書評『「徳」がなければリーダーにはなれない 「エグゼクティブ・コーチング」がなぜ必要か』
(岩田松雄/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
第1章 なぜ、エグゼクティブ・コーチングが必要なのか
第2章 エグゼクティブリーダーは己を知る
第3章 エグゼクティブリーダー育成のためのコーチング“実践例”
第4章 エグゼクティブリーダーの「伝える力」
第5章 エグゼクティブリーダーの「人を見極める力」
第6章 エグゼクティブリーダーになるために
著者:岩田 松雄
 元スターバックスコーヒージャパン代表取締役最高経営責任者。リーダーシップコンサルティング代表。1982年に日産自動車入社。製造現場、飛び込みセールスから財務に至るまで幅広く経験し、社内留学先のUCLAビジネススクールにて経営理論を学ぶ。帰国後は、外資系コンサルティング会社、日本コカ・コーラビバレッジサービス常務執行役員を経て、2000年(株)アトラスの代表取締役に就任。3期連続赤字企業を見事に再生させる。2009年スターバックスコーヒージャパン(株)のCEOに就任。2011年リーダーシップコンサルティングインクを設立。

書評レビュー

エグゼクティブ・コーチングとは何か

本書は、スターバックスコーヒージャパンなどのCEOを務めた著者が、リーダーを育てるための「エグゼクティブ・コーチング」について解説した一冊。

著者は、とある治療院の先生のアプローチを通じて、「コーチング」に通ずる考えに触れたといいます。コーチングとは、自分の抱える問題について自分自身で考え、問題を深く掘り下げ、自分の中から回答を導き出す能力を意味します。

昨今、エグゼクティブのためのコーチングが注目を集めています。そのような中で、自身も経営者時代にコーチングを受けたことのある著者は、従来のコーチングに対し課題を感じているといいます。

「コーチングは、(中略)自分の考え方の根幹にあるもの、いろいろな判断の元となる自分の価値観を知るうえで非常に有効なものです。しかし、私が実際に社長として悩んでいる時、(中略)経営やマネジメントに対するアドバイス、いわゆるコンサルティング的なアドバイスも欲しいと思ったのです。」

そこで著者は、経営コンサルタントとしてのキャリアも活かし、経営するうえで必要な「コーチング」と「コンサルティング」の両面から新しいリーダーシップ・コンサルティングを提案しています。

エグゼクティブリーダー育成のためのコーチングの実践例

本書では、著者自身が行うリーダーシップ・コンサルティングの事例が多く挙げられています。本書評ではその中から、和食定食チェーンとして有名なO社の社長に向けてのコーチングをおこなっているのかをご紹介します。

月に一~二回、一時間程のミーティングの中で、国内や海外の出店計画や、商品の相談、ブランディングや社内の人間関係と、さまざまな相談事が出てくるといいます。

その一つ一つに、上述したコーチングとコンサルティングを併せながら解決をしていくことが著者の手法となっています。具体的には、先ず会社のミッションの確認作業、次に一週間の時間の使い方をチェックしてもらうところから始めたとのことです。

「企業の中で一番貴重な資源は社長の時間です。(中略)自分がよくわかっているところは、できるだけ部下に任せ、それ以外の会社として取り組む課題に意識と時間をかけるようにしてもらいました。」

その後も、経営の基本的な考え方や方向性を合わせるために、特定の経営書を薦めるところから、売上げ停滞の中でフードコートへの出店やディスカウントをすべきかという具体的な経営判断についてのアドバイスまで、網羅的に行われていきます。

その結果、社長の顔にはみるみる自信が現れはじめ、業績もジワジワと良くなり始めているとのことです。

このほか本書では、クライアントによって柔軟にアプローチを変える著者のコーチング手法や、キリンビールなどの大企業が実践するエグゼクティブ育成の手法事例が多く挙げられています。

まとめと感想

本書では、著者の数々の経営者としての経験を元に、リーダーに必要な心得を伝授した内容が特徴となっています。

また、著者の考えや意見を表す際に、著者が影響を受けた書籍の紹介がなされており、ここで紹介されている書籍に触れていくことで、さらに本書の理解を深めることも出来るでしょう。現在の経営者からリーダーを目指す方々にお薦めしたい一冊です。ぜひ手に取ってご一読下さい。

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