書評『ハラルマーケットがよくわかる本』
(ハラルマーケット・チャレンジ・プロジェクト/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
はじめに
第1章 日本だけが出遅れている巨大マーケット
第2章 ハラルって何? ハラル認証とは?
第3章 ハラルビジネス戦略
第4章 ハラル・ハブ・マレーシアはこう攻めろ~アウトバウンド戦略
第5章 急速に需要が高まる国際対応~インバウンド戦略~
付録ラマダン早見表
おわりに
著者:ハラルマーケット・チャレンジ・プロジェクト
 IT企業、飲料メーカー、食品流通、コンサルティングファーム出身者4 名で「世界的に出遅れている日本のハラルビジネスの促進」を目的として発足。
イスラム教の戒律である「ハラル」をビジネスチャンスととらえ、ジャパンブランド(ものづくり・おもてなし)を武器として展開するために必要となる
さまざまな機能(マーケティング、アプローチ、レスポンス測定など)を提供。
具体的には認証取得という初期投資をかける前にテストマーケティングを行ない、「ハラル」マーケットにおけるニーズや課題などの洗い出し、本格展開すべき市場かどうかの見極めを行なっていく。
また、「ハラル」マーケットに本格展開する際は、ハラル認証や現地の販路開拓、現地化対応などの支援を実施。

・田中正利(たなか まさとし)
東京都内で金融システムや医療、交通システムを得意とするIT企業、株式会社トラステックの代表取締役を務める。
異業種との交流に積極的で、中小企業の集まりにたびたび参加する中で、日本の生産者の努力や苦労を肌で感じ、
どうしたら売り上げを伸ばすことができるのか日々考えている。
ムスリムとの交流や人脈を豊富に持ち、イスラム教は何かを学び、ハラル市場の中で日本の生産者が活躍できるインフラ作りに意欲を燃やしている。

・駒崎裕恭(こまざき ひろたか)
日本の大手飲料メーカー出身。東南アジアを中心とした海外企業戦略を担当する部署に在籍した経験を持ち、
独立後も飲料を中心とした製品プロデュースや海外展開支援を数多く手掛ける。
会社員時代からハラル市場に注目し、情報収集を重ね、株式会社ベジリゾートを起業し、代表取締役を務める。
東南アジアおよびムスリムをターゲットとした事業展開に長けている。
日本商品のクオリティーの高さについて国際的な知名度を上げていくことが目標。

・村野信一(むらの しんいち)
グリシャス株式会社、代表取締役。流通モデルの設計の基礎を実務者として学びながら構築し続け、
生協産直(契約栽培)のネットワーク構築や商物情報流設計、青果物のブランディング、市場の流通加工機能の支援、
卸売市場の直接販売の仕組み作りなど農作物の流通モデル作り、そして日本最大の輸入青果物の市場外流通モデルの確立においても手腕を発揮。
さまざまな業態に幅広いコネクションを持っている。2013年にHCP事務局を開設。
その原動力は食に関わる人たちへの深い尊敬と愛情。
ボランティア活動の緑提灯繁盛会の発起人としても、日本の食を応援している。

・五木田貴浩(ごきた たかひろ)
アンダーセン・コンサルティング株式会社(現、アクセンチュア株式会社)入社後、当時の規定で最短でシニア・マネジャーまで昇進。
大手メーカーや官公庁などの情報化戦略立案、業務・システム刷新など多数のプロジェクトを担当し、世界各地のビジネスパートナーと渡り合う。
マネジャー当時、社内で実施されたアンケート「ついていきたい上司N0.1」に選ばれたことがある。
現在はグリシャス株式会社取締役として村野と共同で『新たな日本の食流通環境の構築』を目指している。
これまでの経験で市場を見極め、ビジネスモデルを構築し、日本の産業を守るという使命感を抱いている。

書評レビュー

ハラル市場とは何か

本書『ハラルマーケットがよくわかる本』は、経済発展著しい東南アジア各国に日本企業が進出する際にキーとなるイスラム教徒対応(ハラル対応)やハラルマーケットを解説した一冊。著者は東南アジア事業経験豊富な戦略コンサル出身者など4名からなる、日本企業のハラルマーケット進出のコンサルティング集団の共著です。

近年、マレーシアをはじめ、東南アジア各国の経済発展は著しいものがありますが、この東南アジアに日本企業、特に食料品メーカーや飲食店が進出する際に、ボトルネックとなりかねないことがあります。それが、「ハラル」対応です。

「ハラル」というと聞きなれない方もいらっしゃるかもしれませんので、まずはその意味を解説します。

・ハラル(HALLAL)
健全な商品や活動を指すイスラム教の教えの総称であり、例えば、イスラム教の教えにのっとって処理された食べ物を指す

東南アジアのイスラム教徒(ムスリム)人口は、全世界のムスリム16億人のうち、約60%を占めており、東南アジアとムスリムを切り離して考えることはできない状況にあります。約200兆円規模といわれるハラルマーケットへのハラル対応という点では、中国や韓国と比較して、日本はまだまだ未熟とのことです。

その理由としては、やはりイスラム教への理解の浅さが1つの原因として挙げられるようです。そこで、本書では、東南アジア(特に著しく経済成長しているマレーシア)にフォーカスをあて、ハラル対応の具体的な方法や、実際に日本企業がハラルマーケットに参入するメリットが解説されています。

アウトバウンド戦略 ~ハラル認証とは?~

実は、ハラル対応が認められた食品などについては、国の機関(マレーシアだと「JAKIM」)による厳密な審査により「ハラル認証」を受けることができます。

これは、日本のJASマークのようなものと考えればいいかと思います。この「ハラル認証」をうけることで、ハラルマーケットにおける信頼度が格段に上がると本書では述べられています。(マレーシアではミネラルウォーターにまでハラル認証がついているとのことです。)

著者らは、アウトバウンドで勝負するならば、ハラル認証マークは魔法のマークではないものの、間違いなく販路の拡大に貢献してくれると説いています。

本書では他にも、マレーシア以外のアジア諸国の状況や、飲食、旅行、サービス業など実際にハラル対応を行っているインバウンド/アウトバウンド企業のインタビューなど、ハラルマーケットでビジネスを行う上で参考となる情報が掲載されています。

現在、ハラルに関する類書はそれほど多く出版されていないので、ハラルマーケットでビジネスを行う上での入門書として参考となる一冊です。

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