書評『なぜあれは流行るのか』
(ジョーナ・バーガー/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
はじめに なぜ流行りは生まれるのか
1章 ソーシャル・カレンシー
2章 トリガー
3章 感情
4章 人の目に触れる
5章 実用的な価値
6章 物語
著者:ジョーナ・バーガー
 ペンシルベニア大学ウォートン校ジェームズ・G・キャンベル記念マーケティング准教授。ウォートン校の「アイアン・プロフェッサー」に選ばれている。2002年にスタンフォード大学を優等学位で卒業し、2007年にスタンフォード大学経営大学院を修了(博士“マーケティング”)。2007年からペンシルベニア大学ウォートン校でマーケティングを教えている。

書評レビュー

クチコミをつくる6つの原則(STEPPSの原則)

本書は伝染するクチコミのつくり方、つまり、バズらせ方を正面から扱った一冊。ネットコンテンツの流行らせ方だけではなく、日常会話から流行のメカニズム、最適な値引き額、政治メッセージまで、社会学的見解まで触れられている実践的な内容です。

著者は、スタンフォード大学のMBA出身で、現在はペンシルベニア大学ウォートン校でマーケティングを教えている気鋭の准教授で、本書ではまず、伝染性のあるメッセージや商品、アイデアなどの多くには、共通する原則があることが紹介されています。

その原則とは以下の6つで、著者はそれぞれの頭文字を取り、STEPPS(ステップス)の原則と名づけています。

1.ソーシャルカレンシー(Social Currency)
2.トリガー(Trigger)
3.感情(Emotion)
4.人の目に触れる(Public)
5.実用的な価値(Practical Value)
6.物語(Stories)

ではひとつずつ見ていきます。

1.ソーシャルカレンシー(Social Currency)

まずソーシャルカレンシー(社会的な通貨の意)という概念をとりあげ、人に自慢できるような内容であることが重要になります。

「取り上げる話題は、他者の目に映るその人の印象を左右する。これをソーシャルカレンシーという。(中略)だから話題に取り上げてもらえるためには、話し手がこうした好ましい印象を聞き手に与えられるようなメッセージを打ち出さなければならない。」

2.トリガー(Trigger)

こちらは、人々がその商品について思い出すきっかけを用意することの重要性を説いています。

「トリガーとは、人々が関連するものを思い浮かべるきっかけとなる刺激要素だ。(中略)人は頭に思い浮かんだことから話す傾向があるため、人々が頭に思い浮かべることが多い商品やアイデアほど、話のネタになる機会は増える。」

例として、金曜日になるとYoutubeで名曲「フライデー」の動画再生回数増えている例が挙げられています。嘘のような話ですが、金曜日=フライデーの連想がきっかけだと指摘されています。

3.感情(Emotion)

「もともと伝染性のあるコンテンツは、だいたいの場合何らかの感情を呼び起こす。iPhoneを粉々にするミキサーに驚く。増税があるかもしれないと知って腹を立てる。感情をかき立てる話やコンテンツはよく共有される。」

ここで注意点としては、焦点をあてるべき感情は選別しなければならないことが挙げられています。

4.人の目に触れる(Public)
本書ではいわゆる炎上マーケティングについても述べられています。

「目につきやすくすれば、模倣しやすくなり、人気が出る可能性も高まる。だから、商品やアイデアを広めたければ、より目に触れやすくする必要がある。さらに商品やアイデアそのものに宣伝させ、また買ったあとや利用したあとでもわかる『行動の残滓』を生み出すよう、工夫する必要がある」

5.実用的な価値(Practical Value)

「人は他人役に立つのが好きだ。したがって、その商品がいかに時間の節約や、健康増進、倹約に役立つかを示せば、話を広めてもらえるだろう。ただし、世の中には情報があふれているため、メッセージが際立つように工夫しなければならない」

6.物語(Stories)

「人々はただ情報を共有するのではなく、物語を伝える。物語は、ギリシャ神話に出てくるトロイの木馬のように、道徳や教訓といったものを運ぶ容れ物である。(中略)だから、独自のトロイの木馬を建造すること、つまり商品やアイデアを、人々が話したくなる物語の中に組み込むことが必要である。」

まとめと感想

いかがでしたでしょうか、1つ1つのポイントが目新しいわけではありませんが、これらが組み合わさると伝染性の高いコンテンツが出来上がるというのは、なるほどと思える内容でした。

特に6の物語性を付加するというのは、コンテンツ過多のなか、差別化をはかるためにも重要な要素だと思います。実際にウェブでバズっているコンテンツを考えてみても、この法則は見事に当てはまっているように思います。

この書評ではSTEPPSのコンセプトだけ紹介しましたが、本書ではそれぞれ1章を割き、ウェブ、小売り、iPhon、動物など、あらゆる商品やアイデアの事例からこのSTEPPSの法則が実証されています。

読みやすく整理されており、かつ情報伝達の背後にある人間心理や社会学的プロセスからアプローチしていく内容ですので、マーケティングを専門としていない読者にとってもビジネスのヒントが得られるはずです。

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