書評『となりの億万長者』
(トマス・J・スタンリーほか著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
1 となりの億万長者を紹介しよう
2 検約、検約、検約
3 時間、エネルギー、金
4 車であなたの価値が決まるわけではない
5 親の経済的援助
6 男女平等・家庭版
7 ビジネス・チャンスを見つけよう
8 職業:億万長者対遺産相続人
著者:トマス・J・スタンリー Thomas J. Stanley, Ph. D.
 アメリカにおける富裕層マーケティングの第一人者。ジョージア州立大学の教授職を経て、ニューヨーク州立大学オルバニー校マーケティング学部の教授となり、
1973年に本書の共著者ダンコとともにアメリカ全土の億万長者を対象とした初の大規模調査を実施。現在は富裕層向けビジネスを行なう企業や金融機関へのアドバイザーとして活躍。
著書の邦訳に『なぜ、この人たちは金持ちになったのか』『お金が“いやでも貯まる”5つの「生活」習慣』など。ジョージア州アトランタ在住。

著者:ウィリアム・D・ダンコ William D. Danko, Ph. D.
 ニューヨーク州立大学オルバニー校マーケティング学部名誉教授。スタンリーのパートナーとして数々の研究調査に参画してきた。また、ジャーナル・オブ・コンシューマー・リサーチ誌をはじめとする多くの経済メディアでも活躍。ニューヨーク在住。

翻訳:斎藤聖美 (さいとう・きよみ)
 1950年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。日本経済新聞社、ソニー勤務の後ハーバード・ビジネス・スクールでMBA取得。モルガン・スタンレー投資銀行のエグゼクティブ・ディレクターなどを経て独立。数々の企業立ち上げに携わり、現在はジェイ・ボンド東短証券および東短インフォメーションテクノロジー代表取締役社長。東芝取締役、昭和電工監査役を兼任。訳書にエリス『ゴールドマン・サックス』、ウェルチ『ウィニング 勝利の経営』など多数。

書評レビュー

 全米の「億万長者」1万人以上へのインタビューとアンケートから、彼らの意外なライフスタイルを解き明かした一冊。本書でいう億万長者(ミリオネア)とは、100万ドル(出版当時の日本円で約1億2,000万円)以上の純資産(資産マイナス負債)を持つ人々を指します。

 全米ではおよそ3.5%の人が該当するという億万長者のライフスタイルで意外なのが、「お金持ちは豪勢にお金を使っている」という一般的な常識を覆す結果を示している点。

 つまり、調査によれば、市井に普通に存在している「隠れた」資産家たちは、腕時計にお金をかけず、高級輸入車に乗るのはごく一部で、もちろんスーツにもお金をかけません。著者は彼らが資産を築いたライフスタイルの共通点を以下の7つにまとめています。

資産家に共通する7つのライフスタイル

  • 法則.1 彼らは、収入よりはるかに低い支出で生活する
  • 法則.2 彼らは、資産形成のために、時間、エネルギー、金を効率よく配分している
  • 法則.3 彼らは、お金の心配をしないですむことのほうが、世間体を取り繕うよりもずっと大切だと考える
  • 法則.4 彼らは、社会人となった後、親からの経済的な援助を受けていない。
  • 法則.5 彼らの子供たちは、経済的に自立している。
  • 法則.6 彼らは、ビジネス・チャンスをつかむのが上手だ
  • 法則.7 彼らは、ぴったりの職業を選んでいる。

 ここから、彼らのかなり堅実な姿が見えてくるのではないでしょうか?それぞれ一章ずつ使い、詳しく解説されていますが、この書評では法則5から、そんな隠れた資産家が、金銭感覚のしっかりした子供を育てあげた「教育方針」をいくつかご紹介します。

子どもに両親が金持ちだと絶対に教えない

 「蓄財劣等生の子供が、高い収入を得ることはあっても蓄財を苦手とするケースが多いのはなぜだろう。一つには、うちはお金持ちだから、と親が子供にいつも話すからではないだろうか。(中略)逆に、金持ちの両親のもとで蓄財優等生に育てられた人々はよくこういう。
 『オヤジが死んで、僕が遺言執行人になるまで、オヤジがそんなお金持ちだなんて知らなかったよ。そんなふうには全然みえなかったもの』」

どんなに金があろうと、子供には倹約とけじめを教える

「ドクター・ノース(医師で資産家※編集部注)はどのように子供をしつけたか詳しく話してくれたが、簡単に言えば、自分たちが率先してお手本を示したということだった。」

子どもや孫に何を遺産に与えるつもりか、なるべく話さないこと

 「軽はずみな口約束をしてはいけない。(中略)子ども達はよく覚えているものだ。約束が守られなければしつこく言ってくるだろう。空約束から家族の不和や内輪喧嘩が始まるケースは多い。」

 金持ちの子供が金持ちになる、とはよく聞きますが、直接遺産を分配する以上に、共通して「子供の自立を早期に促す」ことが重要だとわかります。

 お金を稼ぐことが「攻め」とすれば、消費や資産形成の考え方といった「守る」に着目した一冊である点が本書の特長です。子どもにに対する教育にも、意表をついたものがあるわけではなく、非常にまっとうで王道的な内容だと思います。

年金問題などが解決していない中、「将来の生活を自分で守る」意識を持つことは、もはや考え過ぎではなく、当たり前のスキルといえます。貯蓄が苦手という方や、そもそもあまり意識していない、という若い世代の方もぜひ読んでみてください。

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