常務取締役。青山学院大学国際政治経済学部を卒業後、三菱商事に入社。エイベックスやローソンなどでメディア・コンテンツビジネスに従事。その後海外に渡り、2008年にハーバードビジネススクールでMBAを取得。同年、サンリオに入社し、10年に取締役事業戦略統括本部長に就任。現在、経営戦略統括本部長、海外統括事業本部長、全社統括・新体制準備室長を担当。サンフランシスコ在住

書評レビュー
 三菱商事からハーバードMBAを経て、34歳でサンリオに入社、5年で常務取締役、そしてDeNAの社外取締役にも就く鳩山玲人氏が、仕事のスタンスとスキルを解説した一冊。『与えられた環境下で、いかに期待を超え、求められる以上の結果を出し続けられるか』といった、特に企業の中で結果を出すうえで、参考になる内容となっている。

 奇をてらった内容ではなく、一貫して中長期を見据えながら着実に「準備」していくことの重要性が説かれているが、この書評では、特に「準備」という観点でいくつか印象に残った内容をご紹介したい。

新しい会社や部署に入ったら、そこにある本と資料を全部読み込む

 著者は転職や異動などで新しい職場に入ったときは、いつも同様に「あらゆる情報源」にあたっていたという。しかも「残業している」という意識ではなく、「未知の資料を読んで新しい知識を得る時間はとても楽しいものだった」と述べている。ついつい「必要な時に見よう」で終わらせてしまうが、このマインドにも見習うべきことが多いのではないだろうか。

 「『結果を出す人』と『結果を出せない人』は、能力の優劣ではなく、どれだけ準備をしたかによって差がついているのだといってもいいでしょう。(中略)

 入社初日には、外部から得られる情報は一通り頭にはいっていました。入社後には、部署内にある本や資料すべてに目を通しました。周囲の人がみんな帰った後、会社に居残りして、キャビネットに並んでいる分厚いファイルや書籍などを読み漁ったのです。」

サンリオへの誘いに即答できたのも、事前の準備

 サンリオといえば、ハローキティのライセンス戦略によるグローバルなブランド展開の成功が有名だが、こちらも著者の綿密な準備が奏功したものである。著者がサンリオに転職した経緯は、ビジネススクール留学中に、辻邦彦サンリオ副社長から「米国法人のCOOにならないか」という突然の誘いを受け、入社を即答したというものだ。

 実はこの時、著者はハーバードで、ライセンス化事業などサンリオのビジネス展開を研究テーマにしていた。三菱商事時代、サンリオとの提携案件で大きな結果を残せなかった悔しさからであった。

 このとき、すでに私は、仮にサンリオの米国子会社を任されても困らないだけの十分な準備ができていたのです。(中略)ですから、留学中は『自分で起業する場合にはどうするか』『三菱商事に戻るなら、どんな事業をやりたいか』も考え、どの方向に進んでもいいようにと考えて行動していました。(中略)チャンスを引き寄せ、つかむためには、さまざまな可能性を想定し、それらに向けて準備をしておくことが必要なのです。

タスクリストは書き出した後が重要

 タスクリスト(To doリスト)の使い方には様々なスタイルがあるが、著者は中長期的に重要なこと、やりたいことの準備になっているかどうかのチェックを重視しているという。

時間をうまく管理するには、タスクリストを書き出した後が重要です。(中略)タスクを一段上のレイヤーで分類してみると、「やるべきこと」と「時間」の配分がずれている状態が一目瞭然になります。(中略)

 タスクリストはただつぶしていくために書き出すのではなく、視点を変えて整理してこそ、時間管理に役立つものだということを頭に入れておくべきです。自分の努力や時間が、本来やるべきことのために費やされているかどうかは、つねに日々の行動レベルでチェックする必要があります。

 著者の鳩山氏はその苗字の通り、鳩山一郎を曽祖父として政治家を多数輩出する鳩山家の出身。そのことが、家柄に頼らず自力で結果を出そう、という奮起を生んだという。また著者の父は40歳のときに過労で亡くなっている。

 そのことが、自らも『40歳で人生が終わってしまう可能性』を想起させ、40歳までに結果を出さなければという原動力につながったという。本書から学ぶべきは、それでも刹那的にならず、中長期を見据え準備を着実に進めていったスタンスと仕事術ではないだろうか。

 特に「私が新人の頃から徹底してきた仕事の基本」という章があるように若手の方や、自分の仕事術、スタンスを改めて棚卸ししたい中堅の方にお薦めできる一冊である。

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