書評『なぜ、わかっていても実行できないのか 知識を行動に変えるマネジメント 』
(ジェフリー・フェファーほか/著)

  • 目次
  • 著者プロフィール
まえがき
第1章 知識は、実行しなければ価値がない
第2章 原因1 問題を話し合っただけで仕事をした気になる
第3章 原因2 過去のやり方にこだわりつづける
第4章 原因3 部下を動かすために恐怖をあおる
第5章 原因4 重要でないことばかり評価している
第6章 原因5 業績を上げるために競争させる
第7章 知識と行動のギャップを乗り越えた企業
第8章 行動を起こすためのガイドライン
付録 知識と行動の調査
監訳者あとがき
著者:ジェフリー・フェファー Jeffrey Pfeffer
スタンフォード大学ビジネススクール教授。専門は組織行動論。カーネギーメロン大学で理学士号と理学修士号を、スタンフォード大学で経営学博士号を取得。カリフォルニア大学バークレー校、ハーバード・ビジネススクールなどでも教鞭をとり、民間企業の取締役や学術誌の論説委員の経験も持つ。主な著書に『「権力」を握る人の法則』『事実に基づいた経営』『隠れた人材価値』などがある。

著者:ロバート・I・サットン Robert I. Sutton
スタンフォード大学エンジニアリングスクール教授。専門は組織行動論。同大学の職業・技術・組織研究センターディレクター、テクノロジー・ベンチャー・プログラム研究所所長を兼務。ミシガン大学で組織心理学博士号を取得。カリフォルニア大学バークレー校で教鞭をとった経験も持つ。経営者向けセミナーや企業へのコンサルティングも精力的にこなす。主な著書に『あなたの職場のイヤな奴』『事実に基づいた経営』などがある。

書評レビュー

なぜ行動を起こせないのか ~知識と行動のギャップ (The Knowing-Doing Gap) ~

「何をすべきか理解しているにも関わらず、なぜか行動にうつすことができない・・・」、今回ご紹介するのは、多くの企業が抱えている「どうすれば行動を起こせるのか」という課題を解決する、組織変革のためのマネジメント術を解説した一冊です。

本書の著者は、スタンフォード大学で教鞭をとる人気教授であり、組織行動論の世界的権威としても有名な人物です。そんな著者が気が付いたこと、それは、世の中にはリーダーシップやマネジメントに関する著書や研修プログラムが溢れているのに、それが組織では活かされていないという事実でした。

例えば、アメリカでは毎年8万人以上のMBAホルダーを世に送り出しているのですが、その7割超が、「管理職としての初仕事にMBAのスキルは何の役にも立たなかった」と回答しているアンケート結果が出ているとのこと。

また、「自社で幹部育成プログラムを導入した方がいいか」、というアンケートに対して、4分の3以上のCEOが「YES」と回答しているにもかかわらず、それを「実行」したのは過半数に満たなかったというアンケート結果も出ています。このように、「すべきことは分かっている」にも関わらず、それを「実行することができない」という状況に直面している企業や個人が非常に多いのが実情なのです。

著者は、これを「知識と行動のギャップ (The Knowing-Doing Gap)」と呼んでいます。そして、この原因は、『社員の質ではなく、マネジメントシステムの違いにある』と著者は断言しています。

過去のやり方にこだわり続ける

そして、「知識と行動のギャップ」が起こる理由として、5つの原因が挙げられると著者は述べています。今回は、その中でも多くの方が「あるある」と頷いてしまいそうな「過去のやり方にこだわり続ける」をご紹介します。

社歴が長く、伝統がある企業ほど、実績として多くの前例が積み重なっていきます。この前例自体は悪いものではなく、例えば、それが根付くことでぶれない企業哲学が生まれ、企業の成長を後押しする推進力となることもあります。

しかし、皆さんもご存知の通り、前例にこだわりすぎると硬直的な対応や発想しかできず、その結果、企業の成長を妨げることに繋がります。著者は、このような企業を「歴史の重みで自由に動けない」組織と述べています。

「歴史の重みで自由に動けない」組織の特徴

・会社が独自性を強く主張していて、新しいものに「わが社はなじまない」と抵抗を示す。
・過去の路線から逸脱しないこと、過去の誤りを認めないこと、忍耐力の重視などが強いプレッシャーになっている。
・認識回路を閉鎖し、あいまいなものを回避したい雰囲気が強い。
・すべての決定が暗黙の了解や過去の行動という不正解なモデルを参考に、再検討もせずに行われる。
・将来の行動をいちいち過去に照らして行動しようとする。

これらは、変化することへの恐怖などから安易に前例を採用することから起こるもので、昨今のグローバルでの日本企業の地位低下の原因の1つとも言われています。

まとめと感想

著者はマネジメントシステムにフォーカスを当てて「知識と行動のギャップ」が起こる5つの原因を明らかにするとともに、「行動を起こすためのガイドライン」として、8つの「知識を行動に変える方法」を詳細に解説しています。

「行動を起こす」ことは、製品開発、企画立案、営業活動など、すべてのビジネス活動の根幹ともいえるものだと思います。

本書では、実際に「知識と行動のギャップ」を乗り越えた企業についても具体的な事例とともに解説されています。組織変革とマネジメントを学ぶビジネスパーソンの皆さんにお薦めできる内容となっています。

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