- 著者プロフィール
2章 PRの歩み
3章 PR会社の仕事
4章 最先端事例から読みとく「戦略PR」
5章 「No.1戦略PR会社」とは?
6章 アジア奮闘記
7章 進化するベクトルのビジネス
株式会社ベクトルCEO。1992年関西学院大学社会学部卒業、在学中からビジネスを始め、93年にベクトルを設立。2000年に戦略PR中心に転換。2012年3月に東証マザーズに上場。
書評レビュー
「戦略PR」とは何か
本書は、ここ数年の広告・マーケティング業界のトレンドとなっている「戦略PR」について、株式会社ベクトルの代表西江肇司氏が、その手法と最先端を解説した一冊。ベクトル社は『PR TIMES』等の運営元としても有名で、PR事業を中心に業績を伸ばし、一昨年に東証マザーズに上場しています。
本書では「戦略PR」の大きな概念からPR会社が何をしているのか、その詳細な施策事例までが解説されています。また、最新の事例が多く解説され、マーケティングやアイデア観点からもヒントが詰まった一冊です。
では「戦略PR」とはどのようなものでしょうか。非常にシンプルにいうと、戦略的にテレビ、新聞、ウェブなどに「広告」ではなく、「記事」として取り上げてもらう活動のことで、本書でも以下のように説明されています。
もちろんPRは広告ではなく、取り上げるかどうかはメディアが決めるもので、消費者は捏造や「宣伝臭」に敏感です。そこで、著者はPRの本質を、取り上げる価値のある「文脈」をいかにつくるかであるとして、次のように語っています。
「戦略PR」の成功事例
最近の例でいうと、自治体のPR活動がイメージしやすいのではないでしょうか。香川県の「うどん県」は非常に有名になりましたが、ゆるキャラを使った「くまモン」(熊本市)、「ふなっしー」(船橋市)など、かなりの頻度でニュースなどに取り上げられているのを目撃します。
本書では多くの事例とともに、具体的な「戦略」も紹介されています。たとえば「戦争の構図」というものがあります。
ビジネス界では、特に一般消費者向け商品で、常に熾烈なシェア争いが展開されていますが、「市場の勢力地図が塗り替わった」「参入企業が増えて競争が激化」のようなテーマはメディアが取り上げやすいテーマとして知られています。
この「戦争の構図」を、PR会社としては次のように訴求していくことになります。
詳細は本書に譲りますが、三つ巴のLCC戦争、コンビニや飲食店でのコーヒー戦争などの例が挙げられています。
まとめと感想
ほかにも、著者の戦略PRにおける持論は「最低300の事例を頭に叩き込む」とのことで、新商品の発売から、社内制度まで、多くの事例や「切り口」が挙げられており、一度はメディアで目にしたようなニュースの「仕掛け」を理解することができるようになるはずです。
また、本書では、PRの歴史からPR会社の仕事まで、盛りだくさんに詰め込まれており、「戦略PR」や広報・PRの入門書的一冊として適した内容となっています。
また後半では、著者の起業ストーリーと今後のアジア展開にも章が割かれており、もちろん「ベクトル」という企業のPR的な意味合いがありますが、それを差し引いても、特にアジア進出や起業を志す方には参考になる内容です、ぜひ手に取ってみて下さい。
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