書評『新人を1か月で即戦力に変える教科書』
(水野元気/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
第1章 新人の傾向とカテゴリー
第2章 新人がやる気に燃え、即戦力に変わる6つの思考法
第3章 6つの思考を習得してもらう18のアプローチ法
第4章 あなたは新人にとってどんな存在ですか?
著者:水野 元気
 株式会社情熱代表取締役。1980年、東京都杉並区出身。明治大学経営学部経営学科卒業。学生時代に起業したいと思い立ちベンチャー企業に就職し、当時成長中の太陽光発電の販売代理店に入社。同社2年目には、新卒だけの部署の教育・管理担当に従事。その後、ベンチャー企業の採用支援に特化した会社を経て、飲食コンサルティング会社に入社。2007年12月に株式会社情熱を立ち上げる。企業研修講師としても活躍し、中小企業など年間120回以上のセミナー、研修を行っている。

書評レビュー

「新人」の5つの傾向と”自燃型”人材に必要な6つの思考法

本書は「新人」のやる気に火をつけ、「即戦力」人材に変えるためのプレイングマネジャーの教科書的な一冊。著者は株式会社情熱 代表取締役として、企業研修などで人材育成に携わる水野元気氏。社名の通り人の「情熱」に火をともすことにフォーカスした研修が好評を得ているようです。

著者は多くの企業の「新卒研修」を手掛けていますが、近年の新卒採用者は、以前と少し変わってきているという指摘がクライアントから多く寄せられているといいます。

著者はこれをもとに調査を行い、現場の期待とのかい離がある2000年代の「新人」の、5つの傾向を紹介しています。

1.自分本位
相手からどう見えるかという視点が持てず、自己本位で考える
成果よりも頑張った過程を評価してほしいという考えが強い

2.他責思考
失敗の原因を「環境」「他人」に責任があるという思考に陥りやすい

3.指示待ち
「指示・答えをください」という姿勢で、自分から率先して動くことができない
言われた最低限のことしかできない

4.折れやすい
過剰な自信と打たれ弱さを併せ持つ

5.元気がない
挨拶・返事・笑顔ができない、苦手な人を避ける

どれも納得感のある内容ではないでしょうか。これら5つの特徴は、仕事のスキルというよりも、「意欲」や考え・スタンスの問題であると著者は指摘しています。

「自燃型人材」に必要な6つの思考法

では、そのような新人を指導するにあたり、どのような手法をとればいいのか、ポイントは「環境依存(環境や状況に自分のモチベーションが左右される)」からの脱却と、「自己肯定感(自分ならできるという感覚)」にあります。

具体的には次の6つの思考法をかねそなえた人材であるとして、著者は『自燃型人材』と呼んでいます。

1.限界突破思考
2.主体的思考
3.自己責任思考
4.モチベーション管理思考
5.ポジティブ管理思考
6.感謝思考

詳細は本書に譲りますが、ここでは「主体的思考」についてご紹介します。これは、「どんな時でも『自分ごと』と考えて行動すること」と定義され、受け身的思考の反対概念です。

著者は東京マラソン(42.195km)に、毎年30万人もの人がエントリーすることを例に出し、このように述べています。

「人は本当に困難に挑むことやがんばることが好きなのです。しかし、そこに対して大切な要素が『自分がやる』と決めていることです。そう主体的思考なのです。仕事で『主体的思考』を身に着けることができると、『自分ごと』となり、仕事への意欲が大きく変化していきます。」

まとめと感想

ここでは新人が即戦力に変わる6つの思考の概要をお伝えしましたが、それぞれに、実際にどのようにアプローチすればその力を身に着けてもらうことができるのか、18のパターンが説明されています。

たとえば『限界突破思考』であれば、「できないと言うな!」ではなく、「できない」を「できる」に変えて質問する(例:このままではできない→やり方をかえればできるよね)など、実践的な内容がご理解いただけるのではないでしょうか。

また、それぞれの背景である「人がやる気を失う」メカニズムなどが丁寧に説明され、切り口は「新人」ですが、コーチングやモチベーションの基本がわかりやすく描かれています。

また根底にあるのは、人の可能性を信じて人材育成をあきらめないというスタンスですので、ノウハウはもちろん学ぶべきところが多い一冊だと思います。実践的な内容がつまった新人マネジメントの教科書として、メンバー育成に悩む多忙なプレイングマネジャー層には特にお薦めできる一冊です。

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